一寸の兎にも五分の魂~義太夫三味線と朝顔と展覧会の日々

美術展とミュージアムグッズの紹介、朝顔日記と義太夫三味線格闘記、文楽についても少し。

本日のミュージアムグッズ29 雲中供養菩薩像モバイルスタンド@天上の舞 飛天の美展・サントリー美術館

2013-12-25 | 展覧会
なんと、ほぼ2か月ぶりの更新は「本日のミュージアムグッズ」コーナー。

今回は、サントリー美術館で開催中の「平等院鳳凰堂平成修理完成記念 天上の舞 飛天の美」展より、雲中供養菩薩像のモバイルスタンドでございます。



平等院ミュージアムショップからやってきたこのすばらしくきれいなモバイルスタンド(本体価格1500円)。

ポップなカラーとクリアなボディがきれいですし、デスクに置いておいても素敵です。



(横からみたところ)

実際の《雲中供養菩薩像》のイメージとのギャップもかえって新鮮で、アイディアとしては、なかなか秀逸。


(左の雲と右の菩薩を組み立てます)

新年があけたら、仕事場のデスクの友にしようと思います。

というわけで、「天上の舞 飛天の美」展は、2014年1月13日(月・祝)まで。

京都・平等院鳳凰堂の修理落慶に先立って、堂内の国宝 《雲中供養菩薩像》や鳳凰堂内の絵画・工芸作品によって、「平安時代の飛天舞う浄土空間」を再現しようとしたこの展覧会。国宝 の《阿弥陀如来坐像光背飛天》も、寺外初公開だそうです。



というわけで、メリークリスマス。



おまけ:かまわぬの「クリスマスの宴」手ぬぐい。「鳥獣戯画絵巻」のアレンジがきいてます。みなさん、楽しそうですね。








コメント
この記事をはてなブックマークに追加

『岩佐又兵衛作品集』、「朝日新聞 本の舞台裏」で紹介していただきました

2013-11-03 | 展覧会
この秋、絶賛発売中の『岩佐又兵衛作品集―MOA美術館所蔵全作品』(矢代勝也著)が11月3日付『朝日新聞』の「本の舞台裏」コーナーで紹介されました。



大上朝美さんによる記事で、本書刊行のきっかけから、「謎の絵師」又兵衛の紹介、「山中常盤物語絵巻」のドラマティックな来歴まで、コンパクトにわかりやすくまとめてあります。


(『朝日新聞』11月3日付朝刊「本の舞台裏」、執筆=大上朝美)

本書は、アート関連のカリスマブログ「弐代目・青い日記帳」でもご紹介いただきましたので(コチラ)、あわせてご覧くださいませ。

すでに本ブログでもご紹介しましたが(コチラ)『岩佐又兵衛作品集』の最大の魅力は、「山中常盤物語絵巻」「浄瑠璃物語絵巻」「堀江物語絵巻」の3つの傑作絵巻の全画面(もともとはそれぞれ150メートル近い大作)をノーカット・フルカラーでじっくり見られることです。

又兵衛作品に限らず、通常の美術書はもちろん展覧会図録でさえ、絵巻の紹介といっても、代表的な場面を取り出して掲載するにとどまることが多いですが、本書では詞書も含めてまったく省略なしで、すべての画面を見ることができるのです。

これまで、辻惟雄先生の名著『岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎』(文藝春秋)や芸術新潮の特集号などでその一部が紹介されてきましたが、もっと見てみたいと思ってこられた方にとっては(わたし自身もその一人なのですが)、願ってもないチャンスですので、ぜひお手にとって又兵衛の世界をじっくり楽しんでいただきたいと思います。

特におすすめなのは、行きかう人々を生き生きと描いた街中の描写や、屋敷のなかの襖絵や屏風の絵柄までも克明に描いている場面です。


これまで、あまりとりあげられてこなかった場面を、敢えてご紹介します。


(『岩佐又兵衛作品集』「浄瑠璃物語絵巻」第4巻より、浄瑠璃姫の館のなかの一場面)


人々が調理をしたり、行水をしたり、散髪をしたり、と当時の風俗が実に手に取るように描かれているのもおもしろく、「洛中洛外図屏風 舟木本」と同じ視点を感じさせます。


(『岩佐又兵衛作品集』「浄瑠璃物語絵巻」第8巻より、宿の井戸端で行水をするおじさんたち)

