序 Introduction
台湾風俗誌は正しく台湾の社会の側面史である。
1000ページに余る大部に亙りて実は通閲する暇もないが、ただ大体を瞥見しただけで片岡君の労を多とすると同時に台湾に関する種々の力作も少なくないが同人の著述として恰好な如何にも気の利いた然も他の企及し能はざる特色を持っているという感じがする。
台湾の社会状態、台湾人の民族心理を知るべき好個の著述である有益にしてしかも肩の凝らない消夏の読み物としても猶推称するにはばからぬ。
今や台湾は、日本内地が維新以来日に月にその様子を更めつゝある以上に
急激なる変化を為しつゝある。此の風俗誌は総督府編纂の台湾奮慣に関す
る書册が楷書とすれば草書として台湾の昔の思い出草となりていついつ迄
もこよなき記念として遺すことであろう。
大正九年十月
台北鳥松閣に於いて
下村 宏
(台湾総督府総務長官)
台湾風俗誌は正しく台湾の社会の側面史である。
1000ページに余る大部に亙りて実は通閲する暇もないが、ただ大体を瞥見しただけで片岡君の労を多とすると同時に台湾に関する種々の力作も少なくないが同人の著述として恰好な如何にも気の利いた然も他の企及し能はざる特色を持っているという感じがする。
台湾の社会状態、台湾人の民族心理を知るべき好個の著述である有益にしてしかも肩の凝らない消夏の読み物としても猶推称するにはばからぬ。
今や台湾は、日本内地が維新以来日に月にその様子を更めつゝある以上に
急激なる変化を為しつゝある。此の風俗誌は総督府編纂の台湾奮慣に関す
る書册が楷書とすれば草書として台湾の昔の思い出草となりていついつ迄
もこよなき記念として遺すことであろう。
大正九年十月
台北鳥松閣に於いて
下村 宏
(台湾総督府総務長官)
そうだったんですか。なんだかやっぱり文章がきれいですよね。