日本酒エリアN(庶民の酒飲みのブログ)gooブログ版  *生酛が生�瞼と表示されます

新潟淡麗辛口の蔵の人々と”庶民の酒飲み”の間で過ごした長い年月
(昭和五十年代~現在)を書き続けているブログです。

鶴の友について--NO3

2006-06-29 03:14:17 | 鶴の友について

20071026_016 新潟市民ではない人にとって(私も北関東の県民です)、残念ながら、鶴の友は一番手に入り難い新潟のお酒です。1,2に書いたようにその本当の価値も実像も、エンドユーザーの消費者に正確には伝わっていません。たぶん、その本当の価値と実像が見えたらほとんどの人は鶴の友のファンになるはずです。事実、私の周囲には熱心な鶴の友のファンが数多くいます。

彼らは、〆張鶴の純米や八海山の市販吟醸をふつうに飲む機会が長年にわたってあったため、鶴の友の凄さが見抜きやすかったのです。 ここ十数年、親戚、知人、友人への私のお中元、お歳暮は、鶴の友特選(または別撰)、〆張鶴 純 、千代の光吟醸造りの3本セットです。年間2回にせよこの場合も、鶴の友の凄さが分かりやすい状況にありますが、安月給の私では何百セットも配るわけにはいきません。 もしあなたが鶴の友を一度飲んでみたいと思っていて、さらに新潟市に行く機会がある場合には、次の三つのお店のひとつを訪ねてください。ふつうにふつうの価格で、鶴の友が必ず買えるはずです。

ある程度以上の酒質を持つお酒の中で比較できることが、鶴の友の凄さを分かるためには一番良い条件ですが、そう考えると早福さんの ”越くにの五峰”が理想的です。 越乃寒梅、久保田、〆張鶴、千代の光、鶴の友の本醸造720mlの5本がセットされています。 早福岩男さんと早福酒食品店については、このブログの”長いブログのスタートです”を見てください(ただし本当に長いのであしからず)。住所等は以下のURLをクリックしてください。量が余っているわけではないので予約になるかもしれませんが、直接足を運べば必ず買えます。

http://www.ntv.co.jp/burari/000624/info02.html

量が少ない鶴の友ですが、その中で蔵の地元にある”やしち酒店”さんが、たぶん一番多く鶴の友を売っているように思われます。蔵とは本当に”ご近所の付き合い”で長年に渡って鶴の友を取り扱っています。 吟醸の”上々の諸白”、量が少ない鶴の友の中でもさらに少ない純米、特撰は数の限界があり”やしち酒店”でもいつもあるわけではありませんが、上白や別撰はいつでも、月桂冠を買うようにごくふつうにごくふつうの価格でいつでも”気楽”に買えます。もし、”やしち酒店”さんで上白や別撰を買えなかったとすると、それはあなたが地元以外の人間だからではなく、蔵に1本も売る酒が無いことを意味しています。ときどきそうゆうこともありますが、そのときは予約をして後日か入荷した段階で宅急便で送ってもらうしかありません。

”やしち酒店”は、新潟駅で越後線に乗り換えて七つめの内野駅の駅前にあります。駅からまっすぐに進みひとつめの信号の右かどです。

最後のお店は、内野と逆方向の新潟市沼垂にある髙木酒店さんです。樋木尚一郎蔵元と一緒に3回会ったことがあります。5年ほど前にはお店にもおじゃましました。 髙木酒店さんには、良い意味で”商売っ気のあまり無いのんびりとした空気”が流れています。髙木さんも樋木尚一郎蔵元とのお付き合いが長く、鶴の友の”信念”を良く理解されている人でもあります。そのとき実は小学3年の息子(今は中2の生意気盛り)と一緒だったのですが、さぞ商売の邪魔だったろうと思ったのですが、奥様、お嬢さんも含めて気持ちの良い応対をしていただきました。これは、出来そうでなかなか出来ないことです。私達だけではなく、いつもエンドユーザーの消費者にそのように応対しているからこそできる応対だと、私は感じました。上白や別撰が中心の髙木酒店さんは、いろんな意味で”庶民の酒飲み”にやさしいお店だと私は思っています。

髙木酒店の場所の具体的な説明は、蔵元の車に乗せてもらって行ったため私には出来ないので以下にその住所を書きます。申し訳ありませんが、地図で調べて行ってください。

新潟市沼垂東4丁目13の14  髙木酒店


鶴の友について--NO2

2006-06-26 13:34:21 | 鶴の友について

鶴の友を飲んだことがある人は、新潟市周辺の人以外では、たぶんきわめて少ないだろうと思われます。飲んだこともなければ名前さえ知らない人がほとんどでしょう。鶴の友をごくふつうに晩酌で飲んでいる新潟市の極めて幸せな”庶民の酒飲み”ですら、鶴の友の本当の凄さを完全には知らないまま、その凄さの”恩恵”に与っています。

鶴の友を1回飲んだだけで鶴の友の”その凄さ”に気付いたら、その人は物凄く酒が分かっている人です----こんな人はそうはいません。しかし、誰でもが”その凄さ”が分かる飲み方があります。

