(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

気まぐれ日記/絵画 <雨夜の品定め>(現代版)

2013-11-04 | 読書
極めつけの美女二人の絵をご紹介し、みなさんにもご参加願って<雨夜の品定め>をいたします。


気まぐれ日記/絵画 雨夜の品定め

源氏物語の巻一の第二帖は<箒木>(ははきぎ)です。。そしてその中に<雨夜の品定め>との愛称がつけらた話が据えられています。光源氏、17歳の時の出来事です。長い五月雨の一夜、宮中で物忌みのため籠もっている源氏の宿直所(とのいじょy)に、頭の中将(とうのちゅうじょう)/左馬の頭(さまのかみ)/藤式部丞の三人が集まり、女性の品定めが始まります。現代ならば見合い写真を持ち寄るか、あるいはiPadで写真を見せて、”どうだいい女だろう”と自慢するようなものです。しかし、当時そんなものはありません。自分が付き合った女のイメージを口頭で説明するのです。こういうことがあった、こんな歌を送ってきた、自分はこういう歌を返した・・・。それぞれ、われこそはと自任している女蕩し(おんなたらし)が、おのれの経験談、打ち明け話、はては恋愛論、女性論へと発展していくのです。光源氏は、おのれの胸に秘めたる女性がいてーそれは父、藤壺帝の中宮に入った藤壺、義母ですがー彼らの話を黙って聞いています。男女の仲を分析していて、なかなか面白い帖です。こんなセリフもあります。

 ”何についても、よく知っている事でも知らないふりを装い、言いたいことも
  十のうち一つ二つは言わずにおくほうが、いいのです”

つまり控えめにしてしとやかな女性がいい、と言っているのですね。(現代では、怒られそう)

 これと同様の試みをやってみようと思います。独断と偏見で選び出した美女の絵画二葉、それについてみなさんに好き、嫌い。その順序などを理由をつけて語っていただこうという趣向です。(この2葉を選んだ理由は、あとでご説明します) いやいた、私にはもっと素敵な女性のイメージがある、という方は画像を説明をつけてお送りください。それも含めてコメントしあいましょう。

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 まず冒頭の絵です。18世紀のイギリスの肖像画家ジョージ・ロムニーが描くところの「Lady Hamilton 」(レディ・ハミルトン)。 エマ・ハートは、貧しい家庭に育ちましたが、長じてC・グレヴィスの愛人となり、彼によって音楽・文学などの教育を受け、次第に教養を身につけてゆきます。ミュージカルや映画となった「マイ・フェア・レディ」の主人公、イライザのようなものですね。そうこうするうち、グレヴィスの叔父であるサー・ウイリアム・ハミルトン(ナポリ大使)に連れられてイタリアへ行き、そこで二人は結婚します。結婚式の日に、ただ一度だけレディ・ハミルトンとして画家・ジョージ・ロムニーの前に座ったのです。子犬を抱いている彼女の姿、柔らかな眼差し、若さと美しさに溢れ、幸福感すら漂ってきます。この美女に、ころりと参った男が現れます。その話は後述しますが、それくらい魅力があったということです。みなさんは、如何思われます


          


 この絵を初めて見たのは、古い記憶を掘り起こせば、おそらく1970年代の初めの頃かと。ニューヨークの、5番街を挟んでメトロポリタン美術館の向かいにある<フリック・コレクション>という美術館でした。ここは、小ぶりですが、素晴らしい美術館です。ヘンリー・クレイ・フリックという製鉄業の関連のビジネスで成功をおさめた人の住居を美術館にしたもので、収蔵品には見るべきものが多くあります。フェルメールの作品も3点。そのころは訪れる人もそう多くなく、ゆったり見られました。
http://www.frick.org/


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 さて2枚目は、フラゴナールの「読書する少女」(Young Girl reading)です。この絵はワシントのナショナル・ギャラリーにあります。ここはいいですね! 広々としたスペース、どの部屋も明るくて、写真OK、床に座ってのスケッチもOK、どこかの国の美術館のように、あれこれいわれません。それなのに訪れる人は静かに鑑賞しています。ここのパビリオンカフェも外に面していて、明るい光が差し込んで気持ちがいいです。一日のんびりしていたいくらい。

 「読書する少女」という趣向の絵は、かなりの数いろいろな画家によって描かれています。わが国でも上村松園の「源氏物語を読む女」という絵があります。また寝そべって読書する少女を描いた絵もあります。外国の画家にも多くの作品があります。しかしその中でもこのフラゴナールの作品は、その気品の高さ、そして光線の扱い方、またレモン・イエローという幸せを象徴するような色を多用しての絵には、目を惹きつけられます。この油彩の大きさは、104.9センチX89.5センチと大きな絵です。




右手に本を持って読書に励む。少女の身体に当たる光の具合から窓際に座っているのであろう。すこし薄茶を帯びたピローがあって、そこに身体を預けている。どんな本を読んでいるのか。ナショナル・ギャラリーの解説を読むとヴォルテールかルソーの本ではないかとの推測がある。フランス革命前のハイソサエティーに身をおく少女。モデルは不明である。同じく美術感の解説では、この絵は、"delectable" と表現されている。その言葉通り、見ていて”楽しい”のである。こも絵は、ずいぶん前から知っていたのだが、実際この目で見てみたいと、ワシントンまで足を運んだ。予めメールを送って、学芸員の方と交信し、この絵がよその展覧会にでていないこと、訪問当日陳列されていることを確認した上で、対面できた。じっと立ち尽くし眺めていて、ほかの部屋に移ったあともまた足を運んで眺めさせてもらいました。嬉しい出会い!

 これを描いたフラゴナールという人は(Jean honore Fragonard)は、ロムニーと同時期の18世紀のフランスの画家です。彼は、ブランコなど有名な絵も描いていますが、恐らくこの逸品で忘れられない画家となったことでしょう。

ちなみに、ワシントンのナショナル・ギャラリーは鉄鋼王のカーネギー・メロンがコレクション・建物とも寄贈したもので、まことにナショナル・ギャラリーと呼ぶにふさわしい美術館です。

 
 と、いうような訳で二枚の絵画をご紹介しました。このうち、どちらの美女が貴方のお好みでしょうか? そしてその理由は・・・。みなさんの投票の参加をお待ちしています。このブログのコメント欄に書き込んでいただいてもよし、あるいはメールでご一報いただいてもよし。それらは、すぐ本文に反映させます。

 お待ち申し上げております。






コメント (4)
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