制約のリング

 「制約を知らぬ精神が、いくら純粋な高さを完成しようと焦ってもむなしい」 ・・・ ゲーテの詩の一部

コミュニケーションレッスン

2008-02-13 | TVより
知るを楽しむ 日本語なるほど塾 (NHK教育)

 『思いが通じる!コミュニケーションレッスン』

   講師: 山田 ズーニー

    コミュニケーションのための ツールが増えても、
    伝わらない気持ち、、、


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第1回 7つの要件で思いは伝わる!   2005/04/07

◆コミュニケーションには伝わるための7つの要件がある

   1.メディア力
     
何をいうかより、誰が言うか。あなたは人からどう見られているか?
   2.意見
     
言いたいことは何か?
   3.論拠
     
なぜそう言えるか?理由は何か?
   4.目指す結果
     
どんな状況をつむぎ出したいのか?
   5.論点
     
自分は何を問題としている?
   6.相手にとっての意味
     
相手の立場で客観的に見たときの意味は?
   7.根本思想
     
自分は根っこに何を想っている?

 1.メディア力 (相手から見た自分の信頼性、影響力)
   ・「何を言うか」より「誰が言うか」
    例えば、『宇宙人発見』の五文字を、
    インターネットで見るか、スポーツ紙で見るか、7時のニュースかで、印象が違う。
   ・自分のメディア力を高めることが必要
    いつも嘘ばかりついていると、いざというときに信用がない。
    その人が信頼する人に代弁してもらえば、メディア力を補える。
   ・メディア力はいろいろ
    スポーツ紙でないと書けないこと、7時のニュースで伝えられること。
    今の自分ならではのメディア力を理解すること。

 2.意見 ⇔ 3.論拠
   ・意見:自分が一番やりたいこと
   ・論拠:理由や根拠
    筋道たてて、人に "なるほど" と思われるように。
   ・コミュニケーションは意見と論拠で成り立つ
    意見は自分の中にあるものなので、このままでは人には理解されない。
    『なぜ?』を論拠で相手にわかってもらうことで、成り立つ。
   ・会議で、あなたは どう思うかと聞かれた時どうするか?
     ①相手の意見を確認。
     ②その論拠を確認。
     ③自分は賛成か反対かを表明。
     ④その論拠を説明。
   ・深呼吸して『意見と論拠』!!
    どんな場面でも、コミュニケーションの場面でパニックになったら
    深呼吸して『意見と論拠』!!

 4.目指す結果 (誰がどうなりたいのか? どんな状況をつむぐ?)
   ・目指す結果を ハッキリ イメージすること!!
    今日は調子悪いんだよね、、、だけで止めては、
    相手は "だから何がいいたいの" とモヤモヤする。
    論拠だけで止めてはダメで、
    そこから突き詰めて目指す結果、意見をハッキリさせることが必要。

第2回 お詫び・お願いの技術   2005/04/14

 5.論点 (人は 話す時、書く時、問いを握っている。抱いている問いが論点)
   ・常套句を使えば考えなくても文章は作れるが、自分の思いは伝わらない
    パターンで対応して考えてはいけない。
    →『仮面思考停止』と呼んでいる。 考えなければ!!
   ・考える
    物を考えるには、答えではなくて、
    その問いを考えるための具体的で小さな疑問を、いくつも出す。
    そうやって、その問いにアプローチするための小さな問いをいくつも出して、
    自問自答を繰り返す。何かストンと ふに落ちるまで、
    自分の言いたいことはこれだったんだと発見できるまで、
    粘るづよく続けるというのが考える作業。
   ・考えることは自分で自分にインタビューすること
    問いの100本ノックのつもりで!!
    例えば、失敗した時に謝る場合なら、
     ・失敗するまで自分はどんな状態だった?
     ・どんな気持ちだった?
     ・どんな格好だった?
     ・今どんな気持ち?
     ・相手に対して今どうしたい?
       :
    といった具合に自分に問いをぶつけていく。
   ・大きなテーマから切り出してきた問いは論点
    例えば環境問題(大きなテーマ)について話している。
    一方が "増え続けるゴミの扱いについてどうするか" を考えていて、
    もう一方が "環境に対する教育をどうするか" について考えていたとすると、
    論点がずれている状態になる。
   ・人は考える時、話す時、書く時、無意識に問いを握っている
    自分が抱いている問いの分、それに見合った意見だけしか出てこない。
    "私はいかにダメか" という問いを抱いていれば、
    いくら書いても、どんなに話しても、後ろ向きな話しか出てこない。
    失敗して謝る時、私が悪いんです。私がダメで、どうしようもないんです。
    すみません、すみません、、、
      →これでは伝わらない。自分と相手の問いが違う。
       自分は "良いか悪いか" の問いで話している。しかし相手は、
       "その失敗でこうむった被害に対してこれからどうしていこうか?"
       という事を考えている。
      →相手に関心のある問いを選ぶ事。
       相手の関心のある問いを順番に並べる。
   ・お詫びの問いの構造
     ①相手理解 :相手の立場でこの一件を見るとどうか?
     ②罪の認識 :自分の非はどこにあったか?
     ③謝罪   :(すみません)
     ④原因追求 :なぜこういうことが起こったか?
     ⑤今後の対策:2度としない為にどうするか?
     ⑥つぐない :罪をどうつぐなうか?
      →この順番でなければ伝わらない!!
     例:コーヒーをこぼして。
       ①やけどは?洋服にシミは?
       ②③私の不注意をお許しください。
       ④(経験不足、忙しかった)
       ⑤(日常の例では外せる)
       ⑥クリーニング代

