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チューリップス・シスター第12話

2016-08-29 07:40:46 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第12話 美咲の入院

美咲の2枚の絵画は横たわる人物にのしかかりナイフで刺そうとしている人物の影、その周りには一面に菜の花と赤いチューリップが咲いている絵画と倉庫の中で砂の地面から自然とはいていた赤いチューリップがあり、その中には白い椅子が倒れている人物の姿はない人物の影だけのある絵画である。
2枚の美咲の絵画を捜査資料として制服の警察官は持っていく。
美咲は自然の風景画を描く事無く、事件当時の絵と風景画を書かなくなった花と影の絵の2枚である。

叔父と神父は、なぜ美咲が描いた絵を、燃やそうとしなかったのか。
「どうして私の絵を捨てちゃうの」と、美咲の部屋にいる一緒にいるセラピストに言った。
セラピストは美咲の言葉で神父に合い、美咲の言葉を伝えると、神父と叔父は顔を合わせ神父は冷静で叔父は驚いていた。
それは、美咲は絵が無くなるのを、離れた場所で考えていた事を何故か知ってしまう事を神父が叔父に話したが理解するには時間がかかった。

過去の体験で美咲が修道院の施設に入ってから、しばらくしてから絵を描いていたが、他の児童にその絵を持ち出され、破かれ燃やされた事があり、知らない場所に捨てられた事があった。
次の日には、そこで破く児童の姿、火をつける姿を絵にしていたのだ。
盗む姿、絵を持ち出す姿、そして破き火をつける姿を鮮明に3枚の絵にしていた事があった。

誰が悪戯をしたか鮮明に描かれた児童は、2度と美咲の部屋へ入る事はしなかった。
神父は、絵がなくなれば、美咲の心は傷つくのだろうと思っていた。
他の児童に、悪戯されないよう描いた絵は、ある場所に隠そうとした、その場所が美咲の絵画の壁や天井に彫刻がある保管庫になった。
この保管庫は開かずの間と呼ばれていたが、美咲の為に解放したのである。
真理にはない能力を、美咲は持ちあわせていたのだが、真理の能力は、後に知る事になる。

美咲にとって、今の生活が一番幸せなのだと神父は思っていた。
しかし、美咲の運命という扉が開き突如動き出した。
「フォメオ・ス・タンシス・・・」
神父の心に美咲の心の神は語りかける。
美咲の鼓動の高鳴り囁く声は、神父の心を透し動かされ、ある者へ美咲の声が届けられる。
美咲の運命の赤い糸の繋がりは、神父ではなく、世界を回り能力を発揮される事が出来ていた神父の甥にあった。

神父の心の中の神は、甥の能力と神父の能力は、本当の美咲の能力を知る事と気づく事から始まっていた。
美咲の能力はまだ予兆の能力であり、まだ完璧なものではなかったが、神父の心の神は甥からの伝令を受け止めていた。
神父の頭の中では、薄っすらとしたイメージから鮮明に成りつつイメージが浮かんでいた。
美咲が唯一の信頼関係を保つ事が出来たのは、神父とセラピストとフリーランスの精神科医であり、先入観を持たず美咲と接する事が出来る。
保護者身元保証人の内科医の叔父と看護師の叔母には、まだ美咲の能力の事は伝える事が出来なかった。
叔父夫婦は、真理に対しても育ての親という事で、真理をしっかりとした人間に育て上げる役割があり、美咲の能力を知るのは負担が多すぎるという理由だった。
神父と甥との交信が続く事で、美咲の能力は真理の能力よりも先に予兆の段階を進み歩いている。
神イエスや聖霊と天使は、予兆の段階を踏む、真理と美咲の能力の開化のバランスをはかり、双子の運命を導いていたのだ。

施設の外へ出る事のない美咲がどうして絵を描き続けるのか、1つの疑問があり警察の方では、フリーランスの精神科医ではなく大学病院の専門の精神科医とも相談していた。
そして、警察署では、美咲の絵画の分析がはじまった。
心理学を中心に、美咲の人格、性格、全ての心理分析をはじめ、美咲の姿を見た事もない心理学に関わる大学で勤務する第3者に任せる。
美咲とは関わった事のない他の臨床心理士、心理分析官、精神科医は、美咲の描いた絵を見た時、驚きを隠せなかったようだ。
まるで、その場にいて見て描いたように鮮明に描かれていた。
知的障害を持っていた場合、絵を描く時は切り絵や点描などの絵画技術で鮮明に表す事が稀にあるが、その絵はまるで生きている絵と言えた。
「その場所にいなければ、それだけの絵は描く事は出来ないだろう」と、分析する第3者はおもっていた。
しかし、美咲の絵は離れた場所で、何も見る事なく想像イメージだけでなく、予兆のある能力で描いていたのだ。
この時の美咲自身は当たり前の事で、予兆の能力とは思う事も気づく事もなく、怒り・憎悪・復讐の3つの感情を制御する為の能力だった。
美咲の予兆の能力の開化は進行し小さな火花から小さな雷に変わるが、まだ本当の能力は未知なるものである。

臨床心理士と分析官は、科学的にその絵をみていた。
2枚の絵は、科学的にみても、心理分析は不可能であった。
美咲の事情聴取をとろうにも、警察官では困難となった。
いったん、成長した美咲を大学病院へ移すという事になる。
神父は、以前、病院治療を試みたが拒否反応を示した過去があった事を警察官に話していた。
しかし、突然、美咲は微笑を浮かべ顔をあげて、神父の瞳を見たのだ。
美咲は、言葉はなく、手を伸ばし、膝をつく神父の肩に手をかけた。
いよいよ、美咲の予兆の能力が段階を経て少しずつ動きはじめた時だったのかもしれない。
神父が見た美咲の瞳は、一瞬だけであったが輝いたように感じた。

警察の方で美咲を受け入れてくれた大学病院の手配をし、警察官と共に病院へ行く事となる。
措置入院を進められ本来は頑なに拒否する美咲、しかしこの時の 素直に美咲は自らの思いで入院していた。
美咲の思いは、神父とセラピスト、フリーランスの精神科医は気付いていたが、先入観を持つ人物達は誰も気付く事はなかった。
それは予兆の能力を試す為だった。
病院への入院、美咲は素直で規則正しい生活を送るが、美咲が何をしようとしているのか、病院では勤務する職員は誰も知らず気付く事はなかった。
入院を進められ素直に美咲は自らの思いで入院し、それは予兆の能力を試す為だった。

その大学病院は、後に、真理が勤める事になる病院であった。
大学病院へ着くと、医師と看護婦が、美咲を待っていた。
そして、ゆっくりと病室へ向かう美咲は、自分の入る病室を知っていたのか、医師と看護師の先頭を歩っていく。
通常は隔離室だが隔離室ではなく、美咲の為だけに用意された個室だったが鍵付きの部屋である。

