コラム・インテリジェンス

様様な局面をウィットとユーモアで語る。
個性溢れるコラム。
だといいな、の世界。

この世の花

2007年08月12日 11時59分44秒 | Aくん
A君はロールプレイングの天才と言われている。ロープレマスター。
今回のテーマはその筋のこわいかたがた対策。
現役退役されたかたがたに揃っていただいた。壮観。光栄。恐縮。

A君のロープレマスターぶりを実際に拝見するのは始めてである。
社が違う。アタリマエ。が、今回僕は参加してくださるかたの紹介者であった。
立場上立ち会う羽目に陥った。オブザーバーとして列席させられた。

ロープレとわかっていても現役退役のかたがたの迫力は凄いものがある。
泣き出す女子部員。粗相をしてしまう男子。卒倒するものが続出した。

そんななかにあってもA君はさすがであった。落ち着いて応対している。
隙がない。筋が通っている。本領発揮。A君は絶好調。そして最後にやらかした。
「○○さん!このかたたちこわすぎるんですけど!」ロープレです!


A君から電話をいただいた。彼女と一緒にいるという。もめていると言う。
僕は以前A君に、彼女はA君にとってはこの世の花なのですと言ったことがある。
あなたにとってただ一つのかけがえのない花なのだよと申し上げたことがあった。

A君はいまもめている最中に切り札としてこの言葉を彼女にぶつけたという。
「あんたなに言ってるのかわけわからない!」彼女に言われたらしい。
なんといったのでしょう。どのようにお話したのでしょう。A君に問い正した。
「だから彼女に何度も言ってるのですよ!この世は花でしょうって!」


深夜にA君とお酒を飲んで帰社した。僕のデスクでまた盛り上がった。
なんのお話だったのかは覚えていない。ブラックアウト。あんどアルツ入ってます。

後日また、そのお話で盛り上がった。A君と僕は常に新鮮な話題で意気投合する。
スタッフが何人か集まってきた。呆れている。怒っているものもいるらしい。

寄って集って同じご指摘の集中砲火。それでもよく理解はできなかった。
「あんたたちその話、この前そっくり同じ話で盛り上がっていたの覚えてないの!?」
「それともお前たちホントにホンマモンなんかい!?」「いい加減にしたほうがいい!」

A君と僕は今日もまた、新鮮な話題で盛り上がっているのです。
「あんたたちのことを “ この世は花 ” と言うのだ!この浮かれ者メが!」

お会計

2007年07月24日 07時37分34秒 | Aくん
飲食の会にA君と僕がそろって顔を出している時、
そろそろお開きになるというころになるとA君はかならず
小声で僕に「ちょっと、先にお会計済ませてきちゃいますね」と囁いて席を立つ。

領収書が何処にどのように回るのかは企業秘密。

A君と僕はその日、パブリックなスペース、都営のミュージアムにいた。
ラウンジで二人で缶コーヒーを飲んでいた。
話がべらぼうに盛り上がり、次の打ち合わせの時間が迫っていた。

時計を確認してA君は慌てた。A君は何を思ったのかすっと立ち上がり
僕に「ちょっと、先にお会計済ませてきちゃいますね」と急に声を落として言った。
公営ミュージアムのラウンジで缶コーヒーの代金をどこに払いに行くつもりなのだ。

小走りで立ち去りかけてA君は、再び大声に戻って僕に言った。
「○○さん!もう~やだな~♪会計なんていらないんじゃないですか~♪
どこで払わせるつもりだったんですか~?勘弁してくださいよ~ガハハハハハッ」
支払わせるつもりはない。自販機に払った。僕はなにも言っていないのだ。


その会議は長引いていた。A君と僕もそろって出席していた。
二人とも飲み物ガブガブ、ガブ飲み体質だ。
他のかたは全員コーヒー1杯で済ませていた。
僕たちはその間、コーヒー、アイスコーヒー、麦茶、アイスティーと飲み続けた。

主催社が気を使ってサンドイッチや、クラッカーも並べられていた。
が、どなたも手をつけていない。僕たちは自分たちの前の分を平らげ、
両隣のかたたちの分までいただきまくっていた。飲みも飲んだり、食いも食ったりの図。

主催社のかたが閉会のご挨拶をしている。その時だ。A君は小声で僕に囁いた。
「ちょっと、先にお会計済ませてきちゃいますね」まずい。ここで立ち上がるのはまずい。
僕は首を横に振って合図した。

何度も飲み物を運んでくれた女子社員とは顔なじみである。
A君はその女子社員に小声で囁いた「お会計しておいて!」


Y子とA君と僕をいれた何人かの飲み会があった。そろそろお開きである。
Y子はA君に囁いた「そろそろ○○は引き上げるよ」
A君は僕に囁いた「ちょっと、先にお会計済ませてきちゃいますね」

途中でA君が引き返してきた。怒っている。「がははははははっ」Y子は笑っている。
Y子が言った「バ~カ♪ひっかかってやがんのっ♪がはははははっ」A君は怒っている。
「Y子さんがいるのになんで俺が会計しに行かなきゃならないんですかぁ!」

A君は僕と一緒の時はどんなときにでも会計に立ち上がるということが、
かねてからスタッフの間では話題になっていたらしい。パブロフ。
彼女たちから見ればそれは出すぎた行為に映っていた。越権行為。

