やはり耳がツンとなった。
急激な加速の後、機体が斜めになる。
気圧の変化を如実に感じながら右の窓の外に目をやると、もう空しか見えていない。
目の先を右にスライドしていった東京の建造物ははるか足の下になっている。
今どんなルートを通っているのか、どこの上空にいるのかは判らないが、少なくとも日々仕事に汗を流し、毎日電車に揺られていた東京からは離れていっているのだろう。
休日の旅行という久々の開放感とまだ見ぬ北海道に思いをはせ、隣の友人を見ると椅子に備え付けられた雑誌を読んでいた。
自分はと言えば二度目の飛行機という浅い経験から少なからず緊張していたのだが、おくびにも出さずに羽田空港のコンビニで買ったお菓子を取り出した。
京急の中での広告で美味そうに紹介されていたこのストロベリー入りのパイのようなお菓子を、私は食いたくてたまらなかったのだ――
事の発端は友人のSAN-Gが彼の友人達と青森や広島などを旅行し、それがまたたいそうに面白かったという話を聞かせられたからである。
勿論面白い事が好きな自分としては、是非参加したいとの表明をSAN-Gを通じて彼の友人達に伝えてもらった。
メールにて徐々に次にどこに行くかといった話が出てきたが、意外と行く先はすんなり決まった。
北海道だった。
期間は5/3~5/5のゴールデンウィーク真っ只中。
メンバーは自分こと塩水、友人SAN-G、その友人越前さん、同じくSAN-Gの友人いとじゅんさんの四人。何度か会ったことはあるがこうして旅をするのは初めてのメンバーばかりであった。
最初に決まったのが宗谷岬に行こうではないかというもの。となると自分としては是非日本海オロロンラインを通ってみたかったので、行きか帰りに通る事となった。
他にも羊が丘公園や五稜郭などの観光地も行く予定にはなったが、やはり食い物の事しか考えてなかったのかもしれない。
北海道には美味い食い物が沢山ある。
ウニ、イクラ、ホッケ等の海産物、札幌ラーメンや旭川ラーメン、羊の肉を使ったジンギスカン。
その甘美でかつ神々しい響きを持ったそれらの神々はどのように待ち受けているのか。
我々に必要なのはカップルが行くようなデートスポットではなく明日への活力となる食べ物なのだ。
たんぱく質より分解されたアミノ酸によって筋肉をマッスルさせなくてはならない。
観光地なんて行かなくても死にはしないが、食べ物を食べないと死ぬのだ。
旅の醍醐味はその土地土地の魅力的な食べ物だと自分は感じている。
これは多くの旅行者達に肝に銘じてもらいたい。
工程は初日に旭川から宗谷岬まで行き、そのまま日本海オロロンラインを通って再び旭川に戻り、二日目は札幌。そして三日目に函館に行き、夕方羽田に帰ってくるという工程だ。
あれこれ調べはしたが、結構無茶な工程(特に初日)らしく。いささかの不安があったのだが、行ってしまえばどうとでもなるだろうと思っていた。
そして5/3の朝、我々は東京の羽田空港に集合した。
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