齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

11月のことば 「壺中日月長(こちゅうじつげつながし)」

2012年11月04日 | 今月の言葉
11月ですね。秋が来たと思ったらもう冬、というような感じですが、みなさまおかわりありませんか?

さて今月のことばは、

「壺中日月長(こちゅうじつげつながし)」

最近ことばもことばの説明も漢字が多くていや、という声もあり、ちょっと住職は落ち込み気味(笑)
来月はひらがなのことばになったりするのでしょうか。

さて「壺中日月長(こちゅうじつげつながし)」の意味です。

後漢書に、日本の浦島太郎のお話ととても似ているお話があります。

「壺の中に仙境があり、そこは玉堂厳麗、旨酒甘肴があふれるほどあって、十日ほど過ごしたつもりが十数年も経っていたという仙話」

そんなお話からこの語は出来ているのですが、
「壺中」は壺の中の別天地、仙境をいい、それが転じて悟りの妙境をあらわします。

「日月長」は悟りの世界には時間の流れが無くて悠々としていることをあらわします。

つまり、この語は「苦」に満ちた娑婆世界の二元対立の葛藤が、心のあり方を変えてみれば、そこには悠々自適の日常性が展開すると示しているのです。

平たい例で言えば、大きくローンを組んで頑張って入手した我が家も、十分な広さを確保はできていない。しかし、「狭いながらも楽しい我が家」であることもまた事実。

政治が悪い、社会が悪いというばかりでなく、自分の生きる意味を楽しんでみる日々をどうしたら過ごせるか。

ちょっと、執着、毀誉褒貶、損得、軽重、美醜などの葛藤からステップアウェイしてみませんか      


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