とまあ、これは氷山の一角で、じっくりと見れば見るほどおもしろいさまざまな場面が散りばめられております。

所蔵するMOA美術館では数年に一度、これらの絵巻を交代で展示する機会をもうけていますが、展覧会会場ですべての場面をじっくりと見ることは、混んでいたり、時間が足りなかったりなど、なかなか難しいもの。

本であれば、好きなときに好きな場面を自分のペースで楽しむことができます。

しかも、A4サイズ見開き単位で展開する大画面、要所要所に盛り込まれた拡大図はかなりの大きさで、迫力があります。

辻先生のご著書でも有名な、「山中常盤物語絵巻」での牛若と盗賊が戦う場面も、この迫力。


(『岩佐又兵衛作品集』「山中常盤物語絵巻」第9巻より 牛若は、笑いながら斬る!)

というわけで、『岩佐又兵衛作品集』、ぜひお手にとってみてください。全国の書店にて絶賛発売中です!

 


この秋、「京都展 洛中洛外図と障壁画の美」で又兵衛の「洛中洛外図 舟木本」が話題になっている東京国立博物館のミュージアムショップにもおいてあります。

ちなみに、MOA美術館では2014年09月26日~10月28日までのスケジュールで、

「又兵衛『豊国祭礼図屏風』と『浄瑠璃物語絵巻』」展が開催されるようです。

生「浄瑠璃物語絵巻」を見られるチャンス! こちらも楽しみですね!

《こちらもおすすめ》
又兵衛ファンなら、こちらも見逃せません!

『洛中洛外図屏風 舟木本』岩佐又兵衛筆 東京国立博物館 監修、本体価格1200円
→東京国立博物館所蔵《洛中洛外図屏風 舟木本》を四分の一のサイズに縮小した複製に、解説を付けた大型リーフレット(左隻と右隻の二枚セット、それぞれ片面が作品、片面が解説)縦42cm×横90cmのサイズなので、細部をじっくり見るには最適です。

『ミラクル絵巻で楽しむ「小栗判官と照手姫」伝岩佐又兵衛画』太田彩監修、本体価格1,800円、B5判、96ページ
→江戸初期の人気浄瑠璃を題材とした、奇想天外な物語絵巻「をぐり」全15巻(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵、全長約300メートル)を迫力の大画面で紹介。恋人たちの数奇な運命と聖地・熊野における蘇りの奇跡が、又兵衛工房の真骨頂ともいえる極彩色豊かな細密描写で展開する。


そして最後にもうひとつ、又兵衛の「山中常盤物語絵巻」といえば、羽田澄子監督の映画、「山中常盤」を語らずにはいられません。コチラでご紹介していますので、ぜひご覧ください。







コメント
この記事をはてなブックマークに追加

本日のミュージアムグッズ27 横山大観展の「画伯旅すがた」トートバッグほかのグッズ@横浜美術館

2013-10-06 | 展覧会
横浜美術館にて本日より開催された「横山大観展 良き師、良き友」より、もうひとつ紹介したいグッズがこちら(先に紹介した山口晃トートバッグについてはコチラをご覧ください)。



その名も「画伯旅すがた」ランチトートバッグ(1200円)。

大正4年、横山大観と下村観山、今村紫紅、小杉未醒と、表具師・寺内銀次郎という総勢5名が、汽車に乗らず、人力車や馬車などを使って東海道を旅しながら、現地で写生して描き合作した「東海道五十三次」という9巻に及ぶ大絵巻があり、本展でも一部が展示されています(展覧会HPにて紹介されています)。



この旅は当時でも話題になったようで、東京朝日新聞に紹介された記事にはその旅すがたを描いたカットが掲載されました。

その「画伯旅すがた」カットをあしらったランチトートバッグ。

ほかの4人は見分けられませんが、大観はすぐわかりますね。

白、黒、紺、赤の4色あり、どれも素敵ですが、私はこの手のトートバッグにしてはめずらしい紺にしました。


マチが広いので、かなり大きなお弁当箱でも入りそうです。

ちなみに、この「東海道五十三次」のクリアファイルも売ってます(350円)。



もうひとつ、展覧会の花形としてチラシやポスター、展覧会図録の表紙を飾る「秋色」(個人像、大正6年、1917年)のクリアファイルも紹介します。


(「秋色」のクリアファイルと絵はがき2種。右下は小杉未醒の「飲馬」〈小杉放菴記念日光美術館、大正3年、1914年〉の絵はがき)

