破李拳竜・日記

ここでは私・破李拳竜が行ってきた仕事やお遊びとかの日記を、つらつらと載せてあります。

「女優・林由美香」と「愛欲の宇宙戦争」

2006年10月18日 23時45分06秒 | Weblog
 05年に亡くなられた女優・林由美香さんの本「女優・林由美香」(洋泉社・刊)が発売された。私は彼女の晩年に主演された「愛欲の宇宙戦争」という映画でご一緒に仕事をしたのだが、今でもよく思い出される。
  「愛欲の宇宙戦争」この作品は、前回にも書いたように、仕事仲間で友人の白石雅彦氏の監督デビュー作で(正しくは、本人曰く『私、VPとか教育ビデオとかいっぱい撮っているんで、厳密な意味での監督デビュー作じゃないのよ。』だそうだ。)林由美香さんが主演されたのもだ。ロケーションに岩山が必要だとの事で、白石氏は「御殿場あたりでロケするか。」と話していたので、私が「御殿場まで行かなくても、近場でウチの『岩舟山』なんかどうだい?」と推薦したところ、そのまま現地コーディネーターをまかされる事となり、岩舟山をはじめ、我が家の周りで白石氏が要求するイメージに合う現場をいくつかピックアップ。林や畑を紹介、また、洞窟も必要だというので、隣りの「足利市」にあるもよりの洞窟をネットでピックアップして現場へ案内。
                        
   天気にも恵まれ、撮影が開始されると、ヘアメイクや衣装代えの時など、私の家を控え室及び休憩所として使用。明治時代が舞台の作品なので、子爵令嬢役の由美香さんは美しく明治浪漫が溢れていた。思わず私も姿三四郎のコスプレで参加したくなった(笑)
                         

  また、私は車両係りも担当。女優でもある吉行由実監督がプロデューサーを担当されていたので、彼女を乗せてロケ弁当や現場で必要な物の買出しなど行ったが、ちょっとしたドライブ・デート気分だったな(笑)
                           
 それで岩舟山の食事の時など、ピクニックのようだった。・・・しかし、山林の洞窟前で食事した時は、食後余り物その他をゴミ袋に入れていたら、カラスの奴らに食い散らかされ、ズタズタにされてしまった。ヤツら犬並みの知能があるそうで、ゴマカシが効かない。そこで火をおこしてゴミは全部燃やしていたら、山火事と思われて山林パトロールの係員がやって来てしまった。あわてて映画の撮影だと説明すると、火の後始末はしっかりとやって下さいね!と注意を受ける。それで燃やした灰は穴を掘り、すべて埋める事となったのだった。
  また、先頃のサバイバル・フーズのCM「日本沈没」編で玲子を演じてくれた里見瑶子さんが、朴訥な村娘を好演。林の中を逃げ回るシーンは、黒澤明作品「羅生門」のワンシーンのようで良い感じだった。洞窟での撮影の時は天候が急変し、雨となったが、かえって雰囲気が良いのでそのまま撮影続行、里見瑶子さんの心境が変化していく良い演出となった。でも、彼女が最期に首の骨を折られて死ぬシーンで、私が柔術の絞め技を披露したら、マジでビビっていたな(汗)
  最期、空飛ぶ円盤の殺人光線!によって由美香さんの体は蒸発し、片手だけが残るというシチュエーションだが、「これ、それっぽく作っといて。」と白石監督から手の造型物を渡され、手首部分から前腕部までを袖付け、焼けた痕を作るが、ライターで少し燃え痕を作ると、思ったより燃え過ぎ、袖が短くなってしまう。上手くいかないので四苦八苦していると、撮影がストップしている。聞けば私が作ってる手首待ちだって?う~ん、そもそも私は造型屋じゃないんだけどなァ(笑)
   ・・・しかし由美香さんの美しい裸体が披露された岩舟山の湖も、今や産廃業者の投棄によって、岩場の平地の部分が埋められてしまい、もう無くなってしまった。凶珍アンコウが出現したり、「百獣戦隊ガオレンジャー 」や「魔法戦隊マジレンジャー」で「聖なる泉」として登場したあの水溜まりは埋められてしまった~(涙)

                            
  林由美香さん、彼女の上品さ・気品には、私は元よりオフクロもお気に入りだったな。 こんな楽しい思い出を残してくれた由美香さんにお礼を言いたい。

   この撮影が行われたのが04年のゴールデン・ウイーク。・・・そしてまさか、わずか一年後に彼女の訃報を聞く事になろうとは・・・。
                
   改めて林由美香さんの御冥福をお祈り致します。

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