昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

松下電器産業(National)「EA-450」

2006-05-06 | ナショナル 真空管ラジオ

              

 ナショナルの真空管ラジオは、誰もが受け入れやすいオーソドックスなデザインと個性的なデザインのラジオとが混在する。
機能的に差異のないmT管5球スーパーでは、各メーカーがキャビネット、スピーカーグリル、周波数表示パネルの形状とカラーリングといったデザインに工夫を凝らし、消費者に訴求している点が面白い。とりわけ円形周波数表示パネルを持つ機種はコレクターの間で人気がある。

 EA-450は、昭和33年(1958年)頃に製造された、円形周波数表示パネルを採用したmT管トランスレス式ラジオである。
フロントの右2/3を占める周波数表示透明パネルには黒い円形がシルク印刷されており、その上側半分が黒文字でMW(中波)、下側半分は金文字でSW(短波)の受信周波数を示す。フロント左に位置する濃紺の正方形スピーカー・グリルは、対角線を結ぶカタチで四角推状に凹んでおり、なかなか芸が細かい。
淡い水色のボディ(キャビネット)に、これらのパーツがバランスよくレイアウトされており、レトロというより現代でも十分通用しそうなモダンなデザインである。

 キャビネット右側面のMW/SWのバンド切替えツマミに連動し、パイロットランプの表示窓を片方だけ塞いで表示する仕組みになっている。トランスレス機はパイロットランプが1個しか点灯できないため、このような工夫を凝らしたのだと思われる。50年前のラジオにも見られる、こうした僅かな創意工夫の積み重ねが、今日の技術立国・ニッポンを支えているのであろう。

              

 メーカー:松下電器産業(NATIONAL)『EA-450』

 サイズ : 高さ(約14cm)×幅(約33cm)×奥行き(約14cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)
          35C5(電力増幅)、35W4(整流)

 電気的出力 : 最大1.5W  電源 : 50~60c/s 100V  消費電力 : 23VA

 いつものように外観の目視点検を行なう。キャビネットのボディーは、もともと淡い水色だったようだが、全体的に黄ばんでおり、キャビネットの天板横方向に深いスクラッチ痕、アルミ多孔板を使ったスピーカ・グリルと透明の周波数表示パネルにも汚れ・擦り傷が目立つ。
 
              

 まずキャビネットから松下製お得意の垂直取付型シャーシー、スピーカーを取り外す。
垂直取付型シャーシーの表には、キャビネットの透明パネルに挟み込まれてバックパネルの役割をする金属パネルがあり、周波数表示ダイヤル指針用プラスチック製プーリーやバンド切替え表示窓が取り付けられている。
ダイヤル指針用プラスチック製プーリーを外し、その金属パネルを取外すとようやくシャーシー裏側の各種コンデンサー、抵抗の配線が見える仕組みである。
 オークションのコメントでは「動作品」ということであったが、いつものように焦げた部品、膨れたコンデンサーはないか、PL配線の被覆等チェック後、電源プラグを挿して電源を入れてみた。パイロットランプが灯り、5球スーパー独特の雑音が聞こえてくる。選局ダイヤルを回すと、地元の民放中継局とNHK中継局(共に1kW)、さらに隣接県の民放局が入感し、ひと安心♪ 当地では、昼間に隣接県の民放中継局(1kW)が入感するか否かを、感度の良し悪しの目安としている。
 出力管の結合コンデンサー、AVC回路のコンデンサーは最低限交換しなければいけないが、今回、内部は現状のまま保管し、後日、安全のためにコンデンサーと抵抗を交換することにした。

              

 オークションでは「完動品」「動作品」「よく聞こえます」というコメントであっても、40~50年前のラジオ故に「どの程度の動作をするのか」という点が出品者の環境あるいは主観により、落札者と温度差が生じることがある。
例えば東京、名古屋、大阪、福岡といった大都市のように50~100kW級のラジオ局が数局あると、ラジオ本体の感度や性能が落ちていても十分受信できるため、出品者の方は悪気は無くとも「完動品」「よく聞こえる」と自己評価しがちである。
また輸送中に配線がショートしたり、真空管がソケットから抜け落ちるといったアクシデントもあるようだ。

 いずれにしても40~50年前のラジオは聞こえなくて当たり前!、コンデンサーが爆発したり、抵抗から火を吹かなければラッキー♪くらいの感覚で入札したほうがヨロシイようです・・・・でなくっちゃ、修復&レストアの楽しみも半減しますしね。

 ちなみに黄ばんで汚れた擦り傷だらけのキャビネットと透明周波数表示パネル、アルミ多孔板スピーカ・グリルを洗浄し、コンパウンドを使って丹念に磨くと新品同様の輝きをとり戻したが、キャビネットの経年変化による黄ばみだけは完全に取れなかったため、後日あらためて#2000の耐水ペーパーを使った研磨にトライしてみます。

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