鹿といえば、東京国立近代美術館で開催中の竹内栖鳳が描く鹿を見たばかりですが、この鹿の描き方をとっても、両者の特質の違いが明らかなような気がします。

ちなみに、この「秋色」のトートバッグもとてもきれいだったのですが、さすがにバッグばかりそうたくさんも買えないので断念しました……。


(ミュージアムショップの様子。画面中央が「秋色」のトートバッグ)


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

本日のミュージアムグッズ26 山口晃画「横山大観と良き師、良き友」肖像画トートバッグ@横浜美術館

2013-10-05 | 展覧会
横浜美術館にて本日より開催された「横山大観展 良き師、良き友」

岡倉天心の生誕150年・没後100年を記念して企画された展覧会ということで、横山大観を中心にその師・岡倉天心を紹介しながら、大観の4人の友(小川芋銭、今村紫紅、小杉未醒、冨田溪仙)らの作品あわせて140件を展示するという展覧会です。

山口晃が天心、大観ら6人の肖像画を描いたことでも話題を呼んでいます。

というわけで、本日ご紹介するミュージアムグッズはまさしくその、山口晃が描く天心、大観ら6名の肖像画をプリントしたトートバッグ(2200円)。



展覧会図録も余裕で入る大きさです。



ちょっとよってみましょうか。




6名それぞれに対する山口晃さんの思い入れなどは、展覧会紹介HPよりこちらのページをご参照ください。

ちなみにこの6枚の肖像画はポストカードとしても売られています(650円)。



会場にはこれら6枚の肖像画も展示されていますが、おそらくほかでは見られないのではないかと思われますので、山口晃ファンの方はお見逃しなく……。


(この写真は、内覧会の際、主催者の許可を得て撮影しています)

展覧会場の入り口では、若き日の大観先生のパネルがお出迎えしてくれるのですが、この写真が山口晃さんに似ていると思うのは私だけでしょうか??(上の写真と比べてみてください……)




「横山大観展 良き師、良き友」展覧会のチラシはこちらです。





横山大観をはじめ、今回紹介される6名を中心とした人物相関図はこちら。



個人的には、冨田溪仙の画業はさまざまな側面があり、かなり力がこもっていて興味深く、もっといろいろな作品をみてみたいと思わせました。

「横山大観展 良き師、良き友」は

2013年10月5日(土)~ 11月24日(日)まで、横浜美術館にて開催中です。

※会期中の展示替え
 前期:10月5日(土) ~ 10月30日(水)
 後期:11月1日(金) ~ 11月24日(日)

おまけ:

山口晃さんといえば、まもなく群馬県立館林美術館で開催される「山口晃展 画業ほぼ総覧 お絵描きから現在まで」も楽しみですね。






コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「岩佐又兵衛作品集」又兵衛の絵巻がノーカット・フルカラーで満喫できます!

2013-10-01 | 展覧会
このたび、「岩佐又兵衛作品集 MOA美術館所蔵全作品」(矢代勝也著 東京美術)が刊行されました。

「山中常盤物語絵巻」や「浄瑠璃物語絵巻」をはじめとする岩佐又兵衛とその工房作とされる絵巻がノーカット、フルカラー、適宜拡大図にて満喫できるというぜいたくな画集です。

表紙は「山中常盤物語絵巻」より、牛若からの手紙を読む常盤と、母の仇討ちのため八面六臂の活躍をする牛若丸を描いた場面。



裏表紙は「浄瑠璃物語絵巻」より、天狗にのって矢矧の宿に帰る浄瑠璃姫と「堀江物語絵巻」より父の仇討ちに出かける岩瀬太郎。



本書の魅力はなんといっても、又兵衛とその工房作の代表的な絵巻を最初から最後まで、すべての場面をカラーで見られること。

詞書も省略なしで掲載しています。

辻惟雄先生の著作などで繰り返し紹介されてきた「山中常盤物語絵巻」常盤の臨終場面や、牛若と盗賊の戦闘シーンも、大きな画面で見られます。

しかも、絵の下には対応する場面の説明が入っているので、詞書が読めなくても、絵巻の流れに沿って話の流れがわかります。

あらすじや作品解説は、各絵巻の冒頭にわかりやすくまとめられています。



掲載されているのは、「山中常盤物語絵巻」「浄瑠璃物語絵巻」「堀江物語絵巻」の3つの絵巻のほか、

「柿本人麿・紀貫之図」「寂光院図」「伊勢物語図(鹿と貴人図)」「官女図」「楊貴妃」「歌仙図」五点「自画像」に「自筆書状」も!

