一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

本日のミュージアムグッズ18 フレデリック・ストラップ@「レオ・レオニ 絵本のしごと」展

2013-06-29 | ミュージアムグッズ
早くも各方面で話題になっている「レオ・レオニ 絵本のしごと」展



その看板ねずみにもなっている「フレデリック」。

絵本ではグレーですが、会場には赤や緑、ブルーや黄色など色とりどりのフレデリック人形(ストラップになっている)もおいてありまして、赤と緑の子が一目で気に入ってしまいました(600円)。



下にしいてあるのは、同じレオ・レオニの絵本より、うさぎが散りばめられたタオル(700円)。

先にうちにきていたユーリ・ノルシュテインの『霧の中のはりねずみ』はりねずみととも仲良し。


(よかったら、こちらの写真も見てね)

マグカップや布製トートバッグも非常に素敵でものすごく迷ったのですが、ちょっと高めの値段設定(ともに1800円)なので、今回は自粛しました。

そのほか、ポストカードや付箋、レターセットといった定番グッズはもちろんのこと、スタンプやコンパクトミラー、iPhoneケース、タオル、Tシャツ、くつ下、定規、お菓子類、ポスター、トランプなど、会場オリジナルグッズに加えてそれ以外の商品も多く、かなり広いスペースがあてられています。

年齢にかかわらず、かなり迷うこと必至です。展覧会を見る時間に加えて、ミュージアムショップで悩む時間も念頭に入れてスケジュールをたてることをお薦めします(もちろん予算も!)。

ここで、「レオ・レオニ」展について少し。

すでに京都で開催され、先週末から渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていますがしょっぱなからミュージアムグッズ売り場が大混雑といううわさも飛び交い、予定を繰り上げて早めに行ってまいりました。わたしが行ったのは金曜の夜でしたが、まあまあの人出で、まだそれほど混雑はしてませんでした。

「レオ・レオニ(Leo Lionni)」(この名前からしてすでにポエティック)という名前にピンとこなくても、『スイミー』を描いた(書いた)人といえばおわかりでしょうか。

小学校低学年の国語教科書でもおなじみの『スイミー』

海の中の世界を描いたあの淡くも豊かな色彩と、一丸となった小魚たちのダイナミックな表現に目を奪われたのを昨日のことのように覚えています(実際には何十年も前ですけど!)。

個人的にはそれ以外の作品についてはそれほど思いいれはなく、「ねずみがかわいいな」というくらいの印象しかありませんでした。

ですので、会場で現物を目の前にして、原画の質の高さに圧倒されてしました。

なんといっても、コラージュの作品がすばらしい。

行くまでは、「フレデリック」をはじめとする、ねずみが活躍する一連の絵本シリーズがコラージュによるものだということにすら気づいておらず、絵の具かなにかで描いたものだと思っていたのです(お恥ずかしながら)。

しかし実際には多くの作品が色紙や日本の千代紙、作者が色を塗ったり加工したりした紙など、材質も、色も異なる素材を貼ってつくったコラージュ作品。

色や形のすばらしさはもちろん、個々の素材の質感も、はさみの切り口も、何もかもが美しく、うっとりします。

ねずみたちが運ぶ小麦からはらりとこぼれる麦の穂のような、さりげない表現が絶妙な(『フレデリック』)、

黒い背景に透明感のある色とりどりの紙を重ねることで、闇に浮かぶ満月の光の豊かさを表現した(『アレクサンダとぜんまいねずみ』)、

「色」をテーマにしているだけに、色使いとグラデーションが美しすぎる『じぶんだけのいろ』

王様に成り上がったシオドアの得意満面な表情がほほえましい(『シオドアとものいうきのこ』

さまざまな鳥たちのフォルムに造詣のセンスが遺憾なく発揮された『ひとあしひとあし』など、

どの絵本もどの一場面も、完成度の高さに驚かされます。

ただ、コラージュ作品の醍醐味である質感も、水彩や油彩の作品に見られる微妙な色調も、印刷ではなかなか表現しきれないようなので、それだけに今回、現物を実際にご覧になることを強くおすすめする次第です。

これまでレオ・レオニの絵本にあまりぴんときていなかった方でも、現物をご覧になると見方が変わるかもしれません(わたしがそうでした)。

若いころ、未来派の旗手マリネッティに認められ、その後グラフィックデザイナーとして不動の地位を築いてきたレオ・レオニならではの卓抜したデザインセンスがいたるところに輝いています(光るどころのだんではない)。