第3回 人を励ます・誤解を解く   2005/04/21

 6.相手にとっての意味
   ・相手の受け止め方を客観的に考える
   ・目線に気をつける
     ・「こうすればいいんじゃない?」のように、
      高い目線でアドバイスしていないか?
     ・「○○先生はこう言ってたよ」と、
      えらい人の引用で、自分の身の丈を超えた
      押しつけがましい事を言ってないか?
   ・いろいろな受け止められ方をする
    映画好きの人に、恋人と一緒に映画を見た話をするにしても、
    相手が振られた後だったら問題。自慢話にしか聞こえない。
   ・はげますことは難しい
    落ち込んでいる人を はげまそうとして、かえって追い詰めてしまったり、
    傷つけてしまったりしてしまうことがある。
     はげましの言葉のポイント
        ①相手理解をしっかりとする。
         まず、相手のやった事をしっかりと理解する。
         相手の仕事や、やった事を、しっかり深く確認する。
          →そこから、ほめられる点とかがあったりする。
           それで、自分のこと わかってくれるということで
           元気が出てくるかも。
        ②自分ならどう変われるか。どのように変わったか。
         相手の考え方とか変えようとするのではなく、
         同じ問題に直面したら、
         自分なら どうするか/どうしたか?を考え、伝える。
         →自分の失敗談などをし、反省した事を話し、
          そこから自分はどうしたかを話す。
        ③経験に基づいて話す(自分で経験済みの事を話す)。
         えらい人の引用だと自分の身の丈を超えたモノで
         押しつけがましくなる。
        ④ひびく「問い」を投げかける。
         答えを押しつけずに、
         同じ様な自分の中の悩みを問いかけたりする。
         →その答えに導かれるための問いを与える。
   ・誤解を解く "共通ポイント"
     誤解を受ける
      自分の信頼性が落ちている。(メディア力の低下)
      自分という人間が信頼されないと、言っている事を聞いてもらえない。
        ①誤解される。
        ②自分の信頼性が落ちる。
        ③誤解されて腹が立ち攻撃(証拠を見せろ!等)。
        ④相手は判断力を否定されたと思い感情を害する。
        ⑤相手は余計、自分のことを嫌いになる。
        ⑥さらに信頼性を落す。
        ⑦どんどん言っている事が通じ無くなる。
     誤解を解く論法 (例:カラスの色が白いと言ったと誤解された)
        ①根っこの「問い」は何か?   →カラスの色は?
        ②相手は、どう思っているか? →黒
        ③自分は、どう思っているか? →(もちろん誤解だから)黒
        →この "カラスの色が黒" 共通ポイント。
         ここをまず確認することから始める。言った、言わない、
         証拠を見せろとか四の五の言う前に、
         ここを確認して通じ合えばいい!!
     共通ポイントの決め方 (早く、確実に、正直に決める)
        ①早い段階で伝える。
         終わりの方で言っても、
         どうせ誤解を解きたくてと、思われかねない。
         唐突でもいいから伝える。
        ②正直に、嘘をつかない。
         歯の浮くような ほめ言葉などを言って嘘を言うと、
         さらに、メディア力を下げたりする。
         自分の思っているとおりを実感を込めて嘘無く伝える。
     目線の共有
      心臓病の母に対して、
      「早く元気になって」
      と言っていたが、心臓の病気で、すぐには元気になれない。
      それが母を威圧し、追い詰めていた。
      「迷惑をかけてすまない」
      と繰り返すようになった。
      「早く元気になって」は病気の状態は良くない事という
      意識が背後にあり、高い目線から見ている感じがある。
      そんな母を支え はげました言葉があった。主治医の言った、
      「(心臓病になったんだから)元のようには元気になりませんよ」
      という言葉。一見コミュニケーションを拒否しているような言葉ですが、
      「元のようには」っと ズケっという先生には、
      健康と病気と、どちらが高いも低いもない。
      非常に母と目線を共有した言葉なんです。