美咲は、病院へ入ると自ら歩き始め、医師と看護婦は、ただ黙って美咲についていった。
「先生、なぜ病室を知ってるのですか?」
「いや、わからない、とにかく今は、刺激を与えないようにする事だ」
「先生は、彼女の事を知っているんですか?」
「彼女の小さい頃に会った事がある、彼女の眼を出来るだけ見ないようにしたほうがいい」
美咲が3歳の時に、この精神科医は、彼女を診ていたが、診断をする事が出来なかった。
「まず、彼女の行動をしっかり診ておく事が大切だ、以前とは違う気がするが、念のためにね」
美咲に、薬物療法と精神療法を試みるが、過去の状況から美咲は心で受け入れる事はなかった。
美咲には、カメラを取り付けられた部屋が用意されていた。
カメラを取り付け、まず美咲の行動を知る事からはじまった。

入院から3年間、精神症状は進行せず、精神治療という治療は出来ず、見守る事と常に美咲の様子の記録をとるだけであった。
美咲の能力は年事に開化に近づいていく段階を歩いているのは、精神症状ではなく見えないものである事は、病院のスタッフ達は知る事はない。
美咲は入院してから、いっさい言葉はなく目立った行動をする事はなかった、スケッチブックとクレヨンを置いていたが、入院当時の美咲は絵を描く事がなかった。
時には、病院の屋上で、気分転換を看護師と共にするくらいである。
美咲が入院した大学病院は教会から30キロ離れた場所であり、美咲にとっての聖域ではなかった。
美咲の聖域は、教会を中心に半径5キロ圏内であり、聖域から離れる事で、病院内である不思議な出来事が続く事があった。
それは、神父の甥からの伝令が美咲にもあった為、甥の伝令が美咲の能力を導いていた。
神父の甥は、この時は世界中を回り、甥自身で能力を高める段階であった為、神父の脳を借りて美咲を導いていた。
しかし、美咲の能力は、怒り、憎悪、復讐の3つで生きている為、病院の中で美咲の能力が、どんな反応をするかわからなかった。
病院に入院している美咲の心にあるものとは、小さな火花と大きな暴風雨のようなものだった。

ニュースの天気予報を見ても当らない、美咲が入院してからだった。
時折、天候が晴れでも曇りや雨の日が続いたりしたが、それが美咲の心の囁きだとは病院のスタッフは知る事も気づく事もない。
美咲が絵を描くようになってから、病院では暴風雨とカミナリで停電が起きていた。
非常用発電機と非常灯で何とか外来診療や入院診療をやり過ごしてきた。
聖域内では美咲の能力を遅らせ制御するようになっていたが、聖域外になると美咲の予兆の能力が働いてしまう。
美咲は天候を操りながら、部屋の中で絵を描き過ごしていた。

神父とセラピストは面会に行くが、常に早朝起床時に教会の中で神イエスと聖母マリアに美咲への思い願い祈りを捧げていた。
フリーランスの精神科医は、病院内で美咲の診療ではなく、美咲を見守り部屋の中で少し離れた場所で椅子に座り、病院の精神科医には理解できない事、感じるものを記録に残していた。

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チューリップス・シスター第11話

2016-08-23 14:07:43 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第11話 事件の容疑者

真理と美咲の周囲で、また謎の殺人事件が起きるが、それは真理と美咲への神イエスからの試練なのかもしれない。
自分達を理解出来ない魔性世界の魔物や呪い邪悪なの邪気という外敵との戦い、その戦いに勝利し、真理と美咲は自分達の能力の開化の為には、犠牲者が必要だったのか?

姉妹の能力を追いかけるように、神イエス、精霊、天使からの導きで、残酷な出来事が動き始まったのかもしれない。
しかし事件は未解決、生きているのかどうかも分からない、現実の世界で記憶消された人達は現実の世界で生きて、姿を消した人達は次元の違う別の世界に導かれたのか。
事件が続く事に神父の心の神は、神イエスと精霊や天使からの導きではないと神父に伝えていた。

「いったい何が、誰が導いたのだろうか」
神父は心で思いながら、教会の中で常に神イエスと聖母マリア像を目の前にして両手を合わせ膝をつき祈りを続けていく。
教会での祈りを続けや誓いをした事で、神父の寿命は長くなる。
真理と美咲の今後の能力の開化の為に必要と判断した、神イエス、精霊、天使からの神父の寿命の導きであった。
神父が祈りを続け誓いを唱えると、薄らと動く影が脳裏を過ぎり、その影はある言葉を呟いていたが、光を透す波長(光透波)で、言葉や文字で表す事が出来ないものだった。
しかし、神父の心の中では残酷な何かが動き始めていた、そして、ふと浮かんでくるのは成人となり神イエスに認められた能力を持つ神父の甥の姿だった。

「もしかするとトランシルバニアにいる私の甥が導いているのかもしれない、甥の能力とは何だろうか」
神父には甥の能力について神父には何も伝心はなかった、神父の後を継ぐ者の神父以上の能力を知る必要もなかった。
神父には真理と美咲を魔性世界の魔物や呪い邪悪なの邪気という外敵から守るという役割、その後の真理と美咲の能力を開化させながら共に生きていくのが甥の役割である為だ。
眼に見えない世界が見える甥の神父以上の能力を知る事は、神父も同じ能力はあったが甥の本当の能力を知る事で寿命が短くなる為でもあった。

真理と美咲が住んでいたチューリップを育て出荷する農園跡地には古ぼけた3つの建物があった。
一つは自宅、一つは機械置き場の大きな倉庫、一つは農作業に使う農機具を置いてある小さな倉庫だ。
機械置き場の大きな倉庫には、中二階(ロフト)があった。
真理と美咲の父の直継は、この小さな倉庫で首つり自殺し命を落としたのだが不審な死でもあった。
自殺か殺人事件か判断したのは警察での判断だった、神父は強い憤りや叔父夫婦は自殺と判断された事で警察に若干の不信感を感じている。
15歳の誕生日の1ヶ月前、真理と美咲が3才まで過ごした、あのチューリップ農園跡地で殺人事件が起きたのである。

銀行の支店長代理、山口四郎52才、場所は農園跡地のチューリップ畑の中であった。
刃渡り10cmのナイフで、胸部に2ヶ所、腹部に2ヶ所、刺された痕跡があった。
何故か死体のまわりには赤いチューリップが咲き誇っていた。
当時、真理と美咲の父母が育てていたものだろう。