あくまでスタッフは身内、A君は外部の人間なのだ。
この場合も本来はY子のお役目。いつもそれを横取りするA君にY子が仕返ししたのだ。
後日この話をオフィスで披露すると、歓声と共にY子は英雄になった。

僕はA君が少しだけかわいそうな気になった。なぜなのかはわからないのだが、
なぜかA君がいとしく、かわいらしく、大切な人間に思えてきたのでした。

勘違い

2007年07月17日 10時53分04秒 | Aくん
A君と僕は駅の券売機の前にいた。券売機は何種類も、何台も並んでいた。
僕たちはどの券売機で、どのボタンを押せばいいのか途方にくれていた。

「目の前の190円ってボタンを押せばいいのよー!」
A君の隣にいた女性が大声で怒鳴った。僕たちに話しているのではない。と思った。

「え?!190円のボタン?これを押せばいいんですか?」
A君はその女性に尋ねた。その女性は「あっ!違うんです!違います!」
「えっ?違うんですか?190円のボタンって仰いませんでした?」
「違うんです!そうじゃないんです!」女性は困惑している。呆れてもいた。

「えっ?違うんですか?じゃあ、いくらのボタンを押せばいいんですかねぇ?」
いい加減にしたほうがいいと思う。A君はまだ女性に食い下がっている。

あの人はA君に話していたのではない。
僕たちの向こうにいる人に、僕たちをはさんで向こうにいる人に、
向こうにいたあの人の連れに話していたのだ。僕はA君に説明した。しつこいくらいに。

「俺ってもてるっしょ?♪見てくれいいから。で、よくこういうふうに話しかけられちゃう♪
 勘違いしちゃってるんでしょうね。僕はそれほど軽い男じゃないのに!」
勘違いをしているのは、どちらかというとA君のような気もした。

それでも「おうおう、そうかそうか、わかったわかった♪
どうでもいいことかもしれないけど取り合えずキップを買ったほうが懸命だと思う」

納得してくれたのかどうかはわからない。わからないので仕方もない。
それでもA君と僕は改めて二人がかりで、券売機とにらめっこを始めたのでした。

正しい電話のかけかた

2007年07月06日 16時02分39秒 | Aくん
A君と僕はお互い別々のお相手と電話で話をしていた。
A君が電話口で話している。「○○さん!違いますよ!」
僕も○○だけど、A君の電話のお相手も○○なのかな?

A君と僕はすぐそばにいるけど、お互い顔は見えない。
A君は再び「○○さん!違いますって!」僕のこと?僕に話しているの?

「あっ!すいません!こちらの話でした!」○○さん!○○さん!
「あっ!すいません!こちらの話なんです!」○○さん!○○さん!
「あっ!度々すいません!少々お待ちいただけますか?」

A君が電話を手にだらりと下げて、僕の前にやって来た。
「○○さん~!違いますって!○○さん、日時を間違えて話してるって!
 さっきから言ってるのに!僕の声聞こえませんでした?」

どうやらA君は先ほどから僕に話しかけていたらしい。
「A君は他の人と電話で話していると思っていた。他の人と電話で話しながら
 僕の電話の話まで聞いているとは思わなかったのだ」

「ちゃんと聞いてましたよ♪○○さんはいい加減なんだから~♪
 日時を間違えるんじゃないかと気になっていたら、やっぱりなんだもん♪
 いくら呼んでも反応がないので、○○さん、
 とうとう自分の名前までわからなくなってしまったのかと思っちゃった♪」

「どうもありがとう。でもAくん、それはそうと、A君の電話のお相手、
 あまりお待たせしちゃまずいんではないかい?」
A君は慌てて先方とのお話を再開したのでした。


ごーごーねくすと!

2007年06月24日 13時49分54秒 | Aくん
Aくんと僕は英語が苦手である。本人たちは日常会話に不自由は感じていない。
が、第三者的にはかなりご不自由されている二人らしい。

当然、英語での商談打ち合わせも苦手である。
それでもくち数が減ることのない二人にはずいぶんなストレスとなるのだ。

「ジャパンで仕事してるのだから、ジャパニーズでいくべきですよね!」
「ホントホント♪僕たちが英語も苦手ということもあるけどね」
「それにしてもですよ!ジャパニーズがジャパンでビジネスするのに
 なんで他国語つかわにゃならんの?英語嫌いなんすよ!」
「そうそう!英語嫌い♪男の外人好きだけど女の外人好きくない(笑)」
「俺は好き!大好物!外人で日本語得意な女性はもっと好き!」
話題が跳びすぎた。いつものことではある。

「で、Aくん、ネクストは?」「アイシー!プロジェクト6あたりいきます?」
「シー♪でプロジェクト6ってなんだっけ?」
「ノウノウ!モーストインポータントでちょっとインポッシブルだよ!」
「ソーリーソーリー!あんどインセンティブも含むってやつだね」
「グレート!なのでオファーのプライオリティよりプレゼン順でいきますか」
「オーオー!ファイン!ファイン!あんどネクストいこうぜ!」

周囲から抗議と罵声の集中砲火を受けたのはこのときだった。
「あんたたちおかしいよ!」「あきらかにへんだよ」
「てゆーかこいつらバカ?」「言えてる!しかもホンマモンだよ!」

Aくんと僕は英語も苦手です。しかも嫌いです。