齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

泥仏不渡水(でいぶつ みずを わたらず)

2017年10月01日 | 今月の言葉
ご来訪ありがとうございます。

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですね。

朝晩 結構冷えてきました。

季節の変わり目です。お体をご自愛ください。


今月の言葉は「泥仏不渡水(でいぶつ みずを わたらず)です。




今月の言葉


泥仏不渡水
 (でいぶつ みずを わたらず)

意は泥で作った仏像は溶けてしまい水の上を渡れないということ。

とかく仏さまは人智を越えて万能のように思われているが

仏教は超常現象的なものは否定する。

また、仏像を泥で作れば水に溶けるのが実際である。

つまり、形あるものは壊れる。

形にこだわってはいけないと指している。



本当の「ほとけ」は

「生ぜず滅せず、汚れず清からず、増えもせず減りもしない

(不生不滅、不垢不浄、不増不減)」と般若心経にいう。

形のないありのままの自己が本当の「ほとけ」だと説く。



転じて

この語が我々の暮らしの中に示す意は、

財産や形のあるもの、壊れたり奪われたりするものに

頼ったりこだわるのでなく、

身を着飾るより品格を高めたり、

高価な腕時計を求めるより

時間管理能力を向上させること、

高価な道具より道具を使う技術を磨くことなどが

大切だという事であろう。



ただ、決して仏像を拝むことを否定するものでなく、

「おおいなるもの」の象徴として拝むことの大切さは

言うまでもない。



お知らせ

十月七日 齢仙寺 達磨忌


平成二十九丁酉神無月