夕焼け金魚 

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小さな小さな花火大会

2017-08-04 | 日記
暑い日が続きます。
寝苦しくて、夕涼みに出ていたのです。
ブラリと歩いていると女の子とお母さんが線香花火をしていたのです。
二人とも浴衣を着ていて、涼しげな感じでした。
女の子が傍らのロウソクに花火をかざすと、小さな火が点いてまん丸な玉になってチカチカ光り出すのです。
小さな小さな花火なのですが、その光に照らされて女の子の顔が見えました。
小さな花火に何か一生けいめい話しているようでした。
何を話しているのかは分かりませんでした。そんな女の子を傍らに立ってお母さんが笑って見ているのです。
何も話さずに、ただ、ただ静かに笑っていたのです。
花火の煙が風にたなびいて、少しだけ目にしみました。
全国でも花火大会が行われていますけど、その多くが追悼の意味があるのです。
隅田川の花火大会は両国の川開きとして行われ、その由来は享保の大飢饉の犠牲者を悼むために行われた水神祭りが由来とされています。
綺麗と思って見ていても、その陰には犠牲となった方々の追悼の意味があるのです。
夜空に大きく開く花火を見て、在りし日の方を偲んでいる人がいるかも。
そんなことを考えていたら、女の子を呼ぶ声がしました。
「ひとりで花火をしていると危ないから、家に入りなさい」とおばあちゃんらしい方の声がしたのです。
女の子が「はい」と言って家の中に入っていきました。
私とお母さんらしい人だけが、暗い道に残されてしまいました。
会釈されたのですけど、どうしていいのか、笑うだけです。

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