横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

家電のリモコン

2016-06-26 00:11:49 | おまけ!
おもちゃドクターは、自宅の”モノ”も直します。当然、DIYは大好きです。

ということで、よくある家の”モノ”修理記録です。テレビのリモコン、ステレオのリモコン、照明のリモコン等家の中にはたくさんのリモコンがあります。これらリモコンは、単三電池か単四電池を裏側のふたを開けて、セットするのが普通です。

このリモコン、電池交換のとき、裏ぶたの爪を折ってしまうことがあります。爪を折ってしまうと、ふたがしまりません。簡易の対応として、輪ゴムで裏ぶたを止めておくこともできますが、かっこわるいですよね。


折れた爪を接着材でつけるのは、強度的に無理があります。そこで、爪をあきらめ、別な方法で裏ぶたが固定される方法を考えます。よく考えれば、ほとんどのおもちゃは、プラスチックのケースをタッピングネジで止めています。おもちゃ用のタッピングビス(右)は、木工用のタッピングビス(左)と異なり、繰返し使用してもネジがばかになりません。


ということで、裏ぶたの底の部分に、穴をあけ、プラスチック用のタッピングネジで固定しました。1年に1回ぐらい開け閉めするぐらいなら、問題ないでしょう。

BRIOの機関車

2016-06-25 17:27:04 | 活動の記録
今日、6月25日は篠原地区センターでのおもちゃ病院です。天気は、曇り時々雨。そのせいか、5件のおもちゃしか来院しませんでした。その中で、一番早く直ったおもちゃ(ラジコン)と、一番長くかかったおもちゃ(BRIOの機関車)の2つを紹介します。

まずは、ラジコンです。最近のラジコンは、かっこいいです。

故障内容は、動きがおかしいとのこと。持ってきた男の子といっしょに、このラジコンを動かしてみると、前進しながらぎくしゃくしています。また、ハンドル操作をしても、タイヤが一瞬切れるだけで直進状態に戻ってしまいます。

故障原因はわからず、車体カバーを外し、前輪の構造が壊れていないか確認しましたが、おかしいところはなさそうでした。ということで、初心に戻って電池をテスターで確認してみると、

電圧は、どれも約1.3Vでした。これでは動かないですね。お客様は「電池、変えたんですけどねぇ」と。電池は、残りが見えないので、わからないのですよね。電池の取り扱いをお伝えして、約10分で修理完了。

次は、BRIOの機関車です。BRIOは、スウェーデンのメーカです。故障内容は、音はなるけど、全く動かないとのこと。


これは、モータが故障している可能性が高いと踏んで、中をあける事にしました。日本のプラレールと構造も異なりますし、一回り小さく、開けるのも一苦労です。車体の下部にある三角ネジを外し、中を見てみると、結構ギヤがぎっしり。


モータは外部から電圧を加えても動きません。まずは、モータを外さないとなりません。ギヤは複雑なので、写真をとって分解開始。取り出したモータは、水にぬれた様子があり、さびで固着しています。海外の特殊なモータですから交換するわけにもいきません。まずは、ディグリーザを吹いて、少しずつ動かしてみました。まだまだ固くて動かないので、タミヤの電動ドリルで強制的に回転させてみました。


それでも軽く動きません。あきらめて、モータをばらし、中のロータ、ブラシ、回転軸をきれいに清掃しました。


これで、モータは復活し、いい音で回るようになりました。直ったと思って、取り付けてみても動きません。複雑なギヤをよく見てみると、軸に固定しているギヤと、軸に固定されず自由に動くギヤがあることがわかりました。ひとつひとつ減速のルートをたどりながら、ギヤを確認し、自由に動くべきギヤなのに、軸に固着しているギヤを発見!これを清掃して、あとは組みつけるだけです。ここまで、2時間かかりました。何回、組み付け、分解を繰り返したことか。

さあ、最後の組み立てとおもってみたところ、泥沼にはまりました。組み立ては小さなボディのため、配線の取り回しが難しく簡単ではありません。何回も試行錯誤を繰り返すうちに、次々と基盤とスピーカやモータにつないでいる配線がとれていきます。配線が古くて固くなっているため、動かすと切れてしまうのです。組み立て、切れる、ハンダ付け、組み立て、切れる、ハンダ付けと何回も繰り返し、やっと完成しました。今日は、おもちゃも少なく、たくさんのドクターで分担しながら、結局3時間かかりました。ドクターの皆様、おつかれさまでした。

電池のまめ知識

2016-06-12 23:09:22 | ノウハウ集
おもちゃによく使われている電池は、ボタン電池と筒型の乾電池です。昔はゼンマイとかゴムが動力源でしたが、動く・音が鳴るおもちゃは、全て電池が必要です。今回は、電池のまめ知識について紹介します。