「大人も楽しめる絵本展」というキャッチコピーの通り、子どもも大人も文句なく楽しめます。

会場には、国内外で出版されているレオ・レオニの絵本もいたるところに置かれていて、座って読むことができます。

壁一面が海の世界の『スイミー』映像作品もあります。

ぜひ、たっぷりと時間をとってレオ・レオニの世界にひたってみてください。
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本日のおいしいもの 夏の無事を願っていただく「水無月」@たねや

2013-06-29 | おいしいもの
季節の行事などにあわせて、魅力的な限定商品を次々と出す「たねや」さん。

6月30日の夏越大祓(なごしのおおはらえ)にちなんだお菓子、「水無月」

葛でできたういろうに、厄除けの小豆がいっぱい載せてあります。


(商品写真については、「たねや」のHPのほうがはるかにうまく撮れてます)

甘すぎないういろうが口当たりよく、いくらでも食べられそうです。

いつもながら、パッケージもおしゃれ。



説明書には「ふたつに切り分けた一方を無事に過ごせた半年に、もう片方を迎える半年に見立て、平穏であるように願いをこめ」ていただくのだそうです。



本日と明日、2日間限定。また来年にならないと食べられないのがおしいくらい、おいしいです。

「茅の輪」をくぐり、「水無月」をいただいて、この夏も健やかに過ごしましょう。

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本日のミュージアムグッズ17 小皿@「古染付と祥瑞」展・出光美術館

2013-06-26 | ミュージアムグッズ
出光美術館で開催中の「古染付と祥瑞」展(レビューはコチラ)のミュージアムショップで売られている小皿。

5、6種類あります。





1枚、250円。

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ゆるくてかわいい「古染付と祥瑞」展@出光美術館

2013-06-26 | 展覧会
現在、出光美術館で開催中の「古染付と祥瑞」展にでている兎。



これを目当てに、大雨のなか、出光美術館に行ってきました。


(「祥瑞兎文輪花皿」明時代末期 景徳鎮窯)


展覧会HPでも

「日本人の好みを反映した中国陶磁を特集します」

と銘打ち、「日本人の好みに添う、あるいは日本からの注文によって作られたと考えざるを得ない、日本人の心にかなったやきものの機微や面白味をお楽しみください」とあるので、「日本人好み」ってどんなだろう、と楽しみに行って見ました。

「祥瑞(「しょんずい」と読むらしい)」というのは、明時代末期の景徳鎮(けいとくちん)で作られた磁器のうち、「崇禎時代(1628~44年)」に作られたものについて、日本人がつけた呼称とのことで、今回展示されている“古染付(こそめつけ)”(天啓時代:1621~27年)と並んで、中国製ながら「日本的な」意匠が特徴だそうです。


「古染付」では、詩人を背中に乗せたゆるい感じのロバとか(「古染付詩文手鉢」)

目がよっちゃった感じの羅漢が脱力系な「古染付羅漢文皿」とか、

真ん中にでかでかと「善」という文字が書かれ、そのまわりに「南無阿弥陀仏」と書かれた単刀直入なお皿(「古染付名号輪花鉢」)とか、

昔読んだ『シナの五人兄弟』という絵本にでてきそうなひしゃげたお城がかわいい「古染付月下城郭文皿」とか、

チラシやHPにはでていないけれど「かわいい」心をくすぐる図柄がいっぱいあります。

「古染付漁網文鉢」も、器を網にみたてて底に魚や海老がかかっている様子が描かれていて、とても遊び心あふれてます。

そして石洞美術館より特別出品の変わった形のお皿がたくさんありまして、これがまた兎や羊、魚などの動物やたけのこ、琵琶といったものをかたどった、とてもおもしろき品々なのですが、チラシにはもちろん、図録にも写真は載っていなかったようで、絵がはきも売られていないので、ぜひ現物をご覧になってください(石洞美術館HPに一部写真掲載があります)。


