雪
のち雨
のち曇り
。最低気温0.8度。最高気温5度。目まぐるしく変わる天気。
新学期が三月から始まる韓国では、今が卒業式シーズンだ。
私の学校でも十時半から学位授与式が行われた。
日本のそれと違って、韓国では“卒業式”と言えば一大イベントだ。両親はもちろんのこと、祖父母や親戚など一族総出でお祝いに駆けつける。主人公である卒業生は全員黒いガウンに角帽というのが正装だ。卒業式前に写真館などで家族写真を撮ることが多いので、ガウンと角帽は、卒業式の数日前から学校で貸与してくれる。私の学校では二万五千ウォン(2,500円)を保証金として払い、卒業式当日の夕方までに返却すると、保証金全額と卒業証書（学位証）を貰えるというシステムになっている。
韓国では卒業祝いには花束という“お決まり”があるので、私も近所のお花屋さんで一束一万ウォン(1,000円)の花束を購入。六つもの花束が入った超特大のビニール袋を抱えて地下鉄に乗り込んだ。
今日は卒業式の“集中日”とラジオで言っていた通り、車内は実に様々な色の花束を抱えた人たちで溢れていて“お花畑”と化していた。普段は殺風景な地下鉄の車内も、今日ばかりは一足先に春が訪れたように、実に華やかだ。家族や親戚、友人、先輩や後輩たちの卒業祝いに行くのだろう。花束を抱えた人たちの表情も、花に負けず劣らず華やかだ。さすがに六つもの花束を抱えているのは私だけだった。
大学の最寄駅前は、一体どこから集まって来たのか知らないが、花束を売る露店でびっしりと埋まっていた。花とは全く関係の無い青果店の店先にも花束が並べられている。値段は“ご祝儀価格”だ。バラの花一本が五千ウォン(五百円)以上。私が買った花束の三分の一くらいの大きさの花束には二万ウォン(二千円)以上もの値がつけられていた。いつもなら一万ウォン(千円)も出せば露店でバラ百本は買える。
駅前から大学へ続く道路は、のきなみ車が一杯でびくともしない。朝から降り続いている雪が、混雑に拍車をかけていた。普段は駅から大学までバスを利用する私も、今日ばかりは歩いて学校へと向かった。
大学の正門前は駅前以上に車と人で溢れかえっていて身動きがとれない。花束を売る人、写真フィルムを売る人、ホットコーヒーやキンパプ(のり巻き)を売る人たちも一人でも多くの客を取り込もうと客寄せに必死だ。
正門から卒業式会場の建物まで、車と人をかきわけてなんとかたどり着く。会場入口前で、私より一足先に着いていた同期の日本人留学生Kさんとようやく会えた。横なぐりの冷たい雪が降りしきる屋外とは対照的に、会場内は人いきれで蒸し暑く、メガネが曇って仕方がなかった。
ホール内ではまだ式典が続いているようだったので、ロビーで式典が終わるまで待つことにした。卒業式が行われている建物には入学以来、初めて足を踏み入れたが、吹き抜けの高い天井からは大きなシャンデリアが下がり、床や壁のタイルも見事に磨き上げられていて、まるで高級ホテルのロビーのような造りだった。
式典がおわると、ロビー内は黒いガウンに角帽をかぶった卒業生とその家族たちで埋まり、“撮影大会”が始まった。あちこちでフラッシュがたかれている。
同期たちも一人、二人とロビーに姿を現した。とにかくみんな嬉しそうだ。「チュッカヘヨ(おめでとう)！」という言葉とともに花束を贈る。私はまだ日本にいると思っていたらしく、私の顔を見るなり、みんな驚いた表情で「いつ韓国に戻ってきたの？」という質問攻めにあった。
私たちも何枚も記念写真を撮り、ともに卒業を祝った。
卒業式後は、近くのお店で親族一堂昼食をとるというのが韓国でのお決まりのコースだ。そんな訳で、午後三時過ぎに再び学校で会う約束をして、卒業生は皆それぞれ、一旦私たちと別れて食事に出かけた。三時過ぎ、卒業生は教授らへの挨拶を済ませ、ガウンと角帽を返却し、保証金二万五千ウォンと卒業証書を手にした。
学校近くの行きつけの“韓国伝統茶”の店でお茶をしてから、夕食(韓国風しゃぶしゃぶ)をみんなで囲んだ。入学以来、今まで何度となく同期と一緒に食事をしたが、今夜の食事は最高に美味しかった。今日卒業した同期たちの晴々とした笑顔が一番の“隠し味”だ。
午後から雨に変わった雪も、夕食を終えた頃にはすっかり上がっていた。
「愛する同期のみんな、卒業(修了)おめでとう！みんなと韓国で出逢えて本当に嬉しかったよ
！これからもお互い良きライバルとして頑張ろうね！ベテラン韓国語教師目指してみんなガンバレ
！」
写真は昨日(15日)の午後撮影した大学正門。「慶祝2004学年度前期学位授与式」と書かれた看板が掲げられている。
