社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

楡周平『朝倉恭介 Cの福音・完結編』

2008-09-08 08:13:51 | 趣味(読書)


楡周平『ターゲット』に続く、朝倉恭介シリーズの続編であり、完結編です。



飛行機事故で両親を早くに亡くし、天涯孤独となった朝倉恭介は、米国の名門ブラウン大学での友人リチャードと通じて、父親ファルージオ(マフィアのボス)とつながり、日本でのコカインネットワークを構築した。その後マフィア間での抗争の中で、ファルージオが襲撃を受けた事により、新しいボスを、ケンタッキーの山中で知り合ったアラン・ギャレット(戦闘ヘリ「コブラ」の元パイロット)と共に抹殺してしまう。その後、CIAの極東担当の上級アナリストのロナルド・ベーカーに、工作員としてCIAにスカウトされる。恭介は日本のコカインネットワークの存在を知られない為に、CIAの要求を受ける。CIAの工作員養成のプロ(元グリンベレー)のアレックス・ワーグナーに暗殺の全ての知識を叩き込まれた後、一度限りの仕事として、日本の在米軍基地にウィスル兵器をばら撒く計画の7人の北朝鮮工作員を全て抹殺する事に成功する。その後日本を離れ、闇と消えた恭介の裏を知ったCIAは・・・。と言うのが今までの概要です(川瀬雅彦のクーデター、クラッシュを除く)。



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恭介は、組織の幹部であり、恭介を理解する唯一の人間ビンセント・カルーソから、ファルージオが亡くなった連絡を受け、また闇に消えるが、一方で自分が不在の日本でコカインネットワークを維持しているパートナーの田代が失敗する事を予測し、日本でのコカインビジネスを終了させる為に田代を米国で組織に始末させる。ファルージオが亡くなって、7ヶ月後にやっと最後の別れの為に、リチャードとファルージオの墓を訪れたが、その墓には『YOUR YOUNGEST AND STRONGEST WILL FALL BY THE SWOOD』(お前達のなかで、最も若く、最も強い物は、剣によって倒されるであろう)のメッセージを見つけるが、その文句は死して後、ファルージオが自分の為に残していったメッセージの様に思えた。



一方『週間毎朝』専属のジャーナリスト(戦場カメラマン)川瀬雅彦は、『週間毎朝』編集長で雅彦の後ろ盾でもあり、友人でもある北代忠敏から、コカインネットワークの取材を依頼され、コロンビアに飛ぶ。コロンビアでコカインの生産地を見る為に雇ったパイロットが、アラン・ギャレットだった。不運にもギャレットの操縦するヘリは墜落し、二人とも助かるが、重傷を負ったギャレットは麻酔(モルヒネ)の為、雅彦を恭介と間違い、「アサクラ・キョウスケ---コブラ---家ごとぶっ飛ばす---襲撃は成功した---マフィアの連中は全滅---タンパ---市警のヘリを撃墜---」の言葉を雅彦に喋ってしまう。



CIAは、電話、インターネットの盗聴システム:エシュロンシステムと、田代の死体が身元不明ではなく、日本人と認識できる形で発見され且つ、コカインに犯されていた事から、この事件に恭介が絡んでいる事を知り、且つタンパでのマフィア全滅も関係している事を予測する。



雅彦は北代にギャレットの話をし、タンパでのマフィア事件を知る。更に何時も二人で行く居酒屋のママ山村裕子から、相談を受け、裕子の夫がフリーのテレビ・プロジューサー山村秀樹(恭介のコカインネットワークの「ひよこ」の一人だったが、台湾マフィアに殺された)の妻だった事、突然新人女優といなくなった事、アメリカから帰ってきてから羽振りがよくなった事、その後贈られたきた郵便に白い粉が入っていた事等を話した。