警察や鑑識の見立ては、複数の刺し傷、正面から指されている事から、知人、友人、恨みを持つ人物の犯行であると推測された。
山口四郎の周辺の聞き込みでは、特に恨みをかう事もなく銀行に来るお客からも印象の良い支店長であったようだ。
警察は過去にまでさかのぼって調査を始めるが、捜査が進まない事に苛立ちを抱いていた。。
過去の捜査でわかった事は、支店長になる以前の山口四郎は過去5年間は融資係で「融資お断り役」であった。
山口四郎は、お断り役ではあったが融資サービスがあった為20%を融資する事で、直継と融資をすすめていたようだ。
しかし、融資お断り役で2年目頃から苦情が良くあったという事から、融資を断られた人物ではないかと推測をした。
その頃、断られた人物を探すに当り過去の真実での捜査で容疑者は多く存在していたが捜査が進むにつれて、真理と美咲の父と母に辿り着く。

しかし、真理と美咲の父の直継は自殺で亡くなり母の高子は行方不明として扱われているが、直継の死亡原因に問題があり事件性があれば未解決事件となるかもしれない。
当時の死亡原因は自殺だったが、今回の殺人事件との関わりがあれば、再度、警察は捜査する事になる。
死体の発見現場も農園跡地のチューリップ畑の中という不自然な場所でもあり、死体の周囲だけに赤いチューリップが咲き乱れ、離れた他の場所にはバラバラに赤と白、黄色のチューリップが咲いている光景を見て、警察の捜査は混乱していく。

警察の捜査が進むにつれて過去の出来事で徐々に容疑者になる人物像が浮かび上がり、山口四郎に融資を断られた人物を探し出す事になる。
ピックアップされた中に、多くの容疑者が浮かび上がり、真理と美咲の父親の名前もあった。
捜査線上、唯一容疑者で浮かび上がったのは真理と美咲の両親であったが、この時には父の直継は自殺で亡くなり母の高子は行方不明で両親と会う事は出来ない。

「話が違う、融資枠はあると信じていたのに何故だ、理由はなんだ」と言い続けた直継は、山口四郎に何度も合っていた事から死亡していても容疑がかけられる。
そして直継の周囲の人物から捜査は始まる。
当時の真理と美咲の父、直継は20%の融資枠で進められていたが、突然、山口四郎に融資を何度も合うたびに断られ続けられるようになる。
山口四郎は、銀行側で強引に決められた事を、直継に伝える事が出来なかったのだ。
そして山口四郎と直継の間で色々な問題があった。
銀行側は赤字の個人企業では融資枠サービスは取り消され、銀行側の一方的な決定で融資を断られていた。
他にも多くの容疑者はいたが、山口四郎が紹介し別の銀行からの融資を受けられる様になっていた。

しかし、直継には紹介する事はなくチューリップだけでは経営困難と判断していた為、コンサルタントしてアドバイスをしていたが、農園の敷地を売る事を進めたりした事で、直継は苛立ちトラブルとなっていたのだ。
農園の敷地の面積は、通常の農家の数十倍あり、敷地を売る事を進めていたようだったが、祖父から大切に何十年と持っていた敷地を売る事を直継は納得出来なかったのだ。
しかし、直継の存在は亡くなり死亡診断書が出され直継ぐと合う事は出来ない、女性でも殺人は出来るという考えで、直継の次に容疑者として行方不明の妻の高子の存在であった。

あらゆる角度からの捜査で、まず高子の失踪届の記録の確認、戸籍謄本等から高子の実家を割りだし、同じ誕生日の双子の姉妹がいる事が判明した。
ここで1つの疑問がある、何故だろうか、高子の失踪届が出された当時は、家族構成や出生元等を調べる事をしなかったのだろうか、神イエスからの誘導か導き、いや違う、制服を着た警察官が担当していたからだ。
当時は、高子との付き合いのあった人物達を調査しただけだった。
「高子さんの行方に心当たりがあれば警察署に連絡を下さい」と警察官は伝えただけで、すぐに見つかるだろうと思っていたようだ。
結局、情報提供はないまま捜査をしていたが、担当の警察官は他の警察署へ異動となり捜査は中断され、高子の存在は薄れていく。

私服の刑事達は、高子の実家へ向かう、もしかしたら高子は実家にいる京子という人物から情報が得られると考え、高子の実家へ向かい訪問した。
誕生日が同じ双子という先入観からだった。
写真を見ると似てはいるが、別人の顔だと見て冷静さはあったが驚きを隠せない刑事達だった。

刑事と京子との会話
「高子さんについて、お話を聞きたいのですが宜しいでしょうか?」と警察手帳を見せて一人の刑事は声をかけた。
「はい、でも、高子に何かあったのでしょうか?」と京子は答える。
「ちょっと今は言えないのですが、お二人は双子でしたね」
「はい、その通りですが、二卵生の双子で私が長女ですが、それが何か?」
「そうでしたか、一つ確認できました、ありがとうございます」
「高子さんの居場所は、わかりますかね」
「さあ、どうでしょう、結婚式後から全く合っていないので」

この後は、刑事達は高子の出来事からこれまでの事を話し、高子の行方など聞き出そうとしていたが、京子は首をひねり何の事か分からなかった。
結局、無駄足になってしまったと思う刑事達であったが、ただ双子の姉であるという事から、直継と高子には一卵性の双子の姉妹がいた事に気付いた。
そして、双子の姉妹について調査をすると違和感という感覚を抱く。
何故なら、真理と美咲の姉妹の周囲で色々な出来事が起きている事に気付いたのである。
5人の精神科医の失踪届けが出されたが破棄され存在がない、失踪届を出しだ人物達も世に存在した痕跡もない。
これは、制服の警察官が当時に書かれた調書の内容から、刑事達は事件としてではないが不自然な出来事だと気付いたようだ。

「何だこの事情調書の内容は、信じられない、これを書いた警察官は、今何処にいるんだ」
事情調書を書いた警察官は、すでに警察官ではなくなり、異動した勤務地だった警察署でも何処にいるのか全く分からずじまいだった。
調書を書いた警察官達は、自ら辞表を出し姿を消していた為、刑事達は調書を何度も読みながら当時の出来事について慎重に考えた。

そして、12年前の復讐という先入観によって姉妹による殺人事件として容疑の矛先は、真理と美咲にも向けられた。
当時、真理と美咲の父は自殺、母は失踪、内科医の叔父によって失踪届けが出されたのは、姉妹は当時3才まじかの頃である。
現在、成長した真理と美咲は成長し15歳、学校へ通う事なく過ごしていた事で殺人容疑をかけられたのだ。

叔父夫婦と神父やセラピストは、刑事達の先入観から真理と美咲を守らなければならないと強い思いを抱く。
刑事達は叔父夫婦に当時の話を聞き、15歳になる真理と美咲にも事情聴取をおこなう事になる。
真理は叔父夫婦宅に引きとられ生活をして、事件当夜のアリバイはあった。

内科医の叔父は、美咲については「引きこもり自閉症」と診断されていると騙すつもりはなかったが嘘をつき、美咲を守ろうとした。
真理は素直に事情聴取に応じられるが、美咲は真理とは違っていたからだ。
また美咲の心の叫びが、私服の刑事達を巻き込むのではないかという思いもあり、これまで以上の犠牲者は出させてはならないと思いもあった。
「私服警官達を守るためにも、美咲に合わせてはいけない」
内科医の叔父と神父とセラピストは同じ思いを抱きながら持っていた。

