the Saber Panther (サーベル・パンサー)

トラディショナル&オリジナルの絵画芸術、化石哺乳類復元画、英語等について気ままに書いている、手書き絵師&リサーチブログ

『バトル・ビヨンド・エポック』其の八 "T v P"(ティラノサウルス ♦ プルスサウルス INTERACTION)二大咬筋

2021年12月19日 | 中 / 新 生代インタラクション 特集(期間限定シリーズⅢ)

Battle Beyond Epochs    Part 8     "T▶  🔥v🔥  P▶"

  The Deadliest Bite forces Ever
 
Tyrannosaurus rex  Purussaurus brasiliensis  interaction



Species

向かって左
中生代 白亜紀 およそ6700万年前 北米北西部 バッドランド

T・レックス Tyrannosaurus rex


同右

新生代 中新世 およそ700万年前 南米北部 パン・アマゾニア

プルスサウルス属最大種 Purussaurus brasiliensis

フォベロミス属種(牛サイズの齧歯類) Phoberomys pattersoni

今回のバトル・ビヨンド・エポックで描出しているのは、中生代と新生代、それぞれの生息年代で最強級であったと考えられる捕食者の、6000万年の隔たりを超越した、モンスター・コリジョン


獣脚類恐竜の雄、T・レックスと、怪物カイマンこと、プルスサウルス。この両者、形態は当然ながら著しく違っているものの、既知の最大の頭骨長、全長、推定体重などいずれも非常に近似していて、四肢動物史上最強級とされる咬筋力も、ほぼ同格の推定値。ワニは半水棲であるから、陸地においても接戦といえるようなバトルが展開されそうだ。


両者のサイズデータ
Tyrannosaurus rex
最大頭骨長('Sue'標本) 1.52m、全長('Sue'標本) 12.3m~12.8m、推定体重 5.4t~8t

推定咬筋力 35000 N~57000 N

Purussaurus brasiliensis
最大頭骨長 1.45m、推定全長 10.3m~12m、推定体重 5.16t~8t

推定咬筋力 52500 N~69000 N


もっとも陸地では、機動性に優れるうえ、強大な後肢で相手を踏みつけ、急所に効果的に噛みつくことができそうなT・レックスに、分があろうか。その大顎と短剣をずらり並べたような歯をもってすれば、怪物カイマンの鋼鉄の鎧のごとき皮内成骨をも、容易く食い破ることが可能だろう。

10段階能力チャート
(※個人的な見解のもとに「能力チャート」ごときものを数値化してみたので、それも併せて記載してみます。勿論、この手の能力チャートの類は学問的根拠を欠く興味本位の戯れ事に等しい試みであって、何らの資料的価値を有するものではありません
Tyrannosaurus rex

Bodymass(体重) 10
Body dimensions (体格)10
Bite force(咬筋力) 9
Raw power(体力) 10
Explosiveness(瞬発力) 7
Agility(素早さ) 5
Endurance(耐久力) 5
Stability(安定性) 7
Killing maneuver(必殺技)8  ('Hindlimb hold + bites'「後肢で抑えつけ+噛みつき」)
Intelligence(知力) 6
Defense(防御) 7
Agressiveness(獰猛性) 9
Terrestrial maneuverability(陸地機動性) 8
Underwater maneuverability(水中機動性) 1


プルスサウルスの方はといえば、重心が低い四足歩行で安定性は盤石であり、実は咬筋力でもT・レックスを凌駕していたとする説がある(Aureliano et al., 2015)。相手の後肢に噛みつくことに成功すれば、すかさずワニの必殺技、「デスロール」で甚大なダメージを与えることが考えられよう。T・レックスが転倒するようなことがあれば、勝機は見えてきそうだ。

10段階能力チャート
Purussaurus brasiliensis

Bodymass(体重) 9
Body dimensions(体格) 7
Bite force(咬筋力) 10
Raw power(体力) 7
Explosiveness(瞬発力) 8
Agility(素早さ) 3
Endurance(耐久力) 4
Stability(安定性) 9
Killing maneuver(必殺技)10  ('Megaton Death-roll'「メガ・デスロール」)
Intelligence(知力) 5
Defense(防御) 9
Agressiveness(獰猛性) 8
Terrestrial maneuverability(陸地機動性) 3
Underwater maneuverability(水中機動性) 8


然すれば、どちらが先に、有効な噛みつきを達成できるかによって、勝敗が左右されそう。


問題は、これほど巨大なワニが、陸地で獣脚類を相手に立ち回れるほどの機動性を、果たして有していたかどうか、だろう。
やはり獣脚類の王(the theropod king)の優位は、動かし難いか?


Which one do you believe would have survived?
ただ、ご覧の通り、復元画の舞台は完全な陸地というより川辺の設定であり、喉を潤していたT・レックスに、怪物カイマンが(時空を超越した!)奇襲を仕掛けた体になっている。


仮にもこのような状況を考慮するならば、半水棲の怪物カイマンに、一日の長があろうというもの。この場面では、既にプルスサウルスがT・レックスの左後肢の足先に噛みつくことに成功しているT・レックスも瞬時にプルスサウルスの片腕を食いちぎった


ここから水中に引きずり込んで「デスロール」を敢行せんとしているが、果たして獣脚類の王に対し、そう簡単に成功するものか否か…。


サバイブするのは、どちらか?

 

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次回記事では中新世の超怪物剣歯猫を復元画とともに紹介し、それを機に、なおざりにしていたマカイロドゥス / アンフィマカイロドゥス属分類の新仮説に関する再まとめも、行います。



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