社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

楡周平『マリア・プロジェクト』

2008-10-22 08:25:22 | 趣味(読書)


楡周平『朝倉恭介 Cの福音・完結編』に続き、氏の久しぶりの書籍紹介である。

この作品は、今までの氏の作品とは一線を画し、ダークヒーローや絶対悪だけの世界観ではなく、勿論絶対的な悪人が登場するが、一方で人間の悲しさとヒーローとなる瀬島が登場する所が、大きく変わっている。
以下に直接あらすじをまとめているが、ぜひ読んで欲しい作品でもある。
割と日本の時代劇に相当する所がある感じがする。最後特に親分や仲間が死んで行く所に・・・。


マリアプロジェクトA.jpg書籍名:『マリア・プロジェクト』
著 者:楡 周平(にれ しゅうへい)
発行所:株式会社角川書店
発 行:2001年11月30日初刊発行
定 価:1,700円+税
頁 数:縦一段組み569ページ




<ハードカバーの帯の作品紹介>



胎児の卵巣には、フィリピン・マニラ近郊。
熱帯雨林に囲まれた研究施設で人類史を覆る驚愕のプロジェクトが進行していた---。
巨万の富が眠っている。
ワールドクラス
世界水準の迫力とスケールで読者を圧倒する、楡周平の最高傑作。入魂の書き下ろし1550枚。

妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。
この生物学上の事実が、
巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ



顕微鏡の中で繰りひろげられる生命創出の一部始終。
快感に打ち震える狂気の科学者。

紙を冒涜する所業に今、ひとりの日本人が立ち向かった。
”朝倉恭介シリーズ”で日本のエンタテイメント界に新風を吹き込んだ楡周平が放つ、冒険サスペンス巨編。

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世界でも最悪なスラム街フィリピンマニラのトンド。そこで最初の誘拐が発生する。土建屋の親方オランドの娘アリシア(16歳)が、タバコ屋テオドロの導きで5万ペソという高額な見返りによる、導きで見知らぬ人間らに連れ去られる。

一方帝都大学と言う日本一の大学生で飛島物産にも就職が決まっていた瀬島浩輔は、東証一部の大道寺産業(オーナー企業)の社長令嬢大道寺諒子と付き合っていたが、両親が認めず、結果妊娠した諒子の6ヶ月の胎児は堕胎させられる。その堕胎処理を行なったのが、帝都大医学部卒で産婦人科医の新庄であった。

この胎児から卵巣を取り出し、培養する事で、体外受精できる技術を米国の製薬会社(ウイリアム・アンド・トンプソン)が確立し、これにより堕胎される卵巣を使って、処女から子供をつくる「マリア・プロジェクト」が進行していた。堕胎された卵子は、マニラに送られ、培養し受精卵をつくり、新たな子供が作られようとしていた。

諒子はこの堕胎で瀬島と別れる決心をする。
飛島物産に入社した瀬島は、3年目でマニラ駐在となり、トンド出身のマリオを部下に、建設作業の仕事に追われていた。マリオはトンド出身でありながらその素性を隠し、フィリピン最高の大学UPを卒業し飛島物産のマニラ支店に入社し、安い給料ながら、瀬島に尽くしていた。

マリオは、大変な苦労で自分を育て、且つトンドから出してくれた事に感謝し、毎月自分の給料の半分を両親に届けていた。彼には弟ジュエルがおり、親に代わって、今度はその弟をUPに入学させようとしていた。家の帰りに世話になっているオランドの所に寄ると、アリシアの誘拐後、トンドで更に、6歳と5歳の男の子と15歳の女の子が消えている事をオランドから知らされる。

マニラで旧華族(爵位)出身の令嬢でアメリカのプリンストン大学を卒業し、UPに研究員として来ている鳥河麻里と知り合い、友人の様に親しくなった。

瀬島と別れた諒子はその後、見合い結婚で一子真一を儲けるが、生まれて1年後不治の病が発病する。その子供を守る為必至の看病をするが、この為、妊娠したのに気づかず、卵管破裂により子宮が摘出されてしまう。
子供を埋めない体となった、諒子は何としても真一を守るべく、産婦人科の新庄に相談する。新庄はウイリアム・アンド・トンプソンのフレッチャーに相談する。フレッチャーはこのマリア・プロジェクトを考えた人間であり、新庄を誘い、最初の卵子(つまり諒子と瀬島の子供)の提供で、マリア・プロジェクトを推進している人物であったが、一方で臓器移植で巨大なビジネスをマニラの研究所で行なっていた。つまり、臓器移植の臓器を調達する為にトンドから子供を誘拐し、また一方で代理母の出産ビジネスの為に日本人女性の卵子を手にいれ、代理母の為の子供を生ませると同時に、その卵子を使って予備の子供も生ませていた。