「岩佐又兵衛作品集」は2013年9月末刊行。A4判、200ページで本体価格3000円はむしろリーズナブルといってもよい価格。

10月8日から東京国立博物館で開催される「京都 洛中洛外図と障壁画の美」展でも「洛中洛外図 舟木本」が紹介される岩佐又兵衛。この秋、又兵衛が見逃せません。

※「朝日新聞」11月3日(日)付の「本の舞台裏」で『岩佐又兵衛作品集』をご紹介いただきました。ぜひ、コチラもご覧ください。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

園芸好きも必見!江戸時代の草花やきのこの絵が見られる「博物図譜」展示@東京国立博物館

2013-09-29 | 展覧会
トーハクこと、東京国立博物館にて、2013年8月27日から10月20日まで展示されている、「博物図譜」(本館1階の16室)。

前回は、躍動感あふれる魚や動物たちの作品をご紹介しましたが、園芸好きには見逃せない植物を扱った作品も非常に美しいのです(ガラスへのうつりこみなど、ご容赦ください)。

まずは馬場大助の「遠西舶上画譜」より、珠玉の2枚。

この本は、「文化年間以降に渡来した草木349品」を扱っているそうです。




(「遠西舶上画譜」馬場大助筆 江戸時代・文政2年・1855年)

地の色がグレーというか銀色に見えるのは、「袋綴本の間紙」として薄墨色の紙を使っているからだそうで、それがなんともいえず繊細で高貴な雰囲気をかもしだしています。

そしてなんといっても、描写の細やかさに圧倒されます。まずは必見の作品です。

そのほかにも、幕府の御家人だったという岩崎灌園の手になる一連の著作も展示されています。


(「本草図説 草類」岩崎灌園著、江戸時代)


(「本草図譜 雑草類部」岩崎灌園著、馬場大助ほか画 江戸時代)

虫好きには、こんな本も。


(「博物館虫譜 中 蜘蛛類・昆虫類上 関根雲停ほか筆、帝室博物館編 江戸~明治時代)

そして、もっと時代が早い作品でもこのように美しいものもあります。



きのこ好き必見。江戸時代のきのこです。



鳥好きも。



(「随観写真」 10冊 後藤光生編 江戸時代・宝暦7年・1757年)

江戸時代、このように真剣に動植物を観察し、その姿を記録し続けた人々がいたこと、その作業の地道さを思うと、残された作品の美しさを目の当たりにしながら、思わず胸が熱くなってしまうのでした。

昆虫好きには、もうひとつ見逃せない増山雪斎筆「虫豸(ち)帖」は、10月1日から11月10日まで、本館8室で展示されます。

伊勢長島藩の第六代藩主だった増山雪斎が蝶や蜻蛉、蝉、蜘蛛などの昆虫から魚や蛙といったさまざまな生き物を描いたこの図譜では、蝶の鱗粉の質感を出すために金銀泥や雲母が使われているそうです(さすが、お殿様!)。

種類の識別が可能なほど正確な描写だというこの図譜は、科学的な正確さと芸術的な美しさが共存する稀有な作品とのこと。

間近で拝見するのが楽しみです!
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

変化朝顔がようやく花を咲かせました

2013-09-21 | 朝顔
江戸東京博物館で7月30日より開催されていた「花開く江戸の園芸」展。

その前売り券を買っていただいた変化朝顔の種のうち、紫吹雪の「糸柳葉采咲」のほうもようやく花を咲かせました。



3センチほどの、とても小さな花です。

種がとれたら、来年それを播いてどんな花を咲かせるか、楽しみです。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

岩佐又兵衛にも、義太夫三味線にも惚れ直す、映画「山中常盤」の素晴らしさ

2013-09-16 | 文楽
このたびやっと、「山中常盤 牛若丸と常盤御前 母と子の物語」(監督:羽田澄子/カラー/35ミリ 16ミリ/1時間40分/製作:自由工房/2004年)を拝見することができました。