28年前、八海山の市販酒の最上位は特級酒でした(吟醸は非売品の500mlがあっただけの時代)。嶋悌司先生(元新潟県醸造試験場長)の指導で酒質が飛躍的に向上していた八海山の特級酒は素晴らしいものでした。その当時の〆張鶴 純 とともに私の日本酒に対する考え方を180度変えてくれた”恩人的”な酒でした。 軽くて切れが良くそれでいて素っ気ないと感じさせないぎりぎりのやわらかさがありました。やや大げさな表現かも知れませんが、”味の付いた水”のようだとその当時の私は思っていました(現在の八海山とはタイプが大きく違う、飲んだ人間の記憶の中だけにしか存在しない、本当の意味での幻の酒と言えます)。 その八海山の特級酒を、〆張鶴の大吟醸を飲んだ直後に比べて飲んだことがあるのですが、その時の”衝撃的な驚き”を28年たった今も昨日のことのように覚えています。

軽くて切れが良くまるで水のように思えた八海山の特級酒が、〆張鶴の大吟醸を飲んだ直後に飲むと、素っ気なく感じ舌に渋みが残り美味いとはまったく思えなかったのです。さらに、八海山の特級酒より酒質のレベルがかなり落ちる酒を飲んでから八海山の特級酒を飲むと、、”味の付いた水”にもどっていたのです。 酒は変わっていないのに、飲む順番を変えただけでまったく味が変わる----この驚きが、私に日本酒の酒質の差の大きさと”酒の世界の奥行きの深さ”、そして人間の舌が絶対的なものではなく”相対的”なものであることを私に教えてくれました。 その後平成元年に至るまで、私は飲む酒を〆張鶴の大吟醸と比べ続けました。美味いとはとても思えなくても〆張鶴の大吟醸を飲んだ直後に飲める酒は、良心的できわめて美味い酒あることを確認し続けてきました。 その作業を長く続けているうちに、いつのころからか”頭の中にある”〆張鶴の大吟醸と目の前にある酒と比べるようになっていきました。 (平成元年以降、全国新酒鑑評会の評価基準が変わり〆張鶴の大吟醸も残念ながらタイプが変わらざるを得なくなり、それ以後は鶴の友が私の頭の中にある酒になっています)

もし、鶴の友を飲む機会があったらぜひ自分が一番美味いと思っている酒と比べて飲んでみてください(鶴の友は、吟醸である必要はまるでありません。一番安い上白でも十分ですが、個人的には別撰がおすすめです)。  美味いと思っている酒をまづ最初飲み、次に鶴の友を飲み、その次に最初の酒にもどって飲んでみてください。 このように比べても最初の酒のほうが美味いと感じられる人は、酒飲みとしてはきわめて例外的な、ものすごく恵まれている人です。最初の酒の味がまるで変わってしまったと感じた人は、鶴の友の”凄さ”を実感できた数少ない酒飲みの一人になれます。 ただし、そのためには鶴の友をふつうに買えなければなりません。次回は、”庶民の酒飲み”が普通に買える方法を書きたいと思っています(少なくても一度は新潟市に行く必要がありますが----)

                                          


鶴の友について--NO1 

2006-06-22 03:54:49 | 鶴の友について

20057_017_1 鶴の友の実像と価値があまりに知られていないことに、ネットで検索するたびに思い知らされます。 ネットの検索で出てくる多くは酒販店のHPで、それは二つに別れています。 ひとつは、ネットで鶴の友を販売している店で、地元でしか手に入らない、数が少ない、限定販の文字が踊っています。もう一つは販売していない店の店主が飲んだ感想 を何十、何百銘柄の中の一つとして述べているのがほとんどです。 前者は、地元の”庶民の酒飲み”にごく普通に売っている”鶴の友のポリシーを理解している”酒販店に比べ売っている本数がきわめて少なく”庶民の酒飲み”を対象としているとは思えません。 後者は、感想は感想として意味はあると思いますが、それがエンドユーザーの消費者の役に立っているかという点では疑問があります。また、料飲店のHP上にも、メニューとしてとりあげてあるのも多いのですが、価格以外のコメントには残念ながら肯けるものはきわめて少ないのが現実です。

数は少ないですが個人のブログにも鶴の友は登場していますが、肯けるものもありますが鶴の友と樋木酒造を知る者として”首をかしげるたくなる”場合がほとんどです。正しい情報が伝わっていない------残念ながらそう痛感してしまうのです。

酒は庶民の楽しみ、地元を最優先してこその地酒------それを頑ななまでに守ってきたのが鶴の友のポリシーなのです。 酒販店の人間として13年、酒販店を離れて15年、〆張鶴、八海山、千代の光、久保田もずっと見さていただいていますが、樋木尚一郎社長ほど”庶民の酒飲み”に愛情を持つ人を私は知りません。

地元優先ですが、けして売り惜しみを鶴の友はしているわけではありません。新潟市内で種類を問わなければいつも普通に買える取扱店が、私が知っているだけでも3軒はあります。ただし、30年前にくらべ桁違いに数量を伸ばした新潟銘醸蔵の中で、五百万石という米にこだわり続けた鶴の友は”順調に量を減らし続け”約半分強まで量が低下していますので、時期により蔵にすら1~2週間1本も売る酒がない場合があります。

28年以上私の目に映り続け、私の舌や喉で味わい続けてきた”鶴の友”を少しずつ書いていきたいと思っています。