アークテクニコの2-2号機、「クレイジーバブルス」。1990年(平成2年)登場である。
「狂気のバブル」…何となく、当時の時代背景を象徴したような機種名であろう。1990年は、まさに空前のバブル景気がはじけ飛んで「日本斜陽」が始まった年でもある。
この「クレイジーバブルス」は、吸い込み連チャンの名機「アニマル」(2-1号機)と全く異なるゲーム性で奇をてらったものの、惜しくも一般受けするには至らなかった。外付けのスピーカーも特徴で、本機を設置していたシマには、頭上に黒い小型スピーカーなどが置いてあるのが定番だった。
ビッグボーナスもレギュラーボーナスも存在しない、シングルボーナスの集中(クレイジーボーナス)のみで出玉を増やす純粋なCタイプ。
この特異なスペック(純Cタイプ)をパチスロで最初に採用したのが、実は本機だった。
パネルで躍動するカラフルなバブルス達…結構な「ユルキャラ」である。
肝心の集中確率については、設定6…約1/180⇔設定1…約1/310と大きく離れており、低設定では当然勝ち目なし。
しかも、大量出玉を期待しがちな集中役も、本機ではビッグ一回分の枚数(約350枚)が出た時点で、即ゲームオーバーとなる。
「集中」とは名ばかりの、実質的にはビッグボーナス的存在だった。当然、一撃大爆発のチャンスはなかった。
もちろん、これは「ノーマル機」に限った事なのだが…。
一応、集中のパンク抽選も行われていたが、ほとんどありえない低確率の為、体験した人はほとんどいないと思われる。
(都内・某スロゲーセンでの再会時に、爆弾揃いを撮影)
この黒い「爆弾」絵柄が連続して揃うと、集中成立のサインとなる。同時に、中リールで発生する「スベリ」もアツかった。
ちなみに、中及び右リールには爆弾絵柄が1個しかなく、適当押しではバンバン取りこぼす。
先述の通り、集中は350枚の定量制であるから、爆弾取りこぼしは出玉的に何の影響もなかった。ただ、集中成立をいち早く見抜くには、爆弾の目押しが有効であり、また、集中消化時も等倍返しで爆弾が頻繁に成立する為、爆弾狙いはボーナス消化時間の短縮にも繋がった(目押しスピードが遅ければ意味はないが)。
さて、本機を語る上で外せないのが、リール上部でピカピカ光る、4つの「キャラクターランプ」の存在であろう。
クレイジーボーナス(集中)終了時は、このランプが、いずれかのキャラの所で停止するようになっていた。いわゆるルーレット機能である。
当時は、どの店でも「無制限営業」を行っていた訳ではなく、ビッグボーナスが終了する毎にコインをカウンターに流す「一回交換」のホールも存在した。そういったホールでは、このルーレット機能を出玉交換・継続遊技を決定する「ラッキーナンバー」ランプとして活用する場合があった。もちろん、無制限の店では単なる飾りである。
東京・渋谷駅の井の頭線沿いホール「パチンコ大番(OHBAN)」(閉店)に本機が設置されており、一時期、このラッキーナンバー制を採用していた記憶がある。シマの端に「本日のラッキーカラー」というパネルが貼ってあり、パネルに描かれたキャラが当日の「継続ナンバー」になっていた筈だ。
因みに、この渋谷「大番」のクレイジーバブルスは、妙に連チャンが続く時があったので、「裏モ〇」だった可能性が高い。
最後に、本機と同社の後継機「ワイルドキャッツ」(3-1号機)の関係について触れておく。
外観上は、全くといって良いほど共通点がない両者だが、実はリール配列が一緒だった。
シルクハット→7、爆弾→猫、オレンジバブルス→オレンジ、青バブルス→ピンクレモン、$シングル→プラム、¥シングル→ベルと絵柄を置き換えると、両者の各リール配列は完全に重なる。
何故そういった「流用」めいた事をしたのか…これは、当時の開発陣のみが知る所であろう。
因みに、キャッツのリール上部ランプ(猫と3色7)も、ビッグボーナス後のラッキーナンバーランプの役割を果たしていた。まぁ、一回交換のキャッツを打った経験はないので、あのランプのお世話には一度もならなかったが。
渋谷の大番に、確か6台だか12台だか設置されていましたね。
他では、相模原の大学院に有りましたが、私はここで毎日打ってました。
当時の資料で見たのですが、600~700台しか売れてなかったそうです。
今じゃ中古機を探すのも無理でしょうね。
でも、個人的には隠れた名機だと思います。