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日記。

第五節 臨産 childbirth

2009年09月14日 | 台湾風俗誌
第5節  臨産
臨産に至れば産婆(只産に経験の在る婆)及び近隣の婦女二三人産婦の両肩及び腰邊を扶翼し、産婆は仔が出つるのを待って手を以て之を接受し臍帯を断ちて布に包む、一面傍らの人産婦を介抱し床上を清め産婦を被(ポエ)・(布団)に靠(もた)らしむ、此の時四壁風の入るを防ぎ、力めて安静を保たしむ、産婦は逆上其の他眩暈に陥り易きを以て酢を焼き之を嗅がしむること一日数囘す、また未だ食物を取らざる幼児卽乳児の溺(いばり)に熱酒を混じて飲ましむ、之を精神を興奮せしめ血暈等に罹らしめざる為の予防なり、之を安胎薬(アヌタイイオ)と云ふ、又人参を用ふるものあり


第4節 臨月 the last month of pregnancy

2009年09月06日 | 台湾風俗誌
第4節 臨月
臨月に近づけば産婦の房中は介抱の婦人のみ出入りし他人の往来を避くるものとす、但し下流の婦人は旦に田野に出で、夕べに家に歸えるを常にするを以て以上の禁を守ることなし

本島婦人の子女を産するに二様あり、一は眠床(ビヌツン)に於いてし、一は床下に於いてす、中流以下は多く床下に於いてなすものなり、床上に於いてなす者は先ず床上に草蓙(ござ)を舗き更に破れたる衣褲を重ね上に油紙を布きてなす、床外(シャウグワイ)に於いてするものは床外に枯草又は藁を布き産褥となし傍らに「子桶キアタン」と稱する桶を置き臨産の時床より下り産褥に移りて産し汚物は此桶の内に收む
臨月に當り突然腹痛起り、いは止み、或は起り、―二日及至四五日にして胎水来り腹痛止まざるものあり、之を弄産(ラヌサウ)と云ふ、又臨産の一箇月前突然腹痛起りて未だ出産せず、之を試月(チイゴエ)と云ふ如此き時は土人は十三味(サプサアビイ)又は成化湯(シェンホアタン)と稱する安産の藥を用ふ