美咲は施設に引きとられ、引きこもり自閉症という事で事情聴取は出来ず捜査は混乱していくのか。

しかし、美咲は事件前に山口四郎らしき男性の殺人事件の風景を鮮明に描いていたのである。
神父は、刑事達を美咲に合わせようとはなかったが、美咲の描いたスケッチブックの絵を刑事達に見せた。
その絵を見た刑事達は驚いていた、そして美咲は刑事達の姿を見ると自分自身からスケッチブックから切り離し、刑事達へ素直に表情は変えずに渡したのだ。
なぜ美咲は、自ら刑事達に渡したのだろうか、神父の瞳に映る現在の美咲の姿は美咲自身が成長した姿だったのか。
今後の美咲に何かが降りかかる予兆を神父は感じていたが、美咲を束縛する事なく自由にさせてみようと神父は思った。

横たわる人物にのしかかりナイフで刺そうとしている、その周りには一面に菜の花とチューリップが咲いている絵画である。
神父は、美咲のアリバイを刑事達に証言していた。
絵を見た刑事達は、疑わずにはいられなかったのだろう。
しかし、刑事達がいくら声をかけても、いつものように美咲から返答はない。
黙々と下を向き顔を上げる事すらない、ただ絵を描くだけだった。
刑事達は真理と美咲のアリバイは成立していた為、美咲に焦点を当て精神治療の事を神父に話す。
神父は、以前、精神科医に見てもらった事を刑事達に話をした。

刑事達は、美咲の様子を見ながら何度か声をかけるが、美咲は何事もなかったように平然としていた。
入院も治療も出来ないままの美咲に、刑事達が声をかけようが、美咲の行動は同じ、聞こうにも聞ける状態ではなかった。
3才から14才まで同じ行動しかしない美咲に、刑事達は疑問を持っていた。
子供の成長という面で、何らかの変化があってもおかしくないと考えていたのだろう。
どうする事も出来ない美咲に対して事情聴取は困難であった。
過去に診てもらった精神科医にも刑事達は、真理と美咲の事情聴取を取っていたが、神父の言う事を信じるより他なかった。
真理と美咲への容疑はなくなったはずだった。

事件後、何故か美咲は風評画と風景画や動物の絵画だけではなく花の絵を描くようになっていた。
その変化に気づいた神父は、叔父夫婦にその絵を見せ相談をした。
叔父夫婦では、どうして良いか分からず、以前診断してくれたフリーランスの精神科医に相談を持ちかける。
美咲は、人には見えないものの現実の絵を描いていた。
精神科医は、美咲の変化を知ってもらう為には、その絵を刑事達に見せた方が良いとの事であった。
しかし、美咲を知る叔父夫婦と神父は、その絵を隠そうとしていたが、その絵の存在を知り制服の警察官が再度施設へ訪れたのだった。
フリーランスの精神科医は警察署へ連絡をしていた、何故かと言えば美咲の真実を知らせる為、美咲への気遣いはいらない事、決して関わってはならない事を伝える為だった。
過去のように犠牲者を増やさない為にも、神父は心の中の神に祈り、フリーランスの精神科医は願っていた。

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チューリップス・シスター第10話

2016-08-18 07:00:38 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第10話 謎の未解決事件

直継はキリスト教徒、高子も同じ真理と美咲も同じ親類親戚も家族でキリスト教徒だった。
12歳の真理と美咲は教会の運営する小学から高等学校まである学校へ通っていたが、中学生になってから他の生徒とは違いがあった為、美咲は1か月後、真理は3か月後から学校へ通学する事はなかった。
神イエスは、真理と美咲に学校で学ぶ事は許さず、今後の真理と美咲には役割があり必要なものは、全て精霊と天使から学ぶよう導いていた。
真理は叔父夫婦の元で、美咲は施設の部屋で、以前の様に過ごす事になる。

5人の精神科医達は現実の世界から完全に抹消された。
メンタルクリニック5軒は閉鎖、廃墟となり連続放火によって建物は全滅した。
容疑者から犯罪者となった連続放火犯として警察では日本中に指名手配したが、何も情報がなく生きているか死んでいるのかも全く分からず、殺人容疑もあったが未解決事件となる。
海外逃亡も考えたが、早い段階で空港への指名手配をした為、海外逃亡はなしと判断。
容疑者の住んでいたアパートは、教会中心とした半径5km圏内にあった。
容疑者から犯罪者になったのは、アパートを捜索中、覚せい剤とガソリンタンクがありガソリンの成分を調べると同じ成分と判明、そのガソリンスタンドを調べると防犯カメラで確認、写真もアパートにあった。
壁には多くの殺人予告の様な紙が貼られたが、その中に鮮明に書かれた5つの診療所だけを狙う殺人ルートが書かれた紙があり犯人と判断した。

5人の精神科医達の遺体はなかった為、警察署へ失踪届が出されるが家族ではなく5人の親戚達の人からの届け出であった。

警察官は確認する為に家族の自宅へ訪問すると、その家族達は自宅にいた。
「実は旦那さんの失踪届が出されているのですが」と警察官は冷静に家族に聞いた。
「えっ、そうなんですか、失踪届を出したのは誰ですか?」と家族も何事もなかった様子である。
「それはちょっと言えないのですが、旦那さんは、どちらでしょ」と警察官は聞いた。
「実は離婚届を出していまして、これから引越しをするのです」と家族は答える。
「そうでしたか、確認しましたので、幸せになってください」
警察官は何故失踪届が出されたのか考えながら、その家族に言葉を選びながら言った。
「ありがとうございます」と家族は言いながら笑っていた。

5軒とも警察官は事情聴取し離婚届が出されていた事を確認し記録を照らし合わせると、5人の精神科医達の家族は、同じような事を言っていた事であったが、警察官達は何故か不思議な事だとは思わなかった様だ。
「失踪届は破棄されました」と警察署では5人の親戚の人達伝えていた。
「そんな事は、ありえない、遺体は何処にあるんだ」何度も足を運ぶ5人の親戚の人達だった。
何度も繰り返される出来事で、警察署相談員から5人の親戚の人達の家族へ病院へという事をすすめていた。
病院では、相談員からの話を聞き取り、結局、高齢の方々だったので入院をする事になるが、その後、病院から姿を消した。
亡くなったのか失踪したのか全てが不明だが、誰も気にする事はなかった。
奇妙で不思議な出来事ではあるが、病院側と親戚の家族は、何事もなかったように現実の世界で過ごしていた。