通常の使いきり型の乾電池は、大きな単一型でも細身の単四型でも、出力電圧は1.5Vです。大きさの違いは、放電容量にあります。大きい単一型の方が単四型の方より、放電容量が大きく、同じ電流を使うなら長い時間使うことができます。水を満たしたコップを電池に例えてみるとわかりやすいです。傾けて、水を地面にたらすとき、電圧は地面からコップの高さ、放電容量はコップの水の量に相当します。3V必要な電子回路の場合、電流の消費量が大きなおもちゃは、単一型を二本直列にしますし、電流の消費量が小さなおもちゃなら、単四型を二本直列にすれば十分となります。

電池には、充電可能なものもあります。以前の充電可能な電池は、ニッケルカドミウム電池が主流でしたが、最近では性能の上がったニッケル水素電池が多くなりました。この充電池は、使いきりの乾電池と異なる性質があるので、注意する必要があります。

一般の乾電池の出力電圧は、1.5Vですが、100%充電した充電池の出力電圧は、1.2Vです。充電池の出力電圧は乾電池より低いですが、放電容量が大きいのが特徴です。このため、充電池は短時間大電流を必要とするラジコンやスマホに適しているわけです。消費電流の少ない一般のおもちゃに、充電池を使うと、電圧不足で100%充電しても、動作が不安定になる可能性があります。逆に、大電流を必要とするラジコンに乾電池を入れると、あっという間になくなってしまいます。

最後に、電池使用期限(正しくは使用推奨期限)があります。食べ物の賞味期限は、広く知られていますが、乾電池に使用期限があることは、あまり知られていません。乾電池の使用期限は、期限が過ぎたら全く使えなくなるわけではありませんが、期限内であれば電池が持っている力を十分に使うことができるという意味です。食べ物の賞味期限も期日が来たら、すぐに食べられなくなるのではないことと一緒です。お客さんには、電池に使用期限があること、新旧の電池をまぜて使わないこと、長期間の未使用時には電池をはずすことなど乾電池の使い方をお伝えしています。


アンパンマンのキーボード

2016-06-12 22:40:34 | 過去の記録
アンパンマンは、子供達の人気者。当然、アンパンマンの○○というおもちゃがたくさんあります。おもちゃ病院によく持ち込まれるアンパンマンのおもちゃに、キーボード(電子ピアノ)があります。過去、いくつも直していますが、2つほど修理事例を紹介します。

<高級版のキーボード>
このキーボードは、音や音楽に合わせてアンパンマンが演奏してくれる楽しいおもちゃです。演奏にあわせて、マイクをつかって歌を歌う(カラオケですね)こともできます。


このおもちゃの故障は、マイクが使えないことでした。コンデンサマイクは故障しておらず、色々見ていると、ミニプラグの先端が外れていました。ジャックとの接触不良やプラグと二芯線の接触不良は多いのですが、プラグそのものが故障したのは珍しいです。新しいミニプラグにマイクをつけて、修理完了!。


<一般的なキーボード>
このキーボードは、よく修理依頼があります。私たちも経験豊富になってきたのですが、それでも違う故障に出会う事もあります。このときは、一般的な故障である、3つのキーが音が出ない状況でした。でも、原因は一般的ではありませんでした。


特定のキーがならない場合、そのキーの下にあるゴムボタンに接触している電子パタンの酸化が多いです。キーを押すとゴムボタンが電子パタンに押し付けられます。ゴムボタンは導電性があるので、電子パタンをショートさせ、メロディICに信号を送る仕組みです。この電子パタンの表面が酸化すると音が鳴らなくなります。この酸化は電子パタンを消しゴム等で清掃したり、非常に目の細かい(つるつるの)サンドペーパでひとなぜすると直ることが多いです。この事例では、電子パタンの酸化ではありませんでした。このおもちゃでは、多芯コードと基盤の接触部分が切れていました。鍵盤キーを押す子供達の力が、メロディICのある基盤とキーボードの電子パタンを結ぶ配線の疲労を引き起こしたのだと思われます。2箇所ほどジャンパーを張って、完了です。

おもちゃの故障原因

2016-06-08 01:13:51 | ノウハウ集
持ち込まれるおもちゃの故障原因のトップは電池関係です。下の円グラフは、あるおもちゃ病院の1年間の結果をまとめたものです。


地域によって詳細な値は異なりますが、傾向は参考になります。電池を入れ替えたり、電池ボックスのサビ落としで直るおもちゃは18%もあります。このおもちゃ病院では、モータ故障(10%)や歯車の破損(10%)も意外に多いことがわかります。一方、おもちゃドクターがお手上げの専用IC故障は、以外に少なく5%です。ノウハウを活かして原因を突き止めれば、なんとか80%近くは直せることを示しています。