だいたい5つ以上のセットが揃っているのですが、たとえば兎セットでも一匹、一匹表情が微妙に違っていて、妙に色っぽいのや意地悪そうなのもあったりして、ユニークです。

「祥瑞」のほうは、ご紹介した兎のお皿以外にもいろいろありますが、全体的にこれでもか、これでもか、と柄を埋めたものが多くて、目がちかちかします。よくまあ、これだけいろいろ描いたなという感じですが、「古染付」のように余白を活かしたほうがむしろ、日本人好みではないか、とも思ったりします。

それから展覧会のおまけなのかなんのかよくわからないのですが、屏風がいくつか展示されておりまして、なかでも「藤棚図屏風」(長谷川派、桃山時代)というのがすばらしく気に入りました。

金地に白い藤というのが、びっくりするくらいゴージャス。

ライティングが絶妙なこともあり、金の背景から白い藤がぼんやり浮かび上がるように見え、幻想的です。

というわけで、大雨のなか見に行ったかいがあった「古染付と祥瑞」展。

6月30日(日)までなので、ぜひお見逃しなく。

いつもは17時までですが、明日、金曜日は19時までやっているそうです。

※追記:「古染付」については、7月15日まで根津美術館で開催中の「やきものが好き、浮世絵も好き」展(なんとも言えないタイトル)にもゆるかわな作品が展示されているようです。これもまた、近いうちに行かねば!

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変化朝顔も順調に育っています

2013-06-24 | 朝顔
江戸東京博物館で7月30日より開催される「花開く江戸の園芸」展。

前売り券を購入し、変化朝顔2種類の種をいただきました(そのときの模様はコチラ)。

2013年6月2日に種をまき、約20日たった現在、順調に育っています。

茶覆輪の「獅子咲牡丹」と紫吹雪の「糸柳葉采咲」の2種類の種をまいたのですが、「変化朝顔」というだけあって葉っぱの形も「変化に富んで」います。

「糸柳葉采咲」の本葉は、細長く裂けたような葉っぱです。





「獅子咲牡丹」はもうすこし丸っこくて、内側にまるまっています。



大輪朝顔の本葉と比べると、かなり違うことがわかります。




奇をてらった花を求め、江戸の人々が熱狂したという変化朝顔。

変化朝顔はどんな花が咲くかは咲いてみないとわからないところがあるようなので、楽しみです。

小学生が育てる朝顔よりは少し手がかかりますが、江戸の風流を感じられる特別な花ですので、大事に育てたいと思います。

《おすすめの本》
『浮世絵でめぐる江戸の花 見て楽しむ園芸文化』日野原 健司、平野 恵 著、誠文堂新光社、2013年4月刊行、239ページ、税込2625円

大輪朝顔を育てるには必携の書、『朝顔百科』を刊行した誠文堂新光社が今年刊行した、意欲作。江戸の園芸文化を浮世絵から紐解きます。かなりぶ厚く、マニアックな本ですが江戸の文化を知る上で「園芸」は欠かせないトピックなので参考になります。



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おすすめの鎌倉土産 期間限定「あじさいロール」@atelier VANILLE

2013-06-23 | おいしいもの
ロールケーキで有名な、atelier VANILLE(アトリエ・ヴァニラ)の季節限定ロールケーキ、ただいまは「あじさいロール」。



紫いもを使った紫色のロールケーキで、鎌倉名物のあじさいをイメージしています。

紫色のクリームのまわりにうっすらとオレンジ色のクリームがかぶさっていて、見た目もほんとにきれいです。

atelier VANILLEのロールケーキは、生クリームはほとんど使わず、もっちりしたスポンジとしっとりしたバタークリームが特徴。

かなりどっしりとして、食べ応えがあります。

ロールケーキというとふんわりスポンジと生クリームで勝負というお店が多いなか、個人的には生クリームがあまり得意でないので、VANILLEのロールケーキは希少価値があります。

通年で販売しているカラメルや抹茶もいいですが、季節限定もの(春はさくら、秋はパンプキンなど)のどっしりしたロールにマスカルポーネを添えて食べるのがお気に入り。



生クリームを使っていなため、常温での持ち歩きが可能ですのでお土産にもぴったり(未開封であれば、涼しい常温で1週間くらいもつようです)。

ただ、この季節なので長い時間持ち歩きする場合は、お店の方に確認したほうがよいかと思います。

鎌倉駅西口より、若宮王子を八幡宮に向かって歩いて10分ほど、右手にあります。

商品があるうちは、お店のガラス窓に「あじさいロール」と大きく書いてあると思います。

もうひとつ、同じ時期の限定マカロン、「あじさいマカロン」もおすすめです。こちらはまた今度ご紹介します(と思っていたのだが、あっという間にあじさいの季節が終わってしまいました。また来年……)。