5人の親戚の人達も現実の世界から完全に抹消されたが、5人の親戚の家族達は失踪届を出す事はなく何事もなかったように過ごしていた。
役所でも住んでいた形跡もなく、まるで5人の親戚の人達がこの世に産まれ人生を歩む事すら存在して居なかったかのように持ち物も全て消えていた。

神イエスは精霊と天使に伝令し、事件に関わる人物の記憶を全て消すよう導いていた。
誰も知る事も気付く事もないが、神父は何かを感じ取り気づいていた。
真理と美咲の周囲では信じられない出来事が起きている事は、神イエスが動き始め、真理と美咲を悪へ導く邪悪な邪気の存在を現実から全てを消し去ろうとしていた。
それは、双子の姉妹の能力を開化させる為に、犠牲が必要だったのかもしれない。

しかし、現実の世界から眼に見えない、次元の違う世界へ導いていたのかもしれない。
それは、闇の炎の死の世界、死神の世界、輝き華やかな世界、地獄の世界、天国の世界、次元の違う現実や幻想の世界なのかは誰にもわからない。
真実を知る者は、神イエス、精霊、天使、古代からの能力者(エクソシストやシャーマン等)だけだった。
真理の能力、美咲の能力を神父の心に新たに宿る神は、双子の導き方を念じていた。
神父の心の神とは1体ではなく、真理と美咲の成長と共に試練を乗り越え進化をしながら変わっていく。

全ての人類が瞳で見えるものではない、人間の記憶能力と同じようなものだ。
人間は当たり前に過去を持ち脳の中で記憶されていくが、邪悪な邪気によって全ての消されたり、曖昧にされたり、新しい画像や映像が脳内で置き換えられる事もある。
そして、脳内の記憶が新しく創られ、邪悪な邪気は後悔や罪悪感の悪へと導き、神イエスから精霊と天使によって善へと良き事へと導く事が出来る。
直継と高子の間で出産前から、真理と美咲の能力は神イエスが選別し認めたからこそ与えられたものであった。
この事は、神父は気付き知っていたが、直継と高子へ告げる事はなかった。
神イエスからのおぼし召しは、人間として聖なる者への伝令で、直継と高子が聖なる者になれるかどうかであった。
直継と高子は聖なる者になったのかは、真理と美咲に能力があるという事は真実であり、聖なる者へと導かれ成れたのかもしれない。

神父の心と瞳の奥にある神イエスと風景や試練を直継と高子は乗り越えて生きていた記憶が鮮明に残り、他の教徒とは違って見えていた事で聖なる者へ導かれていたと神父は考えていた。

6年前の双子の母の高子の失踪事件も未解決のまま、父の直継(なおつぐ)の遺書はなく事件性がある事から疑いは銀行員だったが捜査後、警察では最終的に倉庫での首つり自殺と判断されていた。
「直継さんは不審な死を遂げた、本当に自殺だったのだろうか?高子さんも同じなのか、神のおぼしめしは、なかったのだろうか?」
事件当時の神父の頭によぎったもの、心の中での思いだった。
「それに何故、育児放棄と警察官は判断したのか、警察官も何かに誘導されていたのか?ただの育児放棄ではない、アルバムだけで判断できる事でもない」
ふと過去を思い出した神父は、過去の言葉の会話を思い出していた。
真理と美咲の能力の開化する為の事件だったのか、そして犠牲者となったのだろうか。

しばらくして2人の精神科医と2人の臨床心理士の診断ではなく感想的な判断を聞いて、セラピストと内科医の叔父と看護師の叔母や神父は驚いた。
「診断は出来ないのですか?」
「もう少し時間がかかりそうです」
何かを別な刺激を与えなければ、そのままの真理と美咲の生活は、特に変わらないという判断であった。
精神科医達の言うとおり外的からの刺激を与えなければ、真理と美咲の生活は変わりなく過ぎていく。
しかし、美咲は部屋に引きこもったまま絵を描くだけであったが、真理は違っていた。

年月が過ぎる事に、美咲と真理は心と体は成長していき、神イエスからの予兆の能力が徐々に近づいて来る。
毎年の6月29日の誕生日を迎えながら年は過ぎていく。
そして、8年の月日が過ぎた、真理と美咲は14歳もあと1ヶ月を残して、ある重大な出来事が起きる。

その出来事には、真理や美咲の心の中で抱き描かれ目覚めてしまった、2人だけに宿る能力が関係していた。
まだ不完全な能力だが、これは完全に開化する第1段階での予兆の可能性もある。
もし、あの時期に予兆だけの能力を持つ事がなければ、謎めいた出来事は起きる事はなかったであろう。
能力を持ってしまった事で、未知たるものが真理と美咲に苦難を与えはじめたのだ。
真理と美咲は2人だけの共有するもの、まだ不完全な能力を感じてしまった様だった。

この頃は、能力の存在を真理と美咲は感じる事はあった、しかし気付く事はなかった、次元の扉を開け未知たる様々な世界が同じように見え隠れしはじめていた。
エクソシスト、シャーマン、魔術師、錬金術師、陰陽師、伝説、神話、文明、未来には太陽の変化による電磁パルスや放射線による人類の進化するミュータント、真理と美咲の脳裏に浮かぶものがあった
小さな蛍が飛ぶように、淡い緑色と赤色に輝くものの存在を、真理と美咲は何となく感じてしまう。
しかし、まだ予兆の段階の1歩踏み始めたばかりである為、まだ14歳の真理と美咲は感じているものの、それが何かとは解らなかった。
「学校に通わずに良かった、もし学校で教育を受けると、真理と美咲の能力は失っていたかもしれない」
神イエスと聖母マリアに、教会の中で一人で神父は祈りを捧げる、それから自分自身の心の神にも祈りと誓いという覚悟を更に強く持った。

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チューリップス・シスター第9話

2016-08-13 07:00:14 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第9話 双子の共有感情

2人の精神科医達は治療が必要である事は理解していたが、単なる精神治療や薬物治療ではない。
ただ、美咲の思いを受け止める事、しっかりと見守りながら時には、美咲に声をかける事だった。
美咲との信頼関係を作り出す事が最優先の対症療法であった。

しかし、メンタルクリニックの5人の精神科医は病院内での話し合いでは入院させて、もう一度、同じ治療をして叫ぶかどうか、それが本当かどうか確認してみたいという思いが強くあった。
経験豊富な精神科医は話し合いを聞きながら、精神科医と病院側だけで話す事ではないと思い、教会で皆さんで話し合いをした方が良いかもしれませんと提案をしたが却下された。
特異的稀な美咲の能力を持っていると見抜いていたかもしれない。
この時は仮説の段階であった為、フリーランスの精神科医は強く言う事は出来なかった。
神父との話し合いでの会話から、仮説ではあるが可能性を秘めていると考えたのだろう。
神父も病院内での話し合いに同席していたが、次元の違う世界という事は出来なかった。
結局、病院勤務ではない5人の精神科医の言うとおりに確認の為と神父は思い従う事にした。
この時の神父には、美咲の事はイエスとの誓いで良く理解していた、何が起きるのか気づいていたのかもしれない。
美咲との関わり方で、5人の精神科医の人生と運命的な出来事が起こる事が、神父の脳裏にはあったが確信出来るものではなかった。