一方で、北代と雅彦は、田代が急激に日本でのコカインビジネスを伸ばしていたが、それは高校生への販売であり、その一人の売人でもあり、田代の愛人でもあった女子高校生の桑島美菜と会う。そして、コカインビジネスの一部と田代とアサクラ・キョウスケとの関係を知る事になる。
雅彦は、田代殺人の事件にアサクラ・キョウスケが関係している事を確信し、残された山村秀樹のPCのメールアドレスから、キョウスケにメールを発信する。恭介は、雅彦と会う事にするが、会うつもりはなく、待ち合わせ場所のファミレスで、プロパンガスにより車爆発で、雅彦を処分する事を実行するが、失敗する。



コカインの日本への送付に失敗したマフィアからの連絡で、恭介は最後のコカインをピックアップして、日本を離れる予定であった。そのコカインを乗せたコンテナ船が台風による事故で、日本につく直前何本かのコンテナが海岸に流されると同時に何本かが波でひしゃげてしまう。税関立会いの下、コンテナを調べると、肥料の筈が、コカインであった。これで、コカインの日本持込方法が完全に日本の警察とCIAに知られる事になり、それの主犯が朝倉恭介であるとCIAは確信し、警察に捕まる前に恭介を始末する為に、元恭介の教官アレックス・ワーグナーを派遣する。



恭介は、日本の警察と、CIAがそこまで迫っているとは知らない中で、何時もの様に、保税区のコンテナ倉庫に中身のピックアップに来るが、ワーグナーの襲撃を受け、奇跡的にその場を逃げる。が警察、CIAと雅彦の追跡を受ける事となる。逃げる恭介のカローラの前に、両側をパトカーに挟まれた暴走族が道をふさぐ。恭介は、サイドウィンドーから暴走族に向かって、一分間に1000発発射可能なイングラムをぶっ放す。さらに追いかけてくるパトカーに手榴弾を使って、爆破させる。追ってきたCIAの追跡者もそのままそのタクシーに追突し、大破する。雅彦はそのCIAの死体の近くに転がっていたセミオートマチックピストルを拾うと共に恭介を追う。暴走族の群れに突入して止まったもう一台のパトカーからは、県警本部に追跡応援の連絡が入る。



追い詰められた恭介は、コンテナヤードに入りその中で追ってきたパトカー2台と乗員していた警察官をイングラムで抹殺するが、もうイングラムには玉は残っていなかった。後は港湾に飛び込むしかなかったが、逃げられないのは確実だった。飛び込もうとした瞬間、雅彦は平気で多くの人間を躊躇する事無く殺害を重ねて来た恭介に、セミオートマチックピストルを発砲した。



恭介は、身が宙に浮いている中、わき腹に凄まじい衝撃を感じた。俺はここで死ぬのだろうか---。ふと脳裏にファルージオの墓に刻まれた文言が浮かんだ。『YOUR YOUNGEST AND STRONGEST WILL FALL BY THE SWOOD』。



懸命な捜索にも関わらず、朝倉恭介の死体は見つかる事がなかった。彼が残したイングラムやその指紋から彼の存在が確認できたが。雅彦が見たCIAの男やピストルの存在も秘密にされたまま・・・。

朝倉恭介A.jpg書籍名:『朝倉恭介 Cの福音・完結編』
著 者:楡 周平(にれ しゅうへい)
発行所:株式会社 宝島社
発 行:2001年3月16日初刊発行
定 価:1,429円+税
頁 数:縦一段組み452ページbr>



<ハードカバーの帯の作品紹介>br>



「Cの福音」「猛禽の宴」「クラッシュ」「ターゲット」・・・壮大なラスト



絶対絶命!
「コカイン・コネクション発覚!恭介を追い詰める警察・CIA・川瀬雅彦
再び火を吹くSMG・イングラム!



※さてとりあえず、氏の朝倉恭介シリーズ(日本のコカインネットワーク)に付いては、読破となったが、さて次は、川瀬雅彦の『クラッシュ』を読むか、他にも氏の多くの作品があるが・・・。また楽しみにして下さい。





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