あじさいの季節限定の商品なので、どうしてもほしいという場合は行く前に電話で確認してくださいね。

火曜日と第3水曜日がお休みです。
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歌麿に存在感あり「浮世絵 Floating World 第1期 浮世絵の黄金期」@三菱一号館美術館

2013-06-23 | 展覧会
ヨーロッパ近代絵画を中心に、すぐれた企画展を開催してきた三菱一号館美術館が今回とりあげるのは、なんと「浮世絵」。

「浮世絵 Floating World 珠玉の斎藤コレクション 」展



展覧会の開催概要については「展覧会が待ち遠しい 2」としてとりあげましたが、今回の展覧会は、3期にわかれて展示がえがあるので、うかうかしていると見逃してしまいそう、ということで早速、行ってきました。



第1期「浮世絵の黄金期 江戸のグラビア」(6月22日~7月15日)では、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった大御所の名作が見られますので、浮世絵はもちろん、展覧会にはあまり足を運んだことがないという方にもおすすめの展示内容です。

菱川師宣から渓斎英泉や歌川国芳にいたるまでずらりと並んだラインナップのなかで、個人的に一番気になったのは歌麿でした。

とくに「青楼十二時」が12枚揃ってずらりと並べられているのが圧巻。

「青楼十二時」は、吉原の遊女の24時間を2時間ごと12刻にわけて描いた作品で、そのときどきの刻限の遊女たちの風俗や表情が見事に描き分けられています(東京国立博物館のHPで、画像をてっとり早く確認できます)。

丑の刻(夜中の2時くらい)、灯火をもってうつむき加減に歩く遊女のはかないようなしどけない姿。

卯の刻(朝の6時くらい)、帰途に着く客の羽織(裏に達磨が描かれていて、かなりの上客と見た)を差し出す遊女は健気に微笑んでいますが、どことなくいたいたしいようでもあります。

そして辰の刻(朝の8時くらい)、お客さんも帰ってようやく羽をのばして「さあ、寝るぞ!」とはしゃいだ雰囲気の二人の遊女の開放感あふれる笑顔が印象的。あ~、この子たち、まだ本当に若いんだ、女の子なんだ、と実感します。

「青楼十二時」が並ぶ部屋は、壁が真紅の布でおおわれていて、とてもゴージャスかつ艶っぽい。吉原の雰囲気を連想させます。

ちなみに、「青楼十二時」は以前三菱一号館美術館で開催された「ロートレック」展でも、何回かにわけて展示されていたのでした。

といいますのも、ロートレックがリトグラフ集《彼女たち》(1896年)を制作する上で、歌麿の「青楼十二時」に影響を受けたと考えられるからだそうです。

今回の展覧会でも、展示されている浮世絵のテーマに沿って19世紀末の「ジャポニスム」版画が同じ空間に展示されています。

たとえば、役者絵が展示されている部屋には、ロートレックが描いたシャンソン歌手ブリュアンのポスター2点がどーんと展示されているといった具合です。

これらの作品に浮世絵が与えた影響はよく指摘されはするものの、いざ同じ空間に並べられることはあまりないので、興味深い、三菱一号館ならではの趣向です。

そのほか、春信が描いた、一見さわやかなのに実はかなりいけない「菊見の男女」や清長が見てきたように生き生きと湯を使う女性たちを描く「女湯」など、浮世絵としても、当時の風俗を知るうえでも見ごたえのある作品が目白押しです。

第1期のあとに続くのは、「第2期 7月17日(水)~8月11日(日):北斎・広重の登場~ツーリズムの発展」

「第3期 8月13日(火)~9月8日(月):うつりゆく江戸から東京~ジャーナリスティック、ノスタルジックな視点」

北斎、広重を「旅」という視点からとりあげる第2期はもちろん、独特の抒情性豊かな小林清親や井上安治らの作品が展示される第3部も楽しみです。

各会期は1か月足らずであっという間に終わってしまいますので、スケジュールを組んでお見逃しなきよう。



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終了まであとわずか。見逃せない「北斎と暁斎-奇想の漫画」展@太田記念美術館

