Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol179:Learner Centricな人体実験「後期スクーリング」

2006年02月09日 | Learner Centricな人体実験
40過ぎのおじさんが社会人向け通信制大学院で学ぶ手記「Learner Centricな
人体実験」。ひさびさの今回は昨月行われたスクーリングと今期履修した科目
の内容について報告します。

今回も3科目+研究指導
スクーリングとはなんぞや?につきましては、Vol.158:「スクーリング週間」でま
とめておりますのでそちらをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/sanno_el/e/9066b51df1747d9f1d922d5a799e8640

今回は実際に受講した「学費政策論」「ITと高等教育」「大学制度比較論」の科目
の中身についてお伝えします。

学費政策論
以前、e-learningの受講料やプライスモデルを検討する時「教育と価格」について
色々と調べたのですが、あまりいい資料が見つかりませんでした。そんな事から、
一度「受講料(学費)」の面から教育というビジネスを勉強してみたいと思ってい
たのでとても参考になりました。おそらくこの大学アドでしかやっていない科目だ
と思います。大学の学費(学納金)はどういったプロセスで決定される(べき)
か、私立大学への私学助成金や国立大学への運営費交付金等の額や分配が、どうあ
るべきかを経済学の視点から学ぶ科目です。担当講師は、家計に占める学費の問題
やNPO組織の運営等についてご専門の東京学芸大学の田中敬文先生でした。

先生は政府の規制改革関連の動向にも詳しく、そうした方面でのお話も色々と聞く
ことができました。以前本メルマガの私学高等教育研究所のセミナーでご紹介した
政策研究大学院大学の福井秀先生とはお知り合いだそうで、「セミナーの雰囲気
ピリピリしてましたよ」と先生にお話したら笑ってました。
(セミナーについては下記URLを参照のこと)
http://blog.goo.ne.jp/sanno_el/e/f8af564fd9a56c1c8ef6100729cb3356

ITと高等教育
NIMEの吉田文先生がご担当される科目だったので、受講前は高等教育機関における
e-Learningについての科目かと思っていました。しかし範囲はもっと広く、大学と
してのIT化、情報システム部門やCIOの役割はどうあるべきかまでを考える科目でし
た。従ってスクーリングも「大学のIT化とCIO」についてのレクチャー&ディスカッ
ションとなりました。

実際に大学内でe-Learningを推進する私としては、最終的には「人と組織」の問題
がe-Learningの成否を分けると考えているので、非常に参考となるスクーリングで
した。スクーリングの最後に吉田先生が「あなたが大学のCIOになったら最初に何を
しますか」と各受講生に問いかけてきたので、私は「そんな大変な部署は務まらな
いので辞表出します」と答えて一応場内の笑いを取る私でした。

大学制度比較論
大御所、潮木守一先生の担当科目です。私は潮木先生の「世界の大学の危機」とい
う本に出会ってこの大学アドへの入学を決めたので、入学前から一番受けたかった
授業でした。自分が感銘を受けた本についてレポートを書き、それを著者本人に添
削していただき、さらにスクーリングで直接お会いできるというのは、何にも変え
がたい経験となりました。

レポートは渾身の思いで書き上げたのですが評点はCでした(残念)。先生曰く
「講師には自分の教えた事をきちんとまとめたレポートを好む講師と、教えた事を
鵜呑みにせ生徒なりの考えをまとめたレポートを好む講師の2通りがいる。私は後
者である」
とのことでした。言われてみれば確かに書いてあるものをまとめに入っていたかも
知れなかったです(反省)

潮木先生は今年で定年ということなので、来年講座を担当するかどうかわかりませ
ん。もし担当しないのであればギリギリで間に合ったなあという感じでした。

研究指導
一応修士論文のテーマを「株式会社立大学についての研究」と大雑把に決めていま
す。現在は色々と先行研究を読んでいる最中でして、まだまだ前途多難な状況で
す。今回の研究指導では各自が30分ぐらい何か発表しなくてはならなかったの
で、最近読んだ「For-Profit Higher Education: Godzilla or Chicken Little」
http://www.williams.edu/Mellon/DPs/DP-49.pdf
という論文の要点をまとめて、
なんとかその場を切り抜けました。

4月までの3ヶ月間
後期のスクーリングが終わると4月の第三セメスターまで3ヶ月の時間があります。
久々にレポートや文献購読の期日に終われない日々がやってきました。本来この時
間に修士論文の研究を進めるのですが、私は卒業まで3年計画なのでまだ慌てるこ
とはないと自分に言い聞かせ、ひさびさにマターリとした日々を送るのでした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スクーリングと修士論文 (内田 晩穂)
2006-02-10 08:17:38
私もこのスクーリングには参加していました。



大学制度比較論は前期に受講したので、その他では学費政策論が面白そうだったように思います。次年度機会があれば受講したいです。



確かに日本の大学の学費決定のメカニズムは不透明でコストで決まる訳でなし、需要で決まる訳でなし、財務事情とも関係のないことが多く、他の大学の学費が影響していることが多いのではないでしょうか。国立大の学費が上がると私立も上がるという現象が以前はよくありました。国立も毎年上がるので、その相関は分かりにくいようになりましたが。



修士論文は、2年でできないものが3年かけてもできないとの気概で長期履修はしていませんが、若い頃修士論文に結果的に3年かかってしまったことがあり、今回も仕事に追われ、2年では無理ではないかとの恐怖感に襲われているこのごろです。



お互い頑張りましょう。
返信する
いつもコメントありがとうございます (koga@さんのう)
2006-02-10 11:02:08
内田さま



毎度コメントありがとうございます



> 修士論文は、2年でできないものが3年

> かけてもできないとの気概で長期履修

> はしていませんが



うう、痛いところを突かれました



できれば2年目で論文終わらせて、必修科目を3年目に残して長期履修というのが理想なんですが・・・



無理か
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