新庄の紹介で、2歳の真一の心臓移植を受ける為に、マニラに来た時、偶然瀬島と会い、心臓移植の話する。

鳥河麻里とマリオの弟ジュエルがまたもや誘拐される。ジュエルがいなくなった事から、マリオは必死になってジュエルを探す。そんなマリオを側面から瀬島はカバーしてやる。親方のオランドも部下を使って情報を得ようとするが、誘拐後一ヶ月探しても有力な情報がつかめない。

無事心臓移植に成功し、日本帰国半年後、肺膿瘍と言う死の病気に感染し、亡くなる。この時に帝都大学の担当医から、心臓移植された真一の心臓を摘出保存したい要望を受け、了解する。

絶望の諒子に対し、産婦人科の新庄は、諒子の堕胎した子供の卵子を熟成させ、凍結保存して有ることを告げる。その凍結保存してある卵子を使えば、今の夫の精子を使って体外受精と代理母による子供が生む事が出来ると・・・。この事を諒子は瀬島に話する。つまり自分らの子供の卵子が少なくともこの世に20個は存在する事、且夫との子供は、瀬島に取って孫ができる事を意味した。

諒子から話を聞き、瀬島はある結論に達した。神をも恐れぬおぞましい臓器移植の為の試験管ベビー。
瀬島は、諒子に移植された心臓のDNA鑑定を依頼する。

4人の誘拐に手を貸したテオドロは、酒に溺れる生活を送り、酒が無くなった為に酒屋に買いに行くが、意識モウロウとした中で手にした大金を店主に渡した事を店にいた男に見られ、帰る所を襲われる。オランドの所の若者が血を流して倒れているテオドロを見つけ、家まで運んで手当てしていると、引き出しから5万ペソと言うトンでもない大金を発見する。オランドとマリオは、消えた子供達にテオドロが関係しているのは間違いないと考え、テオドロの口を割らせるが、誰が何の目的で誘拐したのか?テオドロは知ってはいなかった。

真一と移植された心臓のDNAは、全く一緒の物と判明した。つまり、諒子と瀬島との間にできた子供の卵子を培養し、代理母を使って生まれた子供の心臓が移植されていた事になる。

誘拐され、ウイリアム・アンド・トンプソン研究センターに監禁されていた麻里は、ジムにいる時に、芝刈りをしているガーディナーで耳と口が障害のネスター・ジャレットと目が遭う。ネスターはアメリカの手話で「ドウシタ」と語りかけてきた。麻里はネスターに手話で「セジマニレンラクヲトッテホシイ」と依頼する。

セジマは自宅のガードマンに、呼び止められる。客がまっていると。ネスターであった。遂に、組織と監禁されている場所が発覚した。すぐマリオに連絡をとると、オランドも来ると言う。オランド、マリオとセジマそしてオランドを親と慕う若者の計10人が、監禁されている場所を襲撃し、娘や子供達そして諒子と瀬島の凍結卵子を救う為に決起した。フィリピンでは、警察に通報しても、既に賄賂等で証拠隠滅されてしまうからである。
自分達で、救うしかない。

監禁されているウイリアム・アンド・トンプソン研究センターには、20人以上のガードマンがおり、何れもショットガンや銃を持っている。はたして、瀬島たちは無事救出擦ることができるのか???

女性や子供達(生きたまま臓器移植寸前のジョエルを含む)を救出したが、仲間が多くなくなった。オランドも・・・。
負傷を追った瀬島だが、病院に入院している間マリオがプロジェクトをうまく処理してくれたが、そのプロジェクト終了と共にマリオは辞職願を提出した。マリオは救出した、アリシアと結婚し、トンドでオランドの後を継ぐ決心をする。瀬島は日本に帰国の内示が出る。諒子は、瀬島が取り戻した凍結卵子を使って今の夫の精液を使い代理出産をアメリカでおこなった。つまりそのできた子供は、瀬島の孫になる・・・。




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