2013-06-19 | 展覧会
以前、チラシをご紹介したまま、なかなか行けなかった太田記念美術館の「北斎と暁斎-奇想の漫画」展



残すところあと数日となってしまったので、なんとか時間を見つけて行ってきました。

ともに『漫画』と題する絵本を描いた北斎と暁斎の二人を取り上げ、

「するどい観察眼に基づく超絶技巧の描写力や、現代のマンガへつながるようなユーモアとパワーに溢れた奇抜な発想力を紹介」するというこの企画展。

「線が命」の絵本だからこそ味わえる、北斎と暁斎の驚くべき画力を堪能できます。

暁斎の描く踊る骸骨や擬人化された動物たちは、まるで生きているかのように躍動感にあふれています。実際にはこんな風に踊る骸骨の姿など、誰もみたことはないはずなのに!

人間の動きを熟知している絵師だからこそ、本来は見えないはずの骸骨の動きをイメージし、描ききることができるのでしょう。

観察眼が鋭いと同時に、イメージ力にもあふれ、しかもそれらを描きだすだけの画力にも長けている。この三拍子がそろってこそ、こうした作品は生まれるのでしょう。

絵本も秀逸ですが、展示室に入ってすぐに展示されている肉筆画もなかなか見ごたえがあります。

北斎の『羅漢図』、暁斎の『達磨耳かきの図』など思わず見入ってしまいます。展示ケースのすぐ近くまで寄って、座り込んでみることができるのが魅力的。靴を脱いであがる会場ならでは、です。

会期は6月26日(水)まで。北斎と暁斎の二人を並べて、しかもこれだけまとめて絵本を展示する機会はあまりないと思われます。ぜひ、お見逃しなく。

そして、太田記念美術館、次回は「江戸の美男子-若衆・二枚目・伊達男」



作品数が限られていて謎の多い歌舞伎堂艶鏡をポスターにもってくるところが攻めてます。



そして10月には、「待ってました」国芳の戯画!



なんですか、これは。とうもろこしの「毛振り」?



踊るタコ。



楽しみです。

《おすすめの本》



『もっと知りたい河鍋暁斎』狩野博幸著、本体1,800円、2013年04月、B5判、96頁
幕末から明治にかけて活躍した狩野派の奇才の、驚異的な画技と豊かなイマジネーションを、比較的知られる戯画、幽霊・妖怪画はもとより、美人画、風景画、武者絵、動物画など暁斎の多彩な才能をあますところなく紹介。近年とくに注目される肉筆画もたっぷりお見せします。



『もっと知りたい葛飾北斎』永田生慈 監修 本体1,500円、2005年08月、B5判、80頁
あふれる才能に加えて努力も怠らず、ひたすら制作に励み、常に新境地に挑戦しつづけた希有な画家、北斎。彼は万物を唯一の師と仰ぎ、さまざまな表現を消化し、森羅万象を徹底的に写し取ろうとした。絵のこと以外は頓着しないユーモラスな素顔や、人間関係など、エピソードもふんだんに盛り込み、天才の90年の生涯に大接近する。可憐な美人から妖艶な美人、臨場感あふれる物語画や鬼気迫る宗教画から抒情性にあふれた市井の風俗画まで、たぐいまれなデッサン力、斬新な発想、ユニークな支店にウイットを加えて描き分けた北斎の魅力を堪能できる。
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展覧会が待ち遠しい!2 「浮世絵 Floating World」展@三菱一号館美術館

2013-06-18 | 展覧会
三菱一号館美術館といえば、2010年開館時の「マネとモダン・パリ」展を皮切りに、トゥールーズ=ロートレック、ルドン、シャルダン、カンディンスキーといった通好みのヨーロッパ近代絵画をとりあげる一方で、ジャポニスムのうつわや「型紙」といったすぐれたデザイン性に着目した展覧会など、質の高い企画展で楽しませてくれる美術館として存在感を示しています。

