ざっきばやしはなあるき  

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法隆寺 祈りとかたち

2014-05-20 19:33:52 | 美術[は]
「法隆寺 祈りとかたち」@東京藝術大学大学美術館

 東京では20年ぶりになるという法隆寺の名宝を集めた展覧会、金堂の吉祥天立像&毘沙門天立像は120cmくらいで、保存状態が良いので欠損もなく指先までしなやか、衣服には赤っぽい色が残っている。かわいい聖徳太子の二歳像は、つんつる頭に上半身裸で、赤い袴を付けている。見た途端、アブドラ・ザ・ブッチャーを思いだした。1949年に焼失した金堂の消失前の壁画模写もある。

 展覧会の外にも見逃せない展示がある。美術館入口の正面にある陳列館で「別品の祈り」という無料展示も開催中。こちらでも金堂の壁画模写が全面原寸大で、ハイテク超高精細で展示されている。陳列館2階の四面が壁画だらけ。ザラザラ感がすごくリアルで面白い。
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佐伯祐三とパリ、ポスターのある街角

2014-05-10 23:49:30 | 美術[さ]
「佐伯祐三とパリ、ポスターのある街角」@静岡県立美術館


 佐伯祐三の作品58点、その周辺の画家18点、パリの広告29点、その他資料を展示している。佐伯祐三58点は「没後80年展」以来の大量投入。今回はその全てが、大阪新美術館建設準備室の所蔵品。

 初めて見た「蟹」が美味しそう。しかしこのカニは活きが悪いからと捨てられたものをごみ箱から拾い出して描いたものだとか。絵にした途端に活きが良くなってしまったのかに。

 《モランの寺》の絵も5種類並べて展示してある。他には《汽船》、《立てる自画像》、《街角の広告》、《レストラン》、《靴屋》、《郵便配達夫》など、佐伯祐三の名品が揃っている。

 元々、大阪新美術館の構想は佐伯作品の寄贈が契機になったということで、今は日本最大の佐伯コレクションを所蔵しているのだそうだ。新しい美術館は中之島の国立国際美術館のすぐ横あたりに作られるらしいが、いつできるのかはわからない。準備室だけで終わっちゃったりして。
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歌麿 《深川の雪》

2014-05-05 18:06:10 | 美術[は]
「再発見 歌麿 《深川の雪》」@岡田美術館


 喜多川歌麿の巨大な肉筆浮世絵を展示。昭和23年に銀座松坂屋で展示されて以来、66年ぶりの展示となるという不思議な歴史を持った浮世絵だそうで、こんなにでかいものがどこにあるのかわからないというのも珍しい。岡本太郎の《明日の神話》も30年以上行方不明だったのだからしかたないか。地球は広いんだなぁ。

 きれいに修復された大きな画面(198.8cm×341.1cm)には27人が各々好き勝手に何かしている様子が描かれている。廊下や階層が入り組んでいて、構造が迷路みたいでなんだか判りづらいが、その分、ワンダーランドな雰囲気が漂っている。左上に深川独特の「通い夜具」という布団を背負った女性がいることで、これが深川を描いた絵であることがわかるのだそうだ。謎かけみたいだ。タイトルも無いし歌麿の署名も無い。

 これは「雪月花三部作」と呼ばれているもので、他の二部はアメリカの美術館にある。三部作なのにどれもサイズが違うし、描き方も違う。ホントに三部作なのか。《品川の月》は一点透視で帆掛け舟の浮かぶ見晴らしの良い海の向こうに、ほんのりと月が顔を出していて良い雰囲気。《吉原の花》は桜や提灯でにぎやかな遊郭に50人近い人物が描かれてまことににぎやか。《品川の月》と《吉原の花》は参考写真が展示されている。

 岡田美術館に来たのは2度目だが、今回は春画の小部屋までできていた。特別展示の期間だけなのかどうかは知らないが、北斎などのエロ春画が10枚ほど並んでいる。渓斎英泉の《十二ヶ月風俗画帳》がお気に入り、といってもページをめくることはできないぜ。
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