10月7日大阪で行われたJMU主催第23回日本マンドリン独奏コンクールでロシアの若い女性が断トツの得点で日本人を大きく引き離し一位と二位を獲得しました。
このコンクールのことは1968(昭和43)年開催の第1回のときから関心がありましたが、外国人が優勝したのはドイツの女性マンドリニストが初優勝した第15回以来のことで、いよいよコンクールも国際的になってきたかなんて呑気に感心ばかりもしていられません。
JMU機関誌No.239 (2012.11)で井上泰信氏(第14回日本マンドリン独奏コンクール優勝)は、「今ではヨーロッパのコンクールでは例外なくロシア系出身のマンドリニストが上位を占めるようになった。国際コンクールという世界中のマンドリニストが腕を競う場において今その中心はロシアにある。そして今世界の音楽界はイスラエルの若きマンドリニストに注目している。海外のエントリー達は演奏というものに対する意識が日本人と全く違う。コンクールが趣味の延長で単なる力試しで終わってしまう日本人と、賞金という演奏家として生きるために必要なものの為に全力を尽くす、その差である。彼らはまずマンドリンよりも前に音楽を学んでいる。」と、非常に示唆に富んだ見解を述べておられます。
上記一位入賞のEkaterina Mochalova(エカテリーナ・モチャロワ)さん(1988年-)と二位のAlexandra Kotkova (アレクサンドラ・コトコワ)さん(1985年-)の演奏を聴いてみたいと思います(上記コンクールでの演奏ではありません)。
エカテリーナ・モチャロワさんのドムラ演奏
アレクサンドラ・コトコワさんのマンドリン演奏
(アコーディオン演奏はご主人です)
(アコーディオン演奏はご主人です)
また2005年スタートしたARTE主催の大阪国際マンドリンフェスティバル&コンクールでは、2011年の第7回で一位と三位にやはりロシア人の若い女性が入賞しています。
一位はAlexandra Skroznikovaさん(上記コトコワさんと同じ人)ですので、ここでは三位Rada Krivenko(ラダ・クリベンコ)さん(1982年-)の演奏を聴いてみたいと思います(上記コンクールでの演奏ではありません)。
ラダ・クリベンコさんのドムラ演奏
因みにこの時の第二位は青山涼氏、氏は第22回日本マンドリン独奏コンクールにも第二位、23回では三位に入賞されています。
YouTubeにはロシアの優秀なマンドリン、ドムラ奏者の演奏がたくさんアップされていて底辺の広がりを感じます。
そのうち第二のシビッターロに育ってゆくでしょうか。
ひるがえって日本はどうでしょう。
テクニックは優秀でも音楽として人を感動させることのできる奏者はどれほどいるでしょうか。
「奏でる!Mandolin」Vol.17 (2012.12)で小林由直氏が述べておられます通り、コンクールに日本人の優勝が難しくなってきている現状の打開、また日本でのこの似かよった二つのコンクールの棲み分けをどうすべきか、早急かつ真剣に考える時期にきていると思います。
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