病院内での全ての会話は、自然の中にいる精霊と空を舞う天使が美咲の耳に流していた。
2人の精神科医は、この先メンタルクリニックを運営する5人の精神科医にイエスからの罰が与えられるとは知るよしもなかった。

2人の医師とは、病院に勤務する精神科医と世界を回り診療に経験豊富なフリーランスの精神科医である。
美咲との信頼関係を作り出す事が最優先の対症療法とする意見交換の中で判断をしていた。
専門の精神科病院内で、2人の判断で強く話す事が出来れば、彼らの判断が優先される可能性もあった。
現実の世界では、5対2では何を言っても無駄、多数決なのが現実なのだ。
「話し合いの場所を変えませんか、教会の中で、もう一度だけ話し合いを持ち考えてはもらえませんか」
多数決で決められる事で、神父は少し考えた末に精神科医達に言った。

教会を中心として半径5kmの範囲内には、専門の精神科病院1軒、総合病院が1軒、個人で運営するメンタルクリニックが5軒、総合医の内科外科を標榜する診療所が2軒あった。
障害者施設は2軒、障害者と言ってもそれは見た目で判断された者達である。
障害者達の中には、真理や美咲のように将来に特異的な能力を持つ者達もいたが能力は開化するのは先の話である。
精神科医達は、神父に精神科専門病院で入院の準備を進めていく事を話している時にある出来事が起ころうとしていた。

とりあえず、精神科医達は神父の提案により再度教会での話し合いをする事になる。
精神科医が、何故か神父の提案を受け止めたのか、それは神父の心の中にいる精霊と天使が動かした。
病院では、現実の世界しかないが、教会の中では現実の世界だけではなく、心に宿る神イエスと聖母マリアからの導きがある。
神父は、教会の中で神による導きに、精神科医達が導かれる事を祈っていた。

教会の中で再び話し合いを始めようとした頃、美咲に変化があった。
「話し合いをする必要はない、聖域に訪れれば、すぐに導かれる」
神イエスと聖母マリアから伝令があり、神父は瞳を閉じて十字架を握り心の中で伝令に祈りを捧げた。
精霊と天使の導きそれは、美咲の部屋から教会の中まで聞こえてきた、美咲の叫ぶ声であった。
神父達は、急いで美咲の部屋へ向かった。
「どういうことですか」
「申し訳ない、何もわからないんだ」
精神科医達には、いったいどういう事なのか、理解する事は出来ず、ただ漠然と立っているだけだった。

今まで、ずっと言葉すらなかった美咲が、正座をして扉を向きながら叫んでいるのだ。
美咲の部屋から教会までは50m程の距離があったが、呼子笛を吹くように美咲の叫び声は聞こえていた。
美咲は、治療をすすめる医師らの言葉を心の声で聞いていた。
「私の邪魔をしないで、悪の邪気は消えてしまえ!」
話の内容を心で受け止めると5人の精神科医達に怒りの感情が生まれ1度目では怒りの声を叫んだが、2度目は教会の中にいる精神科医の脳と全身、そして精神科医の心の奥深く中へ侵入し怒りの声を叫んでいた。
この怒りの声は教会の中にいる5人の精神科医達にしか聞こえない美咲の感情と美咲の怒りの声であった。
この怒りは、自分自身で外敵から身を守ろうとする、美咲の感情である。

その声によって精神科医達は、脳への強い圧迫により異変があり、眼の瞳孔が開き、顔の皮膚が引きつり、膝をつき頭や顔をおさえる。
何故か、神父とセラピストと臨床心理士には、怒りを覚えた美咲の姿が脳裏に映し出されただけで脳や体には異変はなかった。
「この導きは、神イエスではなく聖母マリアでもなく、もしかしたら真理が守ってくれたのではないか」
神父は一瞬だけだったが、真理の姿を思い浮かべた事で感じるものだった。

「大丈夫ですか?」と精神科医達に何度も声をかけるセラピストだった。
セラピストが体をさすると、精神科医達は教会の椅子に座り何度か息切れがあり深呼吸をしていた。
「何が起きたのか、わかりますか?」
セラピストは精神科医達に声をかけたが、何が起きたか記憶にはなかったようだ。

セラピストは、美咲と長期間接していた事で、美咲と同類の精霊と天使が心の中にいた。
美咲はセラピストには心を開いていた、そして美咲はセラピストの心の中に同類の精霊と天使を宿していたのだ。
セラピストと美咲は、精霊によって信頼関係を持つ事が出来た。
神父は、美咲にとって自分の部屋が自分の居場所であり聖地なのかもしれないと思った。
そして、教会内での出来事は、真理と美咲の共有する能力で、成されたものではないかと考える神父だった。

「病院では無理かもしれません、美咲さんの部屋でお願いできませんか、美咲さんの居場所はこの部屋なんです」
神父は、精神科医達に声をかけた。
「美咲の部屋で見守り信頼関係をつくり、それから美咲を理解し自由の中で、対症療法だけで良いのか考えればいい」
神イエスからの神父へ伝令があった、神イエスからの伝令は神父を新たな道へと導いていく。

美咲の叫びは、美咲自信が叫んでいたのではなかった。
開化する予兆の段階の能力が働き、美咲を導く方向を変えようとする精霊と天使の言霊によって、5人の精神科医達に向けられたものであった。
美咲の叫びは、美咲の心の奥底にある開化に近づく為の能力である。
5人の精神科医達は、まだ表に出してはならない美咲の能力の一部を引き出してしまったのだ。
今の美咲の状態から特に自殺まで進行する事は考えにくいと判断し、美咲への精神治療は一時的に諦める事にした。
神父と5人の精神科医は、姉である真理にも会い話をしようとしたが話すまでもなく、神父からの伝えられていた事で更に驚くばかりであり信じられない様子であった。
言葉にする事が出来なくなっていた精神科医達である。

双子しかも一卵双生児で全く正反対の姿を見るのは極稀な事であったが、2人の精神科医や2人の臨床心理士は真理と美咲の見えない心の中では深い繋がりがある事を感じていた。
2人の精神科医や2人の臨床心理士は神父から真理と美咲の全ての環境や状態を聞いていた。
真理の瞳は輝き会話上手、冷静な判断ができる真理は、微笑みながら挨拶を交わす。
ただ、精神科医達と臨床心理士は、真理の瞳に吸いこまれるような自分の存在が消えそうになる何かを感じていた。
精神科医達と臨床心理士が、美咲の瞳を見た時と同じ感覚であった。
約30分程、精神科医達は真理と内科を標榜する診療所の別室で話をして、臨床心理士は静かに真理の話の記録を取る。

