猿山政治論

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日本から引き上げて行く宗主国軍~日本は核武装すべきか(4)~

2009-08-18 18:20:16 | 日本核武装
 日本と宗主国の関係については「宗主国の日本離れ」と「宗主国の日本収奪」に分けてご紹介します。まずは「宗主国の日本離れ」についてです。

(3)宗主国の日本離れ

 まだ、日本からの収奪が終わっておりませんので、経済面における構造的な日本離れという現象は顕著になっておりません。

例えば、東証が発表する投資部門別の株式売買動向を見ると、昨年度は、世界金融恐慌による手元流動性確保の要請から、日本マーケットからの外資引き上げは顕著でしたが、今年度に入ってからは逆に買い越し基調となっています。

 従って、ここでは軍事面を中心に取り上げてみたいと思います。

①第5空軍の第13空軍への統合

 2004年に横田基地の第5空軍司令部のグアム移転が発表されましたが、日本政府の懇願に応じた形で、移転は中止と発表されました。しかしそれは日本をなだめる方便でしかなく、2007年には、別途ハワイに設けられた第13空軍に統合する形で、実質的なハワイへ移転が実現されています。

 中国は、宗主国全土を射程に収めたICBM(DF-5)が1980年代初頭に実戦配備したものの、液体燃料式で発射準備に時間がかかり報復核攻撃を実施する能力に欠けていたため、先制核攻撃で対処可能な範囲に納まっていました。

 しかし、その後ICBMの改良が重ねられ、2007年には、固形燃料・慣性誘導・多弾頭(MIRV)の報復核攻撃力の3要素を兼ね備えたDF-31Aが実戦配備された結果、うかつに核先制攻撃することができなくなり、その脅威はロシアに準じる水準に達しています。

 宗主国は、そのように恐ろしげな国と事を構える気はさらさらありませんので、中国と植民地間の揉め事に、宗主国の軍隊が巻き込まれ、直接戦闘を交えざるを得ないような事態になることを絶対的に回避するため、極東からの引き上げに着手し始めました。
 
②第3海兵機動部隊(8000名)グアム移転 

 2014年を目処に、沖縄駐留海兵隊の半数がグアムに移転することになっています。

 横田基地の第5空軍司令部のハワイへの実質移転の流れに沿って、在韓米陸軍に続いて、いよいよ極東に配備した海兵隊についても太平洋第二列島線への引き上げを開始することになった訳です。

③F22ラプターの売却拒否

 米空軍は追加配備・生産継続を強く求めていたにも関わらず、米下院が次期主力戦闘機(FX)の最有力候補F22ラプターの追加調達費削除を決定したことから生産打切りが確定的となり、政府はF22の輸入を断念しました。

 F22については、軍事技術流出を懸念して、米国議会が対日本を含む輸出禁止措置をとっていたため、日本側からは解除の働きかけを続けていましたが、これによってその望みも消えることになりました。

 過去のFX選定において、属国日本がその時代時代の最新・最強戦闘機の導入することは、開発コスト回収及び対共産圏防衛の面から、米国側にむしろ歓迎されてきた歴史があります。

 今回のF22にしても、量産化が望ましい非常に高価な機体(米国上院では1機250億円の声も)であり、また裾野の広い関連労働者の雇用にも配慮が必要な経済情勢でもありますので、米国にとって資金力がある経済植民地の日本は、絶好の売却先のはずです(輸出先として、日本以外ではイスラエル・サウジアラビアくらいしか考えられません)。

 これは、何れ仮想敵国の身内になる日本に最新のステルス技術を売り渋ったものと見るべきでしょう。 

④パトリオットPAC3配備による日本核武装化けん制

 朝鮮戦争後、1950年代後半に、核武装を目的とした科学技術庁(原子力と宇宙開発に特化した隠れ軍事技術開発統括部門)の設置や東海村原発の稼動に見られるような一連の原子力技術研究の高まりがありましたが、左翼主導によるその後の過度な平和主義志向の流れの中で、わが国は核武装化のタイミングを逸してしまいました。

 その後、主に日本と西ドイツ(当時)の封じ込めを狙った1968年の核拡散防止条約の調印により、国連常任理事国は核独占のお墨付き取得に成功し、他の国は、よほどの外交リスクを負わなければ核武装することが困難と成ってしまった訳です。

 ただ、わが国の核爆弾開発技術および大陸間弾道弾開発技術は、原子力発電と人工衛星打ち上げ技術という形で、不完全ではありますが温存されており、未だ「日本に核武装の大義名分を与えない」ということが、他国の対日外交目標の一つであり続けています。

 昨日、台湾へのパトリオットPAC2配備が、台湾の核武装化をけん制する意味合いを持つ旨お話しましたが、2007年に陳水扁前総統が公式発表したように、実際に成功寸前まで行っていた核兵器開発の封じ込めに、米国は見事成功しました。

 日本のパトリオットPAC3配備につきましても、「撃墜できるんだから核兵器はいりませんよね」という意味あいが含まれていると受け取るべきでしょう。

続きは次回で

筆:猿山太郎


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