三菱一号館美術館=西洋美術というイメージも定着しつつあるいま、次回の展覧会テーマとしてとりあげるのが、「浮世絵」です。

「浮世絵 Floating World-珠玉の斎藤コレクション-」展



会期: 2013年6月22日(土)~9月8日(日)
主催: 三菱一号館美術館
特別協力: 川崎・砂子の里資料館

2010年に開館した三菱一号館美術館は、これまで明治期に設計された建物の特性を活かし、近代市民社会の成立した19世紀の西洋近代美術中心の展覧会を開催してきました。今回は少々趣向を変え、「浮世絵」展を開催致します。「はかない世の中であるならば、せめて浮かれて暮らしたい」という江戸の人々の気分を反映した浮世絵。現実とも享楽の世界とも思える“Floating World”を鮮やかに描いた浮世絵は、好奇心のまま最先端の風俗や事象を捉え、江戸の人々に留まらず、19世紀には欧米の人々を魅了し、さらに現代の私たちの心をも浮き立たせる華やかな光景に溢れています。

本展は、江戸から明治までの、浮世絵の誕生から爛熟に至る全貌を、3期に分けてご紹介します。川崎・砂子の里資料館長斎藤文夫氏の膨大な浮世絵コレクションから選りすぐりの名品を展示するとともに、浮世絵の影響を受けたロートレック他の当館所蔵ヨーロッパ近代版画を対比させ、時代や地域を越えた浮世絵の普遍的な魅力に迫ります。

江戸時代、江戸城内濠と外濠の間に位置し、「大名小路」と呼ばれた主要大名の上屋敷が建ち連なった丸の内において、是非「浮世」の世界にタイムトリップして下さい(展覧会HPの開催概要より)。



会期中の三か月足らずの間に、3つのテーマで展示がえがあります。

第1期 6月22日~7月15日(月):浮世絵の黄金期~江戸のグラビア
〈主な作品〉
 初代歌川豊国《初代市川男女蔵の曽我五郎》
 東洲斎写楽《二代目市川門之助の伊達与作》
 喜多川歌麿《柿もぎ》
 勝川春章《東扇 初代中村富十郎の娘道成寺
 喜多川歌麿《青楼十二時 続 丑の刻》
 鈴木春信《風流やつし七小町 草紙あらひ》など

第2期 7月17日(水)~8月11日(日):北斎・広重の登場~ツーリズムの発展
〈主な作品〉
 葛飾北斎《冨嶽三十六景》
 初代歌川広重《東海道五拾三次》
 歌川国芳《縞揃女弁慶 安宅の松》
 初代歌川広重《月に雁》など

第3期 8月13日(火)~9月8日(月) :うつりゆく江戸から東京~ジャーナリスティック、ノスタルジックな視点
〈主な作品〉
 小林清親《海運橋 第一銀行雪中》
 初代歌川広重《名所江戸百景》
 楊洲周延《真美人 十四
 歌川国芳《東都三ッ股の図》など



「世界的に希少な作品を含み、浮世絵の発生期から幕末、明治期以降の版画にいたる幅広いコレクションを形成している」という斎藤文夫氏のコレクションのなかから、選りすぐりの600点を3つのテーマにわけて展示するという今回の展覧会。

「江戸のグラビア」(うん、たしかに、歌麿が描いたおねーさんたちはグラドルだ!)、
「ツーリズム」(旅が楽しみにもなった時代)、
「ジャーナリズムとノスタルジア」(事件や風俗を題材にしたり、東京から江戸を懐古したり)
と、どのテーマもなるほどとうなずけます。

どのテーマもおもしろそうで、どの会期にも見逃せない秀作がでていそうなので、1つには絞れそうもありません。

後で見ればいいや、と思っているとあっという間に展示がえになってしまいそうなので、要注意です。

とりあえず、第1期「江戸のグラビア」と題して、春信や歌麿や写楽の傑作が見られるのが今週末、6月22日(土)。

楽しみにしていましょう!

展覧会HPでは、「Floating World」っぽく、うちわがぷかぷか浮いていておもしろいです。
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異色のマレーヴィチ・マトリョーシカがおすすめ@鎌倉・コケーシカ

2013-06-16 | 日記
鎌倉駅から鎌倉文学館に行く途中、今や鎌倉名物(?)のひとつともなった「伝統こけしとマトリョーシカの専門店 コケーシカ」があります。


(入り口のディスプレイ。上の段は100%オレンジのオリジナルグッズ「リトル・ブッダ」シリーズ←鎌倉の大仏様をモチーフにしている)