真理の笑う声や会話をする声は扉や壁を通り抜け、待合室まで聞こえていた。
叔父夫婦は、真理の声が聞こえ、少し心配げに患者の診療をしていた。
「先生、楽しそうだね、真理ちゃんの声はいいね、可愛い声で気分が楽になるよ」
「そうだよね、待ち時間が長く感じないよ」
待合室で診察を待つ患者さんからも言われるくらい患者達にも聞こえていたようで、苦笑いをする内科医の叔父と看護師の叔母であった。

5人の精神科医達の診断というよりは感想に近い判断をした、真理も美咲も何故か診断と判断させようとはしなかった。
2人の精神科医は、双子の姉妹に何かを感じていたが、それを5人の精神科医達に伝える事はない、信じられないと言われれば話は終わってしまうからだ。
姉妹に会って奇妙で不思議な感覚になり感じた結果を話すべきか考えたが、5人の精神科医達は叔父夫婦と神父に診断は困難と伝える。

この時の神父は、生きる環境の違いによって、表面的表現に違いはあるが、双子の姉妹が同様に持っているものは、もしかすると「憎悪」もしくは「殺意」ではないかという思いであった。
生活環境や表現の仕方も違う姉妹の共通点は、二人の瞳の奥にあった。
セラピストと一緒にいる美咲の瞳は素直で正直に見せてくれていたが、真理は笑顔を作るが瞳を隠すかの微笑みのようだった。
そして真理と美咲に変化が見られた、真理と美咲の表す表情が逆になっていたのだ。
神父は「憎悪」「殺意」とはどういうものか、行方しれずの母親の現在と父親の自殺について精神科医達に聞くと7人の精神科医達と2人の臨床心理士は気にしていた。
生活環境だけではなく、過去にある感覚と感情は、薄れていくが生きてく環境や出会いによって過去を振り返ってしまうトラウマやフラッシュバックという現実がある。
特に、真理の表現する笑顔の奥には、美咲の部屋で感じたものがあった。
真理と美咲は瞳に移されるものは違うものの「怒り」をあらわにするものは共有され同様の行動である。

5人の精神科医達によって、真理は教育の中で能力を目覚めさせ、美咲は教会での話を聞き「叫び」と共に眠っていた双子の能力だったが、双子の将来に予兆の段階で開化される能力を目覚めさせるきっかけを作ってしまった。
「美咲と真理に備わっている能力の共通点は、明暗・陰と陽・太陽と月ではないか」
神父は思い考えながら、甥からの手紙の内容を思い出していた。
それぞれに共に持って抱くものとしては、この時期の真理には「憂い・歓喜・慈悲」美咲には「怒り・憎悪・復讐」という全く正反対の感情があった。
感情とは、生まれ育ち方や人との出会い、そして日常生活の環境、社会環境によって変わるもの。
真理と美咲の場合も同じ、出逢いや環境だけではなく父母への思いが、双子の運命を変えているのかもしれない。

しかし、その能力は年を取る事に真理と美咲の抱く感情は同化し「憂い・歓喜・慈悲・怒り・憎悪・復讐」6つの感情をバランスをとりコントロールするのではないか。
神父の心情として、心の神イエス、聖母マリア、精霊、天使達によって導かれる事を祈り続ける事になる。
「真理と美咲は、この能力によって、新たな未知たる人生を生きる事になるのだろうか」
神父が常に思う事であり、真理と美咲と同じように神父自身も変わらなければならなかった。
真理と美咲が抱く「憂い・歓喜・慈悲・怒り・憎悪・復讐」6つの感情に寄り添う者になる事が神父の役割でもある。

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チューリップス・シスター第8話

2016-08-08 04:07:44 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第8話 美咲の求めるもの

経験豊富でフリーの精神科医は、美咲の絵画の保管部屋で数週間泊り込みで、残さず美咲の絵画を分析し総合的な判断と診断結果をまとめ、神父に伝えた。
伝えた内容とは、スケッチブックにはナンバーが記され4年間で305冊、NoからNo305まで、他には1枚の画用紙103枚があった。
しかし、ナンバー1からナンバー13までのスケッチブックと画用紙103枚には何も描かれてなかった。
画用紙103枚には、見た目では何も描かれてなかったが、一瞬だけ薄らと浮かび上がる絵画であり、見えたり見えなかったりの繰り返し。
クレヨンを使用せず心の中の心の眼でイメージしたものが描かれていたはず、しかしクレヨンを使用し描くようになってから13冊に描かれた絵は消えた。
「不思議な出来事だったが、科学や物理を超えた現象もあり得るのかもしれない」
世界を回り奇妙で不思議な出来事を知り見てきた経験豊富である精神科医は驚く事なく否定も肯定もせず冷静に判断をしていたが、幻覚の世界観なのか幻想の世界観なのか考えていた。
精神科医から伝えられた神父は、ただ茫然として静かに聞きながら、言霊からの伝令の映像を思い出す。

現在の科学や物理の方程式では証明できない事もあることを念頭に精神科医は考えたのだろう。
「奇妙で不思議な事だが仮説としては幻覚でも幻想でもなく次元を超えた何かしらの能力が備わっているのではないだろうか」
フリーの精神科医と神父は、同じように思い考えていた。

真理は、苦難を乗り越え現実の世界を導いていくが、美咲は、誰も叶わなかった壮大な夢を時をかけて叶えていくのだと神父は思った。
神父は気付く事で心の中での大きな重圧から解き離れたようである。
神父は、イエスを通し精霊と天使の伝令の交信と精神科医の診断結果で、これまでの接し方と導き方が知る術もなく気付かなかった、薄らと幻の様にぼんやりとした光景がはっきりと見えるようになると全てが繋がり確信となった。

はっきりと確信した時、イエスからの直接的な伝心があった。
「友よ、アース神族の元に使える者へ伝えよ、世界中に広がる魔性の死神と戦う態勢を整えよ、そなたの心の中にいる者へ伝えよ」
神父の心の中にいる者とは15歳でイエスからの洗礼を受け若年でありながら18歳で神父となり、甥は持っている神父以上の能力がある事によって神父として選ばれた人物である。
神父となった21歳の甥は、18歳から日本を離れた場所にいた。
迷信と仮説だらけの奇妙で不思議な出来事が多い地域をまわり、見て話を聞きながら世界中を飛び回っていた。
歴史上でも迷信や伝説があるガンダーラ、インチベット、トランシルバニア、エルサイム、バチカン、メキシコ、グアテマラ、ベリーズ、インディアナ等を行き来していた。

