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『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』 (2014) / 日本

2014-07-04 | 邦画(た行・な行)


監督: 高橋栄樹
企画: 秋元康

公式サイトはこちら。

人気アイドルグループ「AKB48」の活動の裏側に迫ったドキュメンタリーシリーズの第4弾。2014年6月の大島優子卒業を前に、大きな岐路に立たされているグループの13年1月~14年6月の活動に密着。かつてない規模でのメンバーの移籍や兼任が発表され、波乱を呼んだ14年2月の大組閣祭りや、荒天で延期となってしまった14年3月の国立競技場コンサートでの大島の卒業セレモニー、そして14年6月の第6回選抜総選挙の3大イベントを軸に、芸能界のメインストリームを走り続ける少女たちの姿を活写。指原莉乃が1位になった13年の第5回選抜総選挙も含まれるため、シリーズ史上初めて、2回の選抜総選挙が描かれる。監督はシリーズ前2作を手がけてきた高橋栄樹。(映画.comより)



早速行ってきました。初回入場者プレゼントでしょうか。生写真もいただいちゃいました。







2回の総選挙や大物メンバーの卒業を含んだ1年半に渡って彼女たちを追いかけ、「激震と再生」を描きたかったと思われる今回の第4弾。さすがに1年半のスパンともなるとこのグループは出来事が多すぎて、とても2時間の枠じゃ収まらないだろうなという予想はその通りで、1年半でいろいろ印象的だったであろう峯岸みなみのスキャンダルや、2013年のドームツアーでの篠田・秋元・板野の卒業についてはほぼスルー。しかも2013年の総選挙だってほとんどなし。
推測ですが、何故1年のインターバルが1年半になったかという理由は他ならぬ大島優子の卒業発表があったからだろうし、前田敦子以来の絶対的エースの卒業関連を映画に入れず先送りにはできなかったはず。「優子卒業」「人気メンバーの卒業」と「大組閣」を「世代交代加速」としてメインに持って来たかったのはわかる。そしてそれで映画も無難に終わるはずだった。

しかしながら5月25日の握手会が起こったことは当然想定外で、これがいろんな意味で映画の構成も「壊した」感があった。48グループの根幹でもある握手会の存在意義をも揺るがしたこの事件が、当然今年の選挙結果や、それに伴うメンバーの心情までもを動かしていき、単に世代交代による再生だけではなく、グループ体制そのものの再生も映画は描くこととなった。

「世代交代」「握手会事件」関連に内容は絞られているので、必然的に登場するメンバーは偏りが生まれてしまった。全体の人数が増えているのだから映画に全員が出演できる確率は減っていて、映画を観て自分の推しは一体どこにいたんだ?みたいな感想を持つ人も多いと思うが、人数増加の他に、内容的に絞らざるを得なかったために今年は映画で推しを観ることは断念ということもあるだろう。
AKBの象徴とも言うべきチームはやはりAで、そして握手会事件の被害者である入山・川栄もここに所属しており、そこから再生を始めたいという強い願いがある以上、チームAの動向は今年の映画のメインの1つとなった。あとは大島が所属していたチームK、次世代メンバーが多いチーム4が多く、他のチームに関してはじっくり尺を取ることは時間の関係上難しかったのだろう。

世代交代は何年も前から言われていて、そして大島の卒業がいかにメンバーに影響を与えたかは映画を観ればわかると思うが、メンバー歴が長い者から浅い者まで、誰を目指していけばいいのか、自分の目標は何なのかを強く意識しなければいけなかった1年半だったのだろう。というのは外から観た限りなのだけど、意外とご本人たちにとっては刺激的な環境に置かれていても、淡々と矢継ぎ早に日々が過ぎて行ってしまってるのかもしれない。
自分が今、どの立ち位置にいるのかは一瞬ではわからないし、自分につけられるのは外から見た評価でしかないから、その時目の前にあることを精一杯こなすだけの毎日なのだろう。若いメンバー、入って間もないメンバーなら自分の周りで何が起こっているのかはわからなくて当然だし、毎日いっぱいいっぱいやっているだけの彼女たちに容赦なく序列がつけられていくのは正直気の毒にも思えるが、それが彼女たちが選んだ道だから仕方がない。

懸命にこなしていても自分らしく振る舞ったことが必ずしも人気につながるわけでもなく、いつの間にか差がついてしまっているのも残酷だが、たまたま48グループでは爆発的な人気が出たか出なかったかということなので、ある程度長くやっていても選抜になれないメンバーは必然的に自分の行く末を考えることとなる。過去にない非情な大組閣はその大きなきっかけとなった。全てのメンバーが望んだ通りにはなれなかったことは映像を観ればわかるが、大人ならば組織の中の立ち位置として自分が何を求められているかがわかるが、彼女たちにそこまで望むのは厳しい。それでも彼女たちは「商品」としてのアイドルなので、組織としての要望は提示されるが、1人の人間としてそれを受け入れるか否かの選択権があったのは幸いだった。

