オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書) | |
岡田 斗司夫 FREEex | |
幻冬舎 |
他人の悩みを聴く、相談にのる、という行為の概念を根本から覆されました。
今までの人生、他人に相談されてアドバイスする場面は多々ありましたが、いかに自分が「本気で応える」ことをしてなかったのか、「手近な回答」を助言して自己満足に陥っていたのか、痛切に思い知らされた。
大げさでなくそれくらいの衝撃と感動を与えてくれる一冊でした。
まずは「相手と同じ温度の風呂に入る」こと。
悩みを抱えている人は、自分自身が本当は何に悩んでいるかが分からなくなっている。
相手に「共感」し、相手の「立場」に立ち、深く「潜行」して考えることで、相手の本当の悩みに到達する。
そして悩みを解決可能なものと不可能なもの、解決する必要が無いものに「仕分け」て、具体的で実現可能な解決方法に「フォーカス」する。
ここまでならたぶん真似できるし、これだけで「悩みを聴く」態度は著しく改善されるはず。
そして、凄いところは、そのアドバイスの伝え方。
絶妙な「アナロジー」を駆使し、「四分類」ですっと頭に入るような判りやすさを実現し、「メーター」「ピラミッド」により相談者の気持ちを軽くする。
このあたりは岡田さんの独自性が発揮されていて、なかなか真似できないなという感じですが参考にはしたい。
そして何より感動したのは、悩み相談は「相談→回答」ではなく「相談から始まる対話」であるという考え方。
相談に答えることで、相談主だけでなく、自分自身の「心のしこり」を溶かし楽になることができる、と。
そう、他人の相談に感謝されるような回答ができるのであれば、自分自身の悩みにもうまく向き合うことができるんですよね。
岡田さんが悩み相談を「天職」と言い切るのがとてもよく分かる。
バイブルに出遭った気分です。