神父の遺言はイエスの伝令であり祈り続ける神父を動かし、トランシルバニアにいる甥に手紙を送る事、そして日本へ戻るよう伝えていた。
トランシルバニアにいるという事は、神イエスからの直接的な伝心の中にあった。
神父の手紙がトランシルバニアに届くまでは数日または数か月かかる、その間、神父は食事を摂らず、ずっと教会の中で祈りと睡眠を繰り返した。
「友よ、目覚めよ、心の神に変わるものが、そなたの伝心を手にした」
神イエスからの直接的な伝心が神父に届いた、そして神父は普段の生活に戻る。
手紙が届いたのは数カ月後だった。
伝心があった時、更に神父は臨床心理士の知人で臨床心理士資格を持ち経験豊富で専門的知識のある臨床心理士からも電話を受けた。

電話に出た神父は、美咲の能力とは無限にある能力であって科学的物理的には証明はできない、稀に見る能力である事を知らせた。
そして、経験豊富で専門的知識のある臨床心理士は、美咲の様な子供をカウンセリングをした事があるようだった。
さらに神父は電話を受ける。
経験豊富であるフリーの精神科医での判断は科学的根拠がない為、一人の精神科医では判断してはならないという理由で、もう一人専門の病院の精神科医は美咲の絵画を見せてもらいたいという。 
そして、美咲に一度会って見たいという事だった。
神父は、是非、会ってもらいたいと伝える。

美咲は、年1回の誕生日だけ外出するが、施設から一歩も外に出ることはない、声かけしても返事すらする事もない。
精神科医と臨床心理士によって、良い治療ができ、専門の医師であれば、神父は美咲が変ってくれるかもしれないと思っていた。
数日後、医師と臨床心理士の方が施設へ来たのだが、美咲は、いつも通り、部屋へ閉じこもったまま、静かに絵を描くだけだった。
まず、セラピストが声をかけてみる、次に臨床心理士が声をかけてみるが、ただ絵画に集中し没頭していた。

美咲を見ながら声をかけると、セラピストと臨床心理士は不思議と自分が美咲の部屋にいるという意識が薄らいでいくのを感じていた。
セラピストと臨床心理士は、同じ感覚で心の中で思い見つめ合った。
「私達は、ここには居ないの、この子を見ている私自身の存在が薄れていくようだ」
セラピストと臨床心理士の「魂」が消えたり薄らと見え隠れしていたのだ。
そして、身体の力が抜けていくのを感じ、その場から離れた。
「先生、私達には無理です、声をかける事はしましたが、それ以外の事は全く出来ません」

セラピストと臨床心理士の報告を受けた病院の精神科医は、これまでの気になる絵を見せてもらえるよう神父に言った。
神父は、スケッチブックを2冊をもって、病院の精神科医と経験豊富な臨床心理士のもとへ向かう。
「何という絵なんだ、まだ幼い子が描く絵ではない、何故だ信じられない」
「私にも信じられませんが、何かを訴えているような感覚になります」
病院の精神科医と臨床心理士は、現実のもののように鮮明に描かれている絵を見て驚きを隠せなかった。

長く接していたセラピストから美咲の事を聞いていた臨床心理士は、精神科医へ言った。
「私は、もうあの部屋にはいけません、あの部屋に入ると何故か力が抜けるような感じがして」
「そんな事が、あるはずがないだろ、一般的な症状を持つ幼い子供だろ」
精神科医師は、ゆっくり美咲のもとへ行き、声をかけた。
「こんにちは、君の名前は、美咲さんと言ったね、君の描く絵は現実にあるものではないのかな」
精神科医の言葉は、美咲の絵を描く手を止めさせ、美咲は、顔を医師に向ける。

輝きのない沈んだ瞳を見た医師は瞳をあわせ、じっと見つめると金縛りのように動く事が出来ない。
本当の美咲を知る者は、イエスと神父以外に誰もいない。
美咲は何かを求めていると感じた医師ではあったが、それ以上の事は何もわからなかった、知る事も気付く事もない。
医師は、他に言葉をかける事は出来ず、美咲の部屋をあとにした。
瞳を見つめあうと臨床心理士が言っていたように、身体の力が抜けていく感じを受けていたからだ。

美咲の部屋をあとにした精神科医は、臨床心理士と神父と共に、教会へ向かい教会の中に入った。
教会へはいった、精神科医と臨床心理士は、深く深呼吸を何度もしていた、美咲と会ってから息苦しさを感じていた。
美咲の部屋へ入ってからというもの出ていくまで、呼吸が止まるような感じを受けていた。
「どうなさいました」
神父は、セラピストと臨床心理士2人に声をかけたが、どちらも言葉を失っているかのようだった。
美咲の過去の生い立ち全て(両親との別れと育ち方)を神父は、医師達にも話をする。
そのあとで、ある精神科医は言うのだ。
美咲が今、求めているものは「死」かもしれない、あるいは美咲の瞳は散大し「死人の眼」のようになっている。
美咲の瞳の中には、何かが浮かんでいるような、だからこそ、あれほどの絵を描く事が出来るのかもしれない。
「しかし、まさか、そんな不思議な事があるはずはない」
専門的な精神科の医師が発する言葉が、気になる神父だった。
「なぜ、死という言葉を使ったのか、何かに動かされているようだ」

病院の精神科医達は、薬物療法や精神療法の治療が必要なのかどうか議論をして必要かもしれないと判断した。
フリーの精神科医師を含む7人が美咲を分析し診療したが2人の医師は対症療法と判断したが、5人の医師達は精神治療(精神療法と薬物療法)が必要だと判断された為、精神治療をする事になった。
ただ脳の働きが活発で脳が敏感に反応してる、あまりにも脳を使いすぎる少し眠らせた方がいいという科学的根拠はない見た目だけの理由だった。

薬を服用した3日後、眠りについていた美咲は、瞳を大きく開きベットの上で起き上がる。
下向き加減の美咲であったが、ベットから離れ窓を開け、空を見上げながら大きな声で叫ぶ。

「私の邪魔をしないで、悪の邪気は消えてしまえ!」
美咲は、はじめて自分の意思を大きな怒鳴り声の言葉で、禁断症状ではなく自分自身を表現していたのだ。
美咲に薬を1週間分処方し服用させたのは逆効果となっていた。

美咲の本当の心に気づく事がない科学的診断で医師達の判断では、美咲の治療が出来ない事を知った時であり、美咲の能力の現実を知った時だった。
美咲に精神治療を止めようとした精神科医2人は現実の世界に残存し、精神治療を進めたメンタルクリニックを運営する5人の精神科医は、現実の世界から行方をくらまし抹消された。

「もしかしたら美咲の求めるものとは、私達いる現実の世界と仮想空間次元の違う現実の世界を創り出し、世界中の人類に選択肢を与えようとしているのではないか」
美咲の絵画からの価値観と世界観、そして本当の能力に気付いた神父は心の中でイエスや精霊と天使の言霊で感じながら思った。
しかし、神父には見える美咲への思いを医師達には伝える事なく神父の心の中に留められた。

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