バルチック艦隊と戦った連合艦隊参謀秋山真之が、鴬横丁に正岡子規の遺族、母八重と妹律
を訪ねる時の様子が、司馬遼太郎「坂の上の雲」雨の坂(文庫第8巻)にある。連合艦隊凱旋
の観艦式が明治38年10月23日横浜沖で行われた。その2日後、早朝に家を出た真之は、
芋坂とよばれているあたりの茶店でひとやすみした。
それから「めしがあるかな」と、松山なまりで問う。小女「団子ならありますよ」となるわ
けだが、朝食をたべてこなかった真之は団子を食べて子規宅へ向かうことになる。当時から
「藤の木茶屋」の団子は、そのきめのこまかさから羽二重団子とよばれて、往還を通る人々か
ら親しまれている・・と。子規も「芋坂の団子売る店にぎはいて 団子くふ人 団子もむ人」
と詠んでいますね。(現在の東日暮里)