これは、江戸時代初期に活躍した絵師、岩佐又兵衛の作とされる「山中常盤物語絵巻」(MOA美術館所蔵)の各場面を撮影した映像に、古浄瑠璃をもとに復曲した義太夫節をつけて構成した映画で、義太夫を聴きながら美しい絵巻の映像を楽しむことができるという、私のような人間には極楽浄土のような作品です。

「山中常盤物語」は牛若丸とその母、常盤御前を題材にした古浄瑠璃で、現在では上演されませんが、当時は操浄瑠璃で大変人気があった演目だといいます。

(「山中常盤物語」のあらすじは、後日アップしたいと思っています)

同じ岩佐又兵衛の作とされる「洛中洛外図 舟木本」(東京国立博物館所蔵)にも、京の都で「山中常盤」が人形浄瑠璃で上演されている様子が描かれています(「洛中洛外図 舟木本」は10月8日より東京国立博物館の「京都―洛中洛外図と障壁画の美」展で大々的に公開されますので、お楽しみに!)

この映画では、伝えられている詞書をもとに鶴澤清治さんが作曲し、豊竹呂勢大夫さんが義太夫を語っています。

もともと、岩佐又兵衛という絵師に非常に関心があり、辻惟雄先生のご著書『岩佐又兵衛-浮世絵をつくった男の謎』(文藝春秋、2008年)を読んで「山中常盤物語絵巻」が好きだったということに加え、清治さんが作曲されたという義太夫をどうしても聞きたくて、ぜひ拝見したいとずっと思っていました。

このたび、機会をえて拝見することができたのですが、期待にたがわずすばらしい作品でした。

なかなか見ることができない又兵衛の絵巻の細部にいたるまで、実に美しい色で撮影された画面のすばらしさ。

かなり拡大して撮影している場面もあり、着物の柄や調度品、通行人など細部にいたるまで実に細やかに入念に描写された絵巻のクオリティの高さに、あらためてため息がでます。

そして、義太夫のすばらしいこと。

清治さんの作曲、かっこよすぎます。

しょっぱなから、清治さんとツレの清二郎さん(現・藤蔵さん)の三味線が実に歯切れがよく、かっこよさ全開です。

絵巻と同時に義太夫が進んでいくということで、紙芝居的な要素もあり、清治さんの曲も、盛り上がるところの盛り上げ方がはんぱでなく、よりエンターテイメント性を追及しているようにも思われ、義太夫に慣れていない方でも違和感なく楽しめそうです。

でももちろん、義太夫ファン、とくに義太夫三味線をすきな方でこの映画をまだご覧になっていない方はぜひ、ご覧いただきたい……。太棹の三味線に惚れ直します。

そして、又兵衛ファンは又兵衛に惚れ直します。絶対に。

このすばらしい作品をあまり上映の機会のないままにしておくのは、岩佐又兵衛のファンとしても、義太夫三味線のファンとしてもいたたまれません。

なんとか、上映の機会をつくれないものか、と真剣に思案している次第です。

なにかよい案がありましたら、ぜひご教示くださいませ。

よろしくお願いいたします。

おまけ:そして、岩佐又兵衛ファンには朗報があります!お話しできる段階になりましたらアップしますので、いましばらくお待ちください。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

四代目竹本長門太夫著『増補浄瑠璃大系図』について

2013-09-15 | 文楽
前回、2013年8月28日、大阪四天王寺で開催された「初代竹本義太夫師三百回忌記念行事」の際に配られた、

「竹本義太夫墓石修復資金勧進 合わせて 浄瑠璃界先師墓石修復資金勧進事業 事業報告書」

について簡単に紹介しましたが(コチラ)、この報告書に記載されている墓石の図や戒名などの情報は、『増補浄瑠璃大系図』という書籍から転載していると書いてあります。

先日、「9月文楽公演」で国立小劇場の受付脇売店の書籍コーナーを眺めていたら、その『増補浄瑠璃大系図 上・中・下〈演芸資料選書6〉』(四代目竹本長門太夫著、国立劇場芸能調査室刊)がおいてありました。

