teeter-totter

志野の映画やTVや本や旅行や美味しいモノに関する与太話。
日常つぶやきはtwitterです。ブックマークから。

映画「硫黄島からの手紙」

2006-12-30 23:00:00 | 映画
ジャンル:社会派ドラマ
製作年:2006年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/中村獅童

先に公開された「父親たちの星条旗」と対となる、日本側の視点で描かれたもう一つの硫黄島。
生き残る可能性のないこの島で、最期まで戦い抜いた男たちのドラマ。

敵である米軍も認めていたという、優秀なる指揮官・栗林忠道中将を演じるのは、渡辺謙。そしてロサンゼルス・オリンピック馬術金メダリストという異色の存在だったバロン西を演じるのは伊原剛。”ただのパン屋”だったのに、赤紙で召集され、生まれる我が子も見ずにここへやって来た西郷。エリートの憲兵隊をその優しさからクビになり激戦の地へ飛ばされた清水。
彼らは何のために、誰のために戦うのか。
彼らが届かないことを知りつつ綴った硫黄島からの手紙が、生き残る可能性のない地での彼らの心情を浮かび上がらせる。


日本人でさえない、どころか、敵国の人間であるクリントが、どうしてここまで日本人に寄り添って作れるのか、と思うほど、日本人のための映画でありました。
父親たちの星条旗に出てくる場面と、いくつもが重なり合います。しかし180度反対側から。
米兵も日本兵も、彼らの国には親も子も愛する人も居るのです。それを守れるなら・・・というその想い。それだけを支えに最後の最後まで、生きて、そして死んで行ったのだということが伝わって来ます。
硫黄島が陥落したら、それはすべて本土の制空権を手放すということ。本土への空襲は、すなわち、愛する人達の命を脅かすということ。
せめて少しでもそれを先へ延ばせるなら。
家族を守るために戦うのに、家族に会えずに死んで行くことが哀しい、その矛盾について作中栗林は語りますが、戦場の誰もが抱える気持ちだろうと思います。
脱走しようとする自軍の兵を射殺、投降兵を射殺する敵兵、最後は自決しかないと兵士に強要する上官、隣では昨日まで軽口を叩いていた仲間たちが無惨な死を遂げていく。
狂気のような日々に、唯一の慰めであったのが遠くに居る愛する人たちへの手紙を綴る時間だったのではないかと思います。

戦争は、決してしてはならない。

クリントの言葉が、二作品を通して世界中に伝わることを信じたいと思います。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「シャーロットのおくり... | トップ | 映画「007/カジノ・ロワ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事