すでにご紹介していますが(コチラ)、鎌倉駅から徒歩15分ほどということもあり、のんびりお散歩するにはかっこうの裏道ということもあり、文学館や長谷に行く途中に必ず立ち寄ることにしています。

オープンしてまもなくは、土日でもお客さんはあまりいない、ということもあったのですが、ここ1年くらいはいつ来ても必ず何人かお客さんが入っているという人気ぶり。

「コケーシカ」を目当てに鎌倉にいらっしゃる方も少なくないようです。

お店に並んでいるこけしやマトリョーシカは、そのときそのときの仕入れによって異なりますが、いつ行っても壁にずらりと並んだ様子は圧巻です。


(こけしの棚)

うわさの「こけしのガチャガチャ」もありました。


(左の赤いボックスが「こけしのガチャガチャ」)

今回気になったのは、このこけしさんたち。



そして、マトリョーシカの棚はこんな感じ。


(マトリョーシカの棚)

眺めていると、やや、めずらしいマトリョーシカを見つけました。



わかりますか?

ロシア・アヴァンギャルドを代表するカジミール・マレーヴィチの作品をアレンジした、「マレーヴィチ・マト」です。





わかる人にはわかる! これぞマレーヴィチ!

良くぞやってくれました!!!

マレーヴィチの作品は、こんな感じ。


(『 マレーヴィチ (現代美術の巨匠) 』セルジュ・フォーシュロー著、佐和 瑛子訳、美術出版社、1995年の表紙)


(カジミール・マレーヴィチ《農婦、スーパーナチュラリズム》1920年代初頭、モスクワ市近代美術館所蔵 ©texts, photos, The Moscow museum of modern art, Moscow, 2008)

マレーヴィチの作品は、2008年にBunkamuraザ・ミュージアムなどで開催された「青春のロシア・アヴァンギャルド展」でも来日していたので、ご記憶の方もいらっしゃいますでしょうか。

もともとは、「シュプレマティスム」を掲げ、カンバスに黒い正方形だけを描いたり、白く塗ったカンバスの上に白い正方形を描くというような究極の抽象性を追究した作品を生み、ロシア・アヴァンギャルドを代表する芸術家として活躍しましたが、スターリン台頭後のソ連において「前衛芸術」が否定されるようになり、方向転換を余儀なくされます。

そうして描いたのが、農民たちの姿を幾何学的に描いた作品群。

今回のマトは、作家さんがマレーヴィチのキュビズム的な作品にインスピレーションを受け、独自にデザインした意欲作です。

ものすごく気に入ったのですが、ちょっと手が届かなかった!(でも、決して高すぎることはないです。単にわたしがミュージアムグッズ貧乏なだけです)

どなたか、気に入った方はぜひお買い求めください~。お勧めです!

カフェなど、お店のディスプレイにしても、とってもおしゃれだと思います。

というわけで、このような異色マトも扱っている素敵なお店「コケーシカ」。

「コケーシカ」のTwitterでは随時、新規入荷商品などが紹介されており、こちらもとても楽しいです。

営業日は金・土・日・月・祝日ですが、念のため、事前にHPやTwitterなどで確認して行かれるとよいかと思います。

「コケーシカ」のまん前は「吉屋信子記念館」。


(吉屋信子記念館の入り口。このときは閉まっています)

鎌倉文学館までは徒歩3分ほどで、周囲には古い建物も残っており、鎌倉でもとびきりおすすめのスポットです。




(鎌倉市長谷子ども会館 旧諸戸邸)



ぜひ、遊びに行ってみてください。


おまけ:
どうしてもほしくて、自分でマレーヴィチ・マトにチャレンジしてみました。



上のほうで紹介した農夫のおじさんと、この作品をアレンジしてるつもり。


(マレーヴィチ《少女のための仕事着》1912年 ※“MALEVITCH”JEAN-CLAUDE MARCADE著、Casterman刊、1990年より引用)

「とほほ」なできばえですが、人生初のマトリョーシカ絵付けで、おまけに手持ちのリキテックスが白と赤と青と紫しかないという状況での試作品なのでお許しを!

マトリョーシカ絵付け工房☆イワン・ダ・マリヤを開いている友人から、あきれられちゃうかも……。

でも、マトの絵付け、ちょっとはまりそうなので、もう少し練習してうまくなったらまたマレーヴィチ・マトに挑戦してみたいです(←懲りてない)。










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