信州・佐久で、ものづくり

信州・佐久在住の「ものづくり」の裏方である生産技術一筋二十数年。一芸より多芸を求められる人間から見た「ものづくり」論。

歯科用イオン導入装置 開発苦労話 その20

2016年06月18日 20時58分53秒 | 日記

医療機器のリスクマネジメントに話を戻しましょう。それでは虫歯に強い歯・・・フルオロアパタイト形成の源、フッ化物について説明しましょう。歯科用イオン導入装置で使用するフッ化物は?%のフッ化ナトリウム溶液です。歯科医の中でもフッ化物の毒性について意見は2分されていますし、医師や子供達の親からも、その危険性が指摘されていますので、ここでは客観的に述べてゆきます。筆者としては自分の設計したイオン導入装置単体の安全性には太鼓判を押しますが・・・

1.フッ化ナトリウムの用途

防腐剤殺菌剤殺鼠剤(失効農薬)、防汚剤金属表面処理剤、アルカリ中和剤、虫歯予防薬剤、接着剤、合成中間体、医薬・医薬中間体、メッキなど (身体に悪そう・・・)

2.フッ化ナトリウムの急性毒性(経口)

飲み込むと危険 (半数生存率:LD50=100 mg NaF/kgつまり体重22kgの子供なら2.2gなので1%溶液でコップ1杯ってところです。2%ならコップ半分で・・・。施術中にゲロゲロしちゃう子もいるので、甘い風味にしたら、なんて御意見もありましたが、本理由によりダメ!です)

3.フッ化ナトリウムの皮膚腐食性・刺激性

重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷 (?%溶液については検証が必要と思われます)

4.フッ化ナトリウムの眼に対する重篤な損傷・眼刺激性

重篤な眼の損傷 (?%溶液については検証が必要と思われます)

5.フッ化ナトリウムの生殖細胞変異原性

遺伝性疾患のおそれの疑い

6.フッ化ナトリウムの生殖毒性

生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い

7.フッ化ナトリウムの特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)

神経系、肝臓、心臓、腎臓の障害

8.フッ化ナトリウムの特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)

長期又は反復暴露による呼吸器、腎臓、神経系の障害

長期又は反復暴露による心臓、歯、骨の障害のおそれ (斑状歯ってありますね)

9.フッ化ナトリウムの輸送上の注意

食品や飼料と一緒に輸送してはならない (!!!

10.フッ化ナトリウムの労働安全衛生法での取り扱い

名称等を通知すべき有害物(政令番号 第487号「弗素及びその水溶性無機化合物」) %オーダーなら該当

11.フッ化ナトリウムの化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)での取り扱い

第1種指定化学物質(政令番号 「第374号」、政令名称 「ふっ化水素及びその水溶性塩」)

%(パーセント)オーダーのフッ化ナトリウム溶液は、かなりリスクの高いことが分かります。洗口液ならppmオーダーですので、まだ安心ですが、安易な使用はできないことが分かりました。今日も、どこかでフッ素塗布(フッ素イオン導入)が実施されたと思いますが、子供達や親御さんに使用薬液や、そのリスクを丁寧に説明の上、御納得されてから実施されたものと思います。

医療機器のリスクマネジメントにおいては「施術者を歯科医に限定する」ことでリスクコントロールしています。(これが結論!ですが、メーカーおよび販売サイド大半の方が、そのフッ化ナトリウム溶液の特質や理由まで御存知ではないようで・・・だから「答えだけ」というのは困りもの!)

たまたま筆者は現在、フッ化物の無害化に携わっているので、次回はフッ化水素(フッ化水素酸、フッ酸)についても書きましょうかね!

フッ化ナトリウムNaFのNaが水素Hになっただけで実に凶悪な液体やガスとなって人体を侵し、死に至らしめる物質です。歯科でも子供の死亡事故例があります。


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