第4回 信頼を切り開く   2005/04/28

 7.根本思想:自分の根っこにある想い
   ・言葉の底には何倍もの、価値観や想いが横たわる
    (言葉に出てくるのは氷山の一角)
   ・表現は「何を言うか」より「どんな気持ちで言うか」が大切
   ・本当に思っている事がついつい出てくる
    自分に対してあたたかい気持ちを持っている人が、
    自分に、「バカ」と言いってもあたたかく感じられる。
   ・想いと言葉が一致すれば人の心を強く打つ
   ・人は、本当の想いを言えた時、深い内的な喜びがある
   ・本当の想いを甘く考えると何も伝わらない
     ・正直である事が最大の武器。
      波風立てたくないから無難な実感のともなわない言葉を言ってないか?
     ・今の若い人は、本当の事を言う事を甘く見ているために実は、
      本当の事を何も言えずにいると思う。
     ・自分の想いを掘って 掘って 引き出して 整理して、
      それで始めて本当の事が言える。
     ・本当の事を言う事は、ぶっちゃける事ではない。
      気に食わないから、「気に食わない」と言うことが、
      本当の想いを伝える事ではない。
      気に食わない理由は何か、
      そして、この先どうして行きたいのかを考える事で、
      自分の深い思いや未来に向けたその人との関係に対する願いに
      気づいたりする。
      その上で伝えるのが、本当の想いを伝える事。

  … 信頼へ …

   ・仕事でやる気を失う上司の言葉
     ・"このこととは関係ないだろ!"ということまで言われた時。
     ・わかっていることをアドバイスされた時。
     ・お前使えないな とか言われた時。(自分の存在否定)
     ・自分がやったつもりでも、それを認めてもらえない事を言われた時。
   ・以下の縦軸と横軸の連続性がやる気を引き出す
     ・縦軸:その人の時間軸。過去→現在→未来 という連続性。
     ・横軸:今、自分がやってる事がどのように社会や周りの人に影響するか。
   ・つながりが断たれると人は不安になる
     ・「君、営業から企画に行って」と言われて、
      このつながりが断たれるため、不安になる。
      今までやって来た事はなんだったんだ。
      そもそも私は何なの... "つながりの危機"
   ・人は過去にやって来た事が現在につながり未来につながれば安定する
   ・つながりが見えれば安心する
     縦軸 (過去→現在→未来 の つながり)
       <悪い例>
         来月から企画部に行ってくれ、
         2人も辞めて困ってるんだ。よろしく頼むよ。
       <良い例>
         君は営業を10年やって現場をよく理解している。
         君なら現場と商品開発の架け橋になれる!
         →過去から現在までやって来た事が、
          未来につながるように思える。
     横軸 (社会 や 周りの人 との つながり)
       <悪い例>
         ここのやり方に早く慣れるよう、いろいろ企画出してみてよ。
       <良い例>
         今家族に会話がない。うちの商品で会話が生まれる。
         そんな企画を立ててみないか?
   ・初対面でも信頼されるには?
     ・自分自身の過去現在未来の主旋律、
      自分は、過去こんな経験をして、現在こんなことを考え、
      今から未来に向けてこのような事をしたいと思っている事をハッキリ示す。
     ・自分が今からやりたい事は、
      今の世の中、人々に こういう風に貢献したい、こう役に立ちたい
      ということをキチンと説明できた時に、
      相手は自分のことを軽んじたりせず、信頼してくれる。
     ・1番のポイントは、現在から未来に向けてどうしたいか?という、
      “将来に対する自分の意思”。これから普段から持ってなきゃいけない。
  

  ◆まとめ
    1.メディア力 (相手から自分を見た時にどう見えるか?)
       人から見た時の自分の信頼性や影響力。
       宇宙人発見のニュースでも、
       インターネットか、新聞かで かなり印象が違う。
    2.意見 (一番言いたい事)
    3.論拠 (意見の根拠や理由)
       なぜそういえるのかを考え、ハッキリさせる。それで相手に橋がかかる。
    4.目指す結果 (どうなりたいかのイメージ)
       このコミュニケーションで、
       誰がどうなる事を目指すのかをハッキリさせておく。
    5.論点 (自分の問題意識(問い))
       論点と意見は、ちょうど問いと答えとなる。
       いい問いを発見して、いい問いを持つように心がける。
    6.相手にとっても意味 (相手側から客観的に見た場合の意味)
       自分の自慢になってない?いったん引いて相手側から見てみる。
    7.根本思想 (自分の根っこにある想い)
       最後は根本思想が問われる。技術は想いがあってこそ。

  ◆最後に
    想いを表現して欲しい。
    嘘なんてつかなくても、自分の思いで通じ合う力をみんな持っている。
    今、自分にしか表現できない事を伝えて、人と通じあっていって欲しい。