最後まで名前を呼ばれずに待っていなければならなかったメンバーたちの胸中は如何ばかりか。不安でいっぱいのところに提示された予期せぬ異動先。今までやってきたことを変えなければいけない試練と、先々への不安は彼女たちの動揺ぶりを見ればわかる。それでも組閣を受け入れた者、拒否した者、どちらを選択しても辛かったことに変わりはない。悩んだ末に新天地を選んだ者も様々な受け止め方で、きっぱりと割り切って進んだり、あるいは見透かしたように醒めた目で見つめたくなる気持ちもわかるけど、収入を得ている以上は社会人として自分が何を求められているのかを考え、これからの生き方について否が応でも向き合わないといけない瞬間だった。
異動の内示を受けたメンバーが深刻に組閣について考えているBGMとして、希望に満ちたドラフト生のリハーサルがかかっていたシーンは実に酷いけど、それも48グループの試練だから、好きな道だからより一層残酷なのである。

大組閣の激震も少しずつ受け止められて収まり、3月30日の卒業セレモニーこそ延期になってしまったけどつつがなくエースの卒業へのカウントダウンが進む中、握手会事件が起こした衝撃は計り知れないものだっただろう。「良きAKBの姿に戻したい」というファンの想いが、恐らくは総選挙の順位を左右した可能性は否定できない。大島の卒業で1つの時代が終わり、彼女たちに襲いかかった激震は大きけれど、そこから這い上がり変化していくという強い意志を持って、日々様々な試練に対峙しながらこのグループは進むしかないのだろう。

1人、また1人と去っていく中、「自分の背中を見せる順番」が回ってくるメンバーがいる。そしてその背中を見つめながら、いつか自分も背中を見せられる存在になりたいと願う次世代たち。48グループはその輪廻なのかもしれないが、アクシデントに耐えながらそれを維持することの困難さが見えてくる。大島のセレモニーなどは極力無駄を省いて編集することによって、無言の中にもその輪廻の継承を見せてくれている。
全体的には握手会事件のせいで詰め込まざるを得なかったものの、映画としてまとめる努力は垣間見えているが、内容に偏りがあった分実情を細かく訴えるところまでは踏み込めていない。2回の総選挙、紅白、国立など、TVで中継映像を見慣れているのもあり、既視感がどうしてもついて回るのは想定内だが、メンバーの裏側を映すことはできても、何が本音なのかというところが見えてこない。例えば今年の総選挙の指原、宮脇、松村のスピーチなどを入れることによって、グループとして目指したい方向性だけが全てではないのではということが周知できたのにと思う。前作からのインターバルが長すぎ、握手会事件の影響によって映画の内容が一面的になった弊害だろう。


★★☆ 2.5/5点







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2 Comments

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こんばんは! (ヒロ之)
2014-12-30 00:52:57
コメント&TBありがとうございました。
元優子神推しだった私としては「観れる」内容ではありましたが、そうでない人の事を考えると、他の出来事が省いてあったり、短く映っていたりだったので、これじゃあ殆どAKBのドキュメンタリーというよりも大島優子ドキュメンタリーじゃ?と思われたかもしれません。
過去の3作は裏舞台を多く見せる事で、ファンにとっても新たな衝撃を与えたのですが、今回はそれが少なかったように感じました。
5作目の製作&公開も決定しましたが、たかみな総監督の卒業がメインになるかもしれませんね。
さっしーの総選挙1位の様子がスルーされていたのには驚きましたが、そこはHKTドキュメンタリーで詳しく描かれるのだろうと期待してます。
来年は各グループのドキュメンタリーが公開されるので、それぞれに楽しみを持っています。
秋元氏はまた新たなサプライズを用意してそうですが、メンバーもファンも笑顔になれるサプライズである事を願います。

2014年もコメント頂いたり、トラックバックのお返しを下さったりと、有難う御座いました。
来年も宜しく御願いします。
それでは、よいお年を。
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ヒロ之さん (rose_chocolat)
2015-01-01 00:09:29
優子さん関連多かったですよねー。
まあしょうがないっちゃしょうがないんですけど。貢献度が違いますからね。
さっしー1位は本当にスルーで、それってどうなん?とも思いましたが、
散々いろんなところで観てるのでそれもしょうがないのかな。

来年は4グループの別に映画があるんですよね。
そんなに製作できるんだっていうのがまずすごくないですか??
私はたぶん4つとも行くとは思うんですがw ヒロ之さんの感想も楽しみにしております。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
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