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『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 (2011) / アメリカ

2012-02-10 | 洋画(ま行)


原題: EXTREMELY LOUD AND INCREDIBLY CLOSE
監督: スティーヴン・ダルドリー
出演: トム・ハンクス 、サンドラ・ブロック 、トーマス・ホーン 、マックス・フォン・シドー 、ヴィオラ・デイヴィス
試写会場: よみうりホール [2012年2月18日公開]

公式サイトはこちら。



何と、この公開盛りだくさんな今月始まって早々に、子どもにパソコン壊されてしまい…
ったく、何てことしてくれたんだよと。(怒) すごい困りましたよー。
そんなドタバタな中試写行ってきました。


 





※ネタばれ断片的に存在します。 読まれる際はご了承ください。
お嫌な方はここでお帰りを。







ストーリーですが、オスカー少年が、9.11による父親の死後、懸命に自分の心の置き所を探しに行くわけです。
父が遺した鍵がたった一つの手掛かりになる。 そこから彼は驚異的な方法で捜索を開始していきます。
ここのところ、物騒なNYでよくそんなこと大胆に思いつくなという方が先に来てしまったのですが。。。


この中では「間借り人」マックス・フォン・シドーが上手かったですね。 
口が利けなくなった役柄なのに、この存在感が素晴らしい。 彼が登場するところからは話が展開してきて面白くなってきます。  黙ってオスカーの手伝いをする彼の中に秘められた想い。 それも話の大きなポイントです。
それと本作が映画初出演という、オスカー役のトーマス・ホーンくんの演技ですね。 彼はすごいです。
そしてこのオスカー少年の家族の仲の良さというか、親が徹底的に子供に向き合う姿勢は学ぶべきものがありますね。
子どもはあくまでも未熟であり、自分しかない世界から、少しずつ他者を認識していったり、複雑な心情も汲み取っていけるようになる。 それを見守る作品と言えるでしょう。
ですが、1点だけ。
サンドラ母がそうなのか…というネタ明かしが唐突に入るのはどんなもんかしらとも思います。
劇中にちりばめてくれればまだよかったけど、このあたり、監督の手腕の問題のような気もしますが…





予告やチラシからして9.11を前面に出しており、家族の喪失から立ち上がる少年の成長物語と、
そこにまつわる周辺のエピソードが本作のテーマ。
想定内ではあったんですが、観客を傾斜させるべき要素はかなり存在しました。
まずは9.11。
そして少年の成長。
さらに少年が、とある病気の検査を受け、不確定要素と診断されていること。
全編を通じて「オスカー少年が父を9.11で失ったことに立ち向かう」視点で描かれているのですが、彼の行動は果たして彼の心情からくるものなのか、それとも気質からくるものなのか、その見極めが非常につきにくい。
そのため、この視点でずっと入り込まないといけないのは正直かなりのエネルギーを使います。 1つ1つの行動はどっちなのか? と判断する作業が先に来てしまい、話にどこかすんなりと入り込めない部分を感じるかもしれません。


それを差し引いたとしても本作、想像通り、文句のつけようがないくらいのいい話です。
ですが、「あんなに酷いことから、子どもがこんなに一生懸命立ち直ろうとしてるんだよ! しかも9.11だし。」といった部分で、本作は絶対に正義であるという感じが各所にしてしまうんですね。
もちろん、誰だって愛する人を失ったら悲しいに決まってます。 私だって当然そうです。
ですがその表現は、必ずしも声高にしなければならないというものではありません。
世の中には「私はこんなに悲しい」と同意を求める人もいれば、人知れずひっそりと悲しみを堪える人もいる訳です。
ですので本作、いろんな意味でアメリカ映画だなと感じる部分が各所にありました。 
特にこれは9.11です。 アメリカ人にとっての9.11と、日本人にとっての9.11とでは、重みは相当異なります。
人の命が奪われる事への無念や悲しみは共有できたとしても、出来事そのものに対しての捉え方はまるで異なると思うのです。
恐らくアメリカ人が、日本人が考えるように東日本大震災を決して捉えることができないのと同じことかもしれません。
共有できる人間としての在り方や、共感そのものは必要です。 が、それ以上に求めるものがこの作品にはかなり感じられてしまいました。


別の言い方をすれば本作は、9.11から10年経ったからこそ制作することができたのではないでしょうか。
この舞台となる時期も2001年~2002年から少し経ったくらいの時点ですので、オスカー少年は今だったら成人している設定です。
その彼が当時の自分の混乱や絶望をどのようにして克服していったのか。 もし振り返ったとしたら、懐かしくて涙が出てしまうのではないでしょうか。
その当時はとても見つめることもできなかったし余裕すらなかった。 けど10年経ったから語れることもある。
そのくらい深い傷を負ったのでしょう。
昨年未曽有の国難に襲われた日本で、もし東日本大震災の被災者の視点で映画が作られることがあるなら、一体どんなものができるのか。 あるいはその日は来るのだろうか、ということをなんとなく思い浮かべたりしました。
本作は、到底立ち直れない苦しみ悲しみを抱えたとしても、いつか抜け出せるかもしれないという希望を抱かせてくれるファンタジーなのでしょう。


★★☆ 2.5/5点





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2 Comments

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わーい! (まっつぁんこ)
2012-02-15 15:37:47
「アメリカ映画だなと感じる部分が各所にありました。」たしかにそうですけど、神様や正義が出てこなかったのは良かったと思います。
「ネタ明かし」のくだりは唐突で過剰でしたね。もっと伏線はってチラッくらいの方がいい。うまく行き過ぎだと思わせといてやっぱり!みたいな。
まっつぁんこさん (rose_chocolat)
2012-02-15 17:26:59
何喜んでんのよー(苦笑)

そう、あの場面でネタばれが唐突に出現したのにはオドロキですよねえ。
じゃじゃーん! じゃないんだからさ(笑)
どっかで小出しにしてもらいたかったかなと。
運びっていうか、つなぎっていうか、そういう部分?があまり上手くないように感じました。

この映画には正義は出て来ませんが、唱えていることに異論を言いにくいんです。
それ自体が正義になってしまっているような印象を受けました。

ということで、これにて本作のコメント欄は終了です。悪しからずー。