おもわず手にとって開いてみると、太夫、三味線、人形の歴代の系図が……。

研究者でもなんでもない私にとっては宝のもちぐされのようなものかもしれないのですが、かねてより江戸の昔、実際に生きて活躍していた三業、特に三味線弾きのことを少しでも知りたいと思っていたわたしにとってはちょっと見過ごせない資料でありまして、

つい3冊とも、買ってしまいました。


(『増補浄瑠璃大系図』中央が上巻。竹本義太夫についての記事から「曽根崎心中」の絵番附)

その概要を下巻に記載されている法月敏彦先生の解題から抜粋すると、

○「本書三冊は、四代目竹本長門(長登)太夫(1814~1890)著『増補浄瑠璃大系図』全22巻の新訂版である」

○「本書は、人形浄瑠璃文楽に従事した、作者・太夫・三味線弾き・人形遣いの師弟関係を系譜の形式に整理した著作物である。その収録範囲は、人形浄瑠璃草創期の頃から、所謂、古浄瑠璃期を含み、義太夫節台頭期から明治初期までが含まれている。当然のことながら、原著者が生きた19世紀後半の人物に関する記述が最も充実している」

○「このように、江戸時代初期から明治初年に至るおよそ300年の人形浄瑠璃従事者について、その膨大な師弟関係が整理され、系統付けられている。本書は、いわば人形浄瑠璃の人物情報源であり、人物事典である」


どうですか、こう書かれると研究者でなくても、素人でも読んでみたくなりませんか??

実際、ぱらぱらっと眺めているだけでも、実にたくさんの、実にバラエティに富んだ名前の太夫さんや三味線弾きさんがいたんだなあ、と当時に思いをはせるのも楽しいものです。

もちろん、「竹本住太夫」や「竹本源太夫」というような、現在に引き継がれる名跡も登場し、そういった名跡の系図が体系だってわかるところも、この本の価値あるところのひとつなのではないかと思われます(素人くさい説明ですみません。でも、実際、素人なので)。

浄瑠璃に詳しい方には基本文献なのだと思いますが、敢えて載せてみました。

コメント (1)
この記事をはてなブックマークに追加

「竹本義太夫墓石修復資金勧進事業報告書」についての簡単なご報告

2013-09-10 | 文楽
2013年8月28日、大阪四天王寺で開催された「初代竹本義太夫師三百回忌記念行事」の際に配られたという、

「竹本義太夫墓石修復資金勧進 合わせて 浄瑠璃界先師墓石修復資金勧進事業 事業報告書」

という文書が、東京の国立劇場小劇場にて開催中の「9月文楽公演 通し狂言 伊賀越道中双六」(初日の報告はコチラ)会場にて配布されております。



少なくとも、初日にはかなりたくさんの量が机においてありました。

8月末の記念行事には行きたいと思いつつも、仕事に絡めとられて足を運ぶことができず残念に思っていたところなので、この報告書だけでもいただくことができてとてもうれしく思いました。

記念行事(法要)の模様はコチラで見られます。

(実は、参加された方のご厚意で、当日配られたという報告書を見せていただいてはいたのでした。本当にありがとうございます!)

この報告書には、中間決算報告として、いくらの寄付金が集まったかとか、どういう支出があったかということが実に事細かにきっちりと記載されており、それについてはすでにツイッターなどで報告もあるのですが、わたしがびっくりしたのは「浄瑠璃(義太夫節)界先師石塔群」についての実に詳しい報告が15ページ近くにわたって記載されていることです。

それぞれの供養等の概略、来歴に加えて、図や写真なども盛り込まれ、墓石や供養塔の説明と同時にそれぞれの人物についても概要がわかるようになっており、とても勉強になります(それらの情報の一部は、『増補浄瑠璃大系図』より転載されたとのこと。この書籍については、コチラを参照)。


(報告書の1ページ)

場合によっては碑文なども書き起こしてあったりして、なんというか、実にマニアックな内容です。

それに引き続き、今回行った墓石の修復経過もたくさんの写真と解説によって報告されており、

「ほほ~、供養塔というのはこういう構造になっていて、こういう風に修理するのか」となかなか興味深いものでした。


(裏表紙)


それにしても、これだけの情報量をまとめるのは、校正含めてけっこう大変だったのではないかと……。

というわけで、関心のある方はぜひ、「9月文楽公演」の会場で手にとってみてください。

コメント
この記事をはてなブックマークに追加