抜刀会の仲間が中心になって、せいきちさんの葬儀がしめやかに執り行われた。
せいきちさんの希望で、会社関係へは知らせなかった。
葬儀には、村人の全員と、ごく親しい友人が参加しただけだったが、家へ
入りきれない人が大勢いたのだった。
「人の善し悪しと、タバコの善し悪しは、灰になってからわかるって言うけどなぁ。
こんなに良い葬式は久しぶりだよ。せいきちさんらしいやなぁ・・・・」
村の長老は、それとはなくせいきちさんを褒めたのだった。
「実さん、これをもらってちょうだい」
葬式の片づけが終わって、家人と実さんだけが残った時、ヨネさんが刀を持ってきた。
「これは、宗次だろう?いくらなんでも、こんな貴重な品物を貰うわけにはいかねえよ」
「実さん。是非もらってもらわなきゃ困るのよ。せいきちさんがネッ。「実さんなら
これを大切にしてくれるに違いないから・・・・。自分が一番大切にしていた物だから、
どうしても実さんに渡してくれ」って、ずーっと前から私に言っていたのよ。だから、
御願いだから貰ってちょうだい」
実さんは、ジーッとうつむいて考えた。しばらくして、
「せいちゃんがそこまで言ってくれたのなら、貰うことにするよ」
と言って、仏壇の前の白い机の上で、小さな箱におさまったせいきちさんの前へ行き、
改めて線香を供えたのだった。
その日は、娘さん夫婦が泊まることになった。
「ネエ。お母さん。ここじゃあ不便だし一人暮らしは心配だから、一緒に住まない?」
娘さんが、母親の今後を心配て言葉をかけた。
「そう言ってくれてありがとう。ただ、お盆のこともあるし、いろいろ整理をしなきゃ
いけないから、もう少しここで暮らすことにするワ。わがまま言って悪いけど、私が
その気になったら連絡するから、そんなことで許してくれない?」
「許すも何も、お母さんが気が済むようにするのが一番だから・・・。あまり無理
しないでね・・・・」
「ありがとう。何かあったらすぐに電話するようにするから。電話が無いのが無事
だと思ってネ」
「お母さんには邪魔かも知れないけど、電話もするし、突然遊びに来るからネ」
娘夫婦が帰り、ヨネさんとおカルさん。それに、タマの暮らしが始まった。
せいきちさんは仏壇の中にいるみたいで、ヨネさんは、ご飯をあげるたびに
何かを話しかけているのだった。
ー これからどうなるんだろう
タマは心配になった。 おわり
お読みいただいた皆様には心から感謝いたします。日記を書いても三日持たず、
書き始めはどれくらい書けるか心配でした。ここまで書けたのは、読んで
くださる方々の応援があったからです。
心から感謝いたします。ありがとうございました。合掌
せいきちさんの希望で、会社関係へは知らせなかった。
葬儀には、村人の全員と、ごく親しい友人が参加しただけだったが、家へ
入りきれない人が大勢いたのだった。
「人の善し悪しと、タバコの善し悪しは、灰になってからわかるって言うけどなぁ。
こんなに良い葬式は久しぶりだよ。せいきちさんらしいやなぁ・・・・」
村の長老は、それとはなくせいきちさんを褒めたのだった。
「実さん、これをもらってちょうだい」
葬式の片づけが終わって、家人と実さんだけが残った時、ヨネさんが刀を持ってきた。
「これは、宗次だろう?いくらなんでも、こんな貴重な品物を貰うわけにはいかねえよ」
「実さん。是非もらってもらわなきゃ困るのよ。せいきちさんがネッ。「実さんなら
これを大切にしてくれるに違いないから・・・・。自分が一番大切にしていた物だから、
どうしても実さんに渡してくれ」って、ずーっと前から私に言っていたのよ。だから、
御願いだから貰ってちょうだい」
実さんは、ジーッとうつむいて考えた。しばらくして、
「せいちゃんがそこまで言ってくれたのなら、貰うことにするよ」
と言って、仏壇の前の白い机の上で、小さな箱におさまったせいきちさんの前へ行き、
改めて線香を供えたのだった。
その日は、娘さん夫婦が泊まることになった。
「ネエ。お母さん。ここじゃあ不便だし一人暮らしは心配だから、一緒に住まない?」
娘さんが、母親の今後を心配て言葉をかけた。
「そう言ってくれてありがとう。ただ、お盆のこともあるし、いろいろ整理をしなきゃ
いけないから、もう少しここで暮らすことにするワ。わがまま言って悪いけど、私が
その気になったら連絡するから、そんなことで許してくれない?」
「許すも何も、お母さんが気が済むようにするのが一番だから・・・。あまり無理
しないでね・・・・」
「ありがとう。何かあったらすぐに電話するようにするから。電話が無いのが無事
だと思ってネ」
「お母さんには邪魔かも知れないけど、電話もするし、突然遊びに来るからネ」
娘夫婦が帰り、ヨネさんとおカルさん。それに、タマの暮らしが始まった。
せいきちさんは仏壇の中にいるみたいで、ヨネさんは、ご飯をあげるたびに
何かを話しかけているのだった。
ー これからどうなるんだろう
タマは心配になった。 おわり
お読みいただいた皆様には心から感謝いたします。日記を書いても三日持たず、
書き始めはどれくらい書けるか心配でした。ここまで書けたのは、読んで
くださる方々の応援があったからです。
心から感謝いたします。ありがとうございました。合掌