仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

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福田町南一丁目公園仮設住宅で送迎バスの運行を開始しました!

2011-10-19 08:58:53 | 活動報告(送迎支援)

 POSSEでは、9月20日(火)から仙台市宮城野区の福田町南一丁目公園の仮設住宅で、無料送迎バスの運行を開始しました。送迎事業は8月から宮城野区の扇町一丁目公園で開始しており、福田町南一丁目仮設住宅は、送迎事業を行う2ヶ所目の仮設住宅となります。運行初日は、台風接近に伴う大雨でしたが、2名の方に利用していただけました。
 福田町南一丁目公園では、ワゴンカーを用いて週に1回、一日5回(9時半、10時半、11時半、13時半、14時半)の運行を当面行います。住民の方がバスの利用方法をイメージしてもらいやすいように、仮設住宅の集会所を出発して近くのスーパーや病院、JRの最寄り駅を循環する基本ルートを組んでいます。時刻表と基本ルートを記したチラシを戸別訪問をして配布し、住民の方に送迎事業を周知しました。
 私たちの送迎事業は、単に公共バスの機能を代替するものではありません。
 第一に、運行に柔軟性を持たせていることに特徴があります。
 一般の公共バスは、固定ルートに沿って定刻に停留所を通るような運行ですが、私たちの送迎はそのような硬直的なものではありません。確かに、基本ルートを設定してはいますが、そのルートに縛られることなく、柔軟に対応します。たとえば、ご友人のお宅に立ち寄ってから買い物に行きたいという方、郊外の大型スーパーやアウトレットモールに出かけたい方の要望にお応えしています。乗り合いタクシーのようなイメージで、乗車時に住民の方のニーズを聞いて臨機応変に運行します。
 第二の特徴は、送迎を軸に、関連した支援も行うことです。
 利用者の方を目的地まで送迎するだけでなく、付随したお手伝いも行います。たとえば、スーパーで買い物の補助をしたり、ホームセンターで一緒に商品を選んだりといったことから、購入した家具を組み立てたり、役所の手続きに付き添ったりということもしています。送迎のみに限定することなく、利用者とコミュニケーションをとりながら、必要とされている支援を行っていきます。
 このように、複雑化した運行や、送迎以外の要望にも柔軟に対応できるからこそ、NPOとして送迎事業に取り組む意義があると考えています。
 POSSEが送迎事業を通して成し遂げたいことは、三つあります。
 第一に、移動が困難な方やその家族の生活を直接に支援することです。
 現在送迎を行っているのは、不便なところに立地している仮設住宅です。徒歩圏内に買い物をするところがなかったり、最寄りの駅やバス停が離れていたりという状況です。高齢者だとスーパーへ歩いて行くだけで一苦労で、若い方でも車がないと重いものを買って帰ることができません。また、定期的な通院を必要とする方で、震災後かかりつけ病院が遠くなり、家族の送迎やタクシーに頼っているという方もいます。送迎バスの運行により、こうした移動が困難な方やそのご家族の負担を少しでも軽減することが狙いです。
 第二に、被災者間のコミュニケーションを推進することです。
 阪神大震災では、仮設住宅での孤独死が大きな社会問題となりました。孤独死したのは、もともと地域に上手く溶け込めなかった人や、貧困であった人たちだとも言われています。孤独死を防止し、コミュニティをいかに維持するかは、仮設住宅の暮らしを考える上で重要な問題です。確かに、仙台市の仮設住宅の多くはコミュニティ単位での入居を条件としたために、地域の顔なじみ同士で入居しているケースが多いです。しかし、従来のコミュニティが強固であっても、合間に外部から入居してきた単身高齢者も一定数存在しています。そうした方は、周囲に知り合いがいない環境の中、孤立しがちです。また、そもそも扇町一丁目公園のように石巻など遠方からバラバラに人が集まっている仮設もあります。普段部屋にこもりがちな方にとって、私たちスタッフと話して気分転換したり、他の住民とのコミュニケーションをとったりするきっかけになることを目指しています。
 第三に、住民との信頼関係を醸成し、より深い生活上の問題に対しても支援していくことです。POSSEでは、被災者の抱える生活上の問題を制度的に支援していくこと、制度的不備があればその問題を可視化させ、制度自体を変えていくことに取り組んでいきます。そのために、定期的に顔を合わせる中で、本当に困ったことが発生したときにも気軽に相談してもらえるような関係性を築きたいと考えています。他の仮設では、引っ越しを通して知り合った住民の方から、実は無保険状態である、実は生活保護を打ち切られてしまったという相談を受けています。しかし、相談者が深刻な話をいきなり打ち明けて下さることはありません。スタッフが何回も仮設に足を運ぶ中で、ようやく少しだけ漏らして下さいます。本当に困っている人ほど、自らを責め、声を挙げることができません。また、相当な信頼関係のある相手でないと声を挙げることも難しいです。こうしたことから、被災者の生活にかかわる深い部分まで支援を行うには、長期的な信頼関係を構築することが不可欠です。被災者が生活上抱えている問題に対して、こういう支援枠組みや制度を使えるという情報提供や手続きの支援を行えるような関係性を構築していきたいです。
  
以上が、送迎事業の特徴と主旨ですが、今回運行を開始した福田町南一丁目公園仮設住宅は、自治会と恊働しながら事業を進めているのが特徴的です。
 扇町一丁目公園では財団法人パーソナルサポートセンターとの恊働で送迎を進めています。パーソナルサポートセンターは、仙台市から委託を受け仮設住宅で孤独死防止の見回り事業を行っている団体です。「絆支援員」と呼ばれる支援員を仙台市内のいくつかの仮設住宅に派遣し、毎日戸別訪問を行っています。扇町一丁目公園は、被災前の居住地がばらばらの住民が集まっていることもあり、7月頃から絆支援員が常駐しています。ここでは、絆支援員の方に送迎の予約を受け付けてもらうなど、協力関係を築けています。
 一方、福田町南一丁目公園は、沿岸部の集落に住んでいた方が集まっている仮設住宅で既存のコミュニティの結束が強いです。自治会も既に発足しています。しかし、自治会からは、コミュニティ外部から入ってきた住民について把握できていないので、送迎を通して分かったことがあれば教えてほしいとの要望をいただいています。福田町では、ほぼ全戸分の縁台を作成したこともあり、住民の方から一定の信頼を得ることができています。縁台を作成後に、戸別訪問でバスの利用ニーズを伺ったところ、利用したいという声や送迎に対する好意的な反応をたくさんいただきました。今後も自治会や住民との良好な関係を活かして、さらに生活上の深い問題にアプローチしていきたいです。具体的には、自治会と定期協議の場を設けることも考えています。
 
 POSSEでは、目の前にいる一人の被災者に向き合い、そこで必要な支援は何なのかを見極めながら、送迎の枠に限定せず、生活上の問題に対しても対応していきます。


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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

NPO法人POSSE仙台支部
所在地:宮城県仙台市青葉区一番町4-1-3 仙台市市民活動サポートセンター気付
TEL: 022-266-7630
Email:sendai@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
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