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テキトーなブログです(松浦亜弥ブログだったのにネタがない!)

追悼・平尾昌晃

2017-07-23 | その他

私が、本当の意味で

自分で音楽を聴き始めたのが1971年のこと。

洋楽が中心だったが

実際のところ、1971年という年は

日本の歌謡曲も活気に満ちていた。

その活気を感じて、いくらか日本の音楽にも

魅力を感じていた時期でもあったのである。

 

その1971年のこと。

尾崎紀世彦、小柳ルミ子という二大新人が突如現れ

ヒットチャートを賑わし

アイドル歌手の元祖とも言える南沙織もデビューを飾った。

年末には天地真理もデビューし

小柳、南とともに”新三人娘”として

TVでその活躍を見ない日はなかった。

その一方で、演歌の大物として

ついに五木ひろしが待望のヒット曲を出して

一気に森進一と並ぶ存在にのし上がり

その森進一も出す曲すべてが

ヒットチャートの上位にランクする好調さだった。

 

何よりもこの年の歌謡界の特徴は

前年までの藤圭子、クールファイブに代表される演歌調の路線が

突如消滅した代わりに

新たなポップス調の曲が数多く発表され

そのほとんどが

そこそこの成功を収めたという点だろう。

その結果として

この年をもって演歌中心の歌謡界は終わりを告げ

来たるべくJ-POPの時代の幕開けが予感されることになった。

「さらば恋人」(堺正章)、「さいはて慕情」「雨の日のブルース」(渚ゆう子)、

「真夏の出来事」(平山三紀)、「誰も知らない」(伊東ゆかり)

「雨のエアポート」(欧陽菲菲) 等々。

これに尾崎紀世彦、南沙織、野口五郎のヒット曲全部を含めて

すべて同じ作曲家による楽曲だと知ったときには

さすがに驚くほかなかった。

筒美京平、恐るべし!

 

その1971年に最も多く売り上げた作曲家、筒美京平に次いで

第2位の売上げを記録した作曲家こそ

平尾昌晃だった。

小柳ルミ子「私の城下町」(134万枚)、五木ひろし「よこはま・たそがれ」(64万枚)

という2大ヒット曲が出たのが大きいが

平尾さんは、この年だけでなく

オリコンの統計が始まった1968年以来ずっと

筒美さんと売上げの上位を競う存在だった。

 

筒美さんというのは本当に凄い人で

1968年から1989年の22年間で

作曲家としての売上げでベスト10から落ちたことがなく

しかも1968年(7位)、1980年(10位)、1988年(4位)、1989年(8位)以外は

すべてベスト3に入っているのである(年間1位を10回獲得!)。

そんな怪物作曲家に次ぐ存在として

ある人は都倉俊一を挙げ、ある人は後藤次利を挙げ

また売り上げの数字以上の存在感として遠藤実、宇崎竜童、馬飼野康二などの名前も

出てくるかもしれないが

やはり、筒美さんに対抗できた存在としては

平尾さん以外には考えられないのである。

 

平尾昌晃という人は

日本歌謡曲史上、いろいろな面での功績を残していて

その点では、作曲オンリーだった筒美京平と比べると

功績の多彩さでは上回るかもしれない。

 

大正から昭和初期にかけて資生堂を上回る化粧品No.1メーカー

だった会社の一族に生まれた平尾さん。

戦後すぐにジャズ喫茶の常連となり

渡辺美佐(ナベプロ)、石原裕次郎という人脈の応援を受けて

ロカビリー・ブームの立役者となったのが昭和30年代前半のこと。

その日劇ウエスタンカーニバルでの熱狂は

単に日本にロック音楽の原型を伝えたということに止まらず

当時の日本歌謡曲界の関係者全員に衝撃を与えている。

 

玉置宏がその著書で書いていて、思わずハッとなった事柄だが

彼はこう記している。

「平尾昌晃らの成功は、当時のレコード会社のお偉方に

 今の自分たちが抱えている歌手ではとても対抗できないと思わせることになった。

 なんといっても、当時の人気歌手は皆大人の歌手で

 三橋美智也、春日八郎、三波春夫など、どう考えても若い女性が騒ぐようなそれではない。

 もっと若い歌手が出てこないと、ロカビリーの歌手たちに負けてしまうのではないか。

 大人はそんなに頻繁にレコードを買い求めたりしないが、

 若い世代は、自分の好きな歌手なら、次々とレコードを買ってくれる存在なのだ。

 そっちの方向に舵取りしないと、これからの芸能界では生き残れないだろう。

 そう考えた関係者たちは、昭和30年代半ばから、若い世代の歌手の発掘に

 力を注ぐようになった」

 