のち雨のち曇り。最低気温0.8度。最高気温5度。目まぐるしく変わる天気。新学期が三月から始まる韓国では、今が卒業式シーズンだ。
私の学校でも十時半から学位授与式が行われた。
日本のそれと違って、韓国では“卒業式”と言えば一大イベントだ。両親はもちろんのこと、祖父母や親戚など一族総出でお祝いに駆けつける。主人公である卒業生は全員黒いガウンに角帽というのが正装だ。卒業式前に写真館などで家族写真を撮ることが多いので、ガウンと角帽は、卒業式の数日前から学校で貸与してくれる。私の学校では二万五千ウォン(2,500円)を保証金として払い、卒業式当日の夕方までに返却すると、保証金全額と卒業証書（学位証）を貰えるというシステムになっている。
韓国では卒業祝いには花束という“お決まり”があるので、私も近所のお花屋さんで一束一万ウォン(1,000円)の花束を購入。六つもの花束が入った超特大のビニール袋を抱えて地下鉄に乗り込んだ。
今日は卒業式の“集中日”とラジオで言っていた通り、車内は実に様々な色の花束を抱えた人たちで溢れていて“お花畑”と化していた。普段は殺風景な地下鉄の車内も、今日ばかりは一足先に春が訪れたように、実に華やかだ。家族や親戚、友人、先輩や後輩たちの卒業祝いに行くのだろう。花束を抱えた人たちの表情も、花に負けず劣らず華やかだ。さすがに六つもの花束を抱えているのは私だけだった。
大学の最寄駅前は、一体どこから集まって来たのか知らないが、花束を売る露店でびっしりと埋まっていた。花とは全く関係の無い青果店の店先にも花束が並べられている。値段は“ご祝儀価格”だ。バラの花一本が五千ウォン(五百円)以上。私が買った花束の三分の一くらいの大きさの花束には二万ウォン(二千円)以上もの値がつけられていた。いつもなら一万ウォン(千円)も出せば露店でバラ百本は買える。
駅前から大学へ続く道路は、のきなみ車が一杯でびくともしない。朝から降り続いている雪が、混雑に拍車をかけていた。普段は駅から大学までバスを利用する私も、今日ばかりは歩いて学校へと向かった。
大学の正門前は駅前以上に車と人で溢れかえっていて身動きがとれない。花束を売る人、写真フィルムを売る人、ホットコーヒーやキンパプ(のり巻き)を売る人たちも一人でも多くの客を取り込もうと客寄せに必死だ。
正門から卒業式会場の建物まで、車と人をかきわけてなんとかたどり着く。会場入口前で、私より一足先に着いていた同期の日本人留学生Kさんとようやく会えた。横なぐりの冷たい雪が降りしきる屋外とは対照的に、会場内は人いきれで蒸し暑く、メガネが曇って仕方がなかった。
ホール内ではまだ式典が続いているようだったので、ロビーで式典が終わるまで待つことにした。卒業式が行われている建物には入学以来、初めて足を踏み入れたが、吹き抜けの高い天井からは大きなシャンデリアが下がり、床や壁のタイルも見事に磨き上げられていて、まるで高級ホテルのロビーのような造りだった。
式典がおわると、ロビー内は黒いガウンに角帽をかぶった卒業生とその家族たちで埋まり、“撮影大会”が始まった。あちこちでフラッシュがたかれている。
同期たちも一人、二人とロビーに姿を現した。とにかくみんな嬉しそうだ。「チュッカヘヨ(おめでとう)！」という言葉とともに花束を贈る。私はまだ日本にいると思っていたらしく、私の顔を見るなり、みんな驚いた表情で「いつ韓国に戻ってきたの？」という質問攻めにあった。
私たちも何枚も記念写真を撮り、ともに卒業を祝った。
卒業式後は、近くのお店で親族一堂昼食をとるというのが韓国でのお決まりのコースだ。そんな訳で、午後三時過ぎに再び学校で会う約束をして、卒業生は皆それぞれ、一旦私たちと別れて食事に出かけた。三時過ぎ、卒業生は教授らへの挨拶を済ませ、ガウンと角帽を返却し、保証金二万五千ウォンと卒業証書を手にした。
学校近くの行きつけの“韓国伝統茶”の店でお茶をしてから、夕食(韓国風しゃぶしゃぶ)をみんなで囲んだ。入学以来、今まで何度となく同期と一緒に食事をしたが、今夜の食事は最高に美味しかった。今日卒業した同期たちの晴々とした笑顔が一番の“隠し味”だ。
午後から雨に変わった雪も、夕食を終えた頃にはすっかり上がっていた。
「愛する同期のみんな、卒業(修了)おめでとう！みんなと韓国で出逢えて本当に嬉しかったよ
！これからもお互い良きライバルとして頑張ろうね！ベテラン韓国語教師目指してみんなガンバレ！」写真は昨日(15日)の午後撮影した大学正門。「慶祝2004学年度前期学位授与式」と書かれた看板が掲げられている。