その結果として出てきたのが、橋幸夫、舟木一夫といった人気若手歌手であり

梶光夫、安達明、三田明などの青春歌謡の歌手たちだった。

ちょうどテレビが普及し始めた時期でもあり

見た目も、それ以前の歌手たちと比べて若々しい彼らは

レコード会社の期待に応えて、次々とヒット曲を出していくのである。

新人の発掘とあわせて

やや下火になってきたロカビリー系の歌手のほうにも手を出して

井上ひろし、かまやつひろし、水原弘を「三人ひろし」で売り出す。

水原は第1回レコード大賞を受賞するが

その後「三人ひろし」から抜けて、その後に守屋浩が入るが

平尾昌晃も、この路線でソロ歌手として活躍を続けた。

その頃のヒット曲、「星は何でも知っている」は

累計で100万枚売れたと推定されている(オリコン以前なので正確な数字は不明)。

 

こうして、日本の歌手の年齢層を若い世代に引き下げたのが

当時のロカビリーの人気歌手たちの功績であり

その代表格が平尾昌晃だったのは言うまでもない。

テレビ時代の到来、ナベプロの台頭とうまくマッチして

1960年代の昭和歌謡曲全盛の基礎が

こうして出来上がっていった。

 

その後、不祥事により、さすがの人気も下降気味となるものの

1965年に自身の作曲による「おもいで」で人気を回復。

その直後

当時ナベプロで売出し中の新人歌手だった布施明に

この曲を提供。

布施バージョンもヒットし、平尾は作曲家としても認められる存在となった。

この「おもいで」は、その後の平尾が創り出す曲の原型とも言えるもので

この映像などは、布施の丁寧な歌唱も聴きどころだが

それと同時に

当時の歌謡曲の雰囲気が如実に伝わってきて素晴らしい。

 

おもいで 布施明   (埋め込み不可動画)
https://www.youtube.com/watch?v=F3Fmj2i_VzY 


平尾は、布施の歌唱力に魅せられ

彼のために優れた楽曲を次々と生み出す。

それらの曲は

私の小学生時代の音楽の記憶に見事なまでに重なる。

まさに平尾昌晃の曲なしでは

当時の歌謡曲の思い出は語れないくらいだ。

「霧の摩周湖」「恋」「愛の園」「バラ色の月」「愛は不死鳥」・・・ああ、全部そらで歌える!

youtubeには、なんと平尾さん本人が「霧の摩周湖」を歌っている映像があった。

御年70才を超えた頃の歌声だが、この難曲をいとも鮮やかに歌いこなしている。

感動!

 

平尾昌晃 霧の摩周湖

 

この時期、布施明以外の楽曲でもヒット曲が多く出ている。

伊東ゆかり「恋のしずく」、じゅん&ネネ「愛するってこわい」、梓みちよ「渚のセニョリーナ」など。

1968年には、遠藤実に次ぐヒットメーカーとして人気絶頂の作曲家となったが

その年末に結核を発病し、長期入院生活を余儀なくされることになる。

1年近い闘病生活を経て、1971年に完全復活するが

それ以降の活躍は凄まじいものがあった(以下カッコ内の順位はオリコン週間順位)。

 

アグネス・チャン「草原の輝き」(2位)、「星に願いを」(4位)、「愛の迷い子」(2位)、

梓みちよ「二人でお酒を」(年間18位)、天地真理「ふたりの日曜日」(3位)、

アン・ルイス「グッドバイ・マイ・ラブ」(14位)、ささきいさお「銀河鉄道999」(TVアニメ主題歌)、

五木ひろし「よこはま・たそがれ」(1位)、「長崎から船に乗って」(4位)、「あなたの灯」(5位)、

「夜空」(4位)、小柳ルミ子「わたしの城下町」(1位)、「お祭りの夜」(2位)、

「雪あかりの町」(5位)、「瀬戸の花嫁」(1位)、「京のにわか雨」(1位)、「漁火恋唄」(3位)、

沢田研二「あなただけでいい」(5位)、中条きよし「うそ」(1位)、西崎みどり「旅愁」(2位)、

原田潤「ぼくの先生はフィーバー」(TVドラマ「熱中時代」主題歌)、

松田聖子「eighteen」(3rdシングル「風は秋色」のB面。両A面の扱いだったので著名な曲)

山口百恵「赤い絆 (レッド・センセーション)」(5位)、水谷豊「カリフォルニア・コレクション」(3位)

 

他にもまだ書き洩らしたヒット曲は多数あるに違いない。

それにしても、どれもこれもメロディがすぐ頭に浮かぶ名曲ばかりだ。

 

このなかから1曲だけ動画を引用して

この記事を終わりにしたいのだが

それこそ迷ってしまう。

個人的好みでは、断然、小柳ルミ子「京のにわか雨」に思い入れがあるのだが

youtubeに適当なものがないので困ってしまう。

西崎みどり「旅愁」も捨て難いが

やはり、このブログは基本”松浦亜弥ブログ”なので

ここはアイドル路線の曲にします。

こういうのも書いていた平尾さん、さすがに多彩です。感謝です。

 

Eighteen 松田聖子

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