関東は昨日梅雨が明け夏本番ですが、お天気のようにカラッといかないのが原発問題です。
関西電力大飯原発(福島県)3号機が9日フル稼働を始め、それに伴って関電管内の節電目標値が10日15%以上から10%以上に引き下げられました。
原発稼働の御利益がたった5%ということは、素人考えでは節電目標をはじめから5%増やして20%にしておけば、わざわざ原発を稼働しなくても済んだという計算にはならないのでしょうか。
電気を使わないとやっていけない企業は再稼働で助かることでしょう。
しかしいくら確率が低いとは言え万々一事故が起こったときの企業や市民の被害、あとあとの損害は原発を稼働しないがための損失とは比べものにならないほど甚大ですから、たとえ節電目標を20%にしてでも再稼働は止めるべきではないでしょうか。
いったん事故を起こせば制御不能になる可能性のある化け物のような原発は今の科学技術レベルでは絶対に使うべきではないと考えます。
原発災害の後始末代を電気料金に上乗せされるのはまっぴらごめんです。
原発の代わりに火力の燃料費がかさむので電気料金が上がりますというのであれば、これはやむを得ないことで辛抱せざるを得ないと思います。
民意は原発再稼働反対が大勢を占めています。
私も再稼働には賛成しかねると考えていましたが、いろいろ調べますと原発は稼働しているから危ない、稼働していなければリスクが少ないという単純なものでもないようです。
福島第一の事故原因は津波による冷却機能喪失だと言われます。
原発は冷却機能が失われた時が最も危険だという立場に立てば、稼働していない状態のほうが自身を冷やすための電力を作れないというリスクを背負っていることになります。
圧力容器に燃料棒がある限り、格納容器内の冷却プールに使用済み燃料がある限り、稼働中かどうかにかかわらず大地震、大津波などが起こればどの原発も大事故が起こる可能性は十分あることになります。
つまり使用中、使用済みの核燃料を内部に残す原発を停止させてもリスクは残りますので、現在停止中の全国の原発すべてについて、燃料を取り出して完全に廃炉にしない限り原発のリスクは減らないことになります。
ただし廃炉にした後の核燃料貯蔵の安全性は別問題として発生します。
半減期の長い核燃料はどこまでも半永久的に安全性の問題がついてまわりますので、原発の一番やっかいな点だと思います。
原発を稼働すれば停止している状態に比べて過酷事故の起こる可能性が高くなる要因もあるかも知れません。
今までの言動から電力会社はそういった要因を隠している、あるいは過大に安全と評価している可能性も拭い切れません。
原発のリスクを最小にするためには一刻も早く日本国中全ての原発を廃炉にもっていく算段をすべきということになりますが、廃炉への過程も一朝一夕にすぐできるというものではなく、つくづく原発というもののやっかいさを思います。
事故を起こした福島第一原発のその後についてはあまり報道に取り上げられなくなりましたが、以下のような緊急課題がありそうです。
福島第一原発の4号機には、原子炉建屋5階、地上30メートルの高所に燃料貯蔵プールがあり、ここに1535本もの核燃料棒が、シートで燃料プールを被っているだけのむき出し状態のまま保管されており、その安全確保が最重要課題になっています。
4号機は80cmの不同沈下が発生しているそうで、わずかの余震で完全に倒壊する可能性が高く、もしこの4号機が倒壊して仮設の冷却システムのパイプが損傷してしまい、メルトダウンが起きて大気中で火災が起きると、それはもう科学が想像すらしたことのない、まだ人類が経験したこともない究極の破壊につながることは確実と多くの科学者が指摘しています。
福島第一原発4号機 (2011.3.24)
さらに恐ろしいことには、大飯、志賀(石川県)両原発直下の活断層の存在の可能性が指摘され、電力会社や国による過去の調査・審査のずさんさが明るみに出ました。
原発を稼働させたいがための意図的なものを感じざるを得ません。
中国は高速鉄道の大事故で原因究明もしないまま、あろうことか事故車両をさっさと地中に埋めてしまいました。
なんてことをするのかと多くの日本人は呆れ返りましたが、ひるがえって日本の原発事故の対応はどうでしょう。
中国のやり方を笑えるでしょうか、中国よりはるかに悲惨かも知れません。
原発は理論、理屈が難しくてわかりにくいですが、それ以上に何が正しくて何が正しくないのか、情報が制御、隠ぺいされて正確な情報が私たちに伝わってこないことが一番恐ろしいと思います。
絶対あってはならないことですが、こんな言い方を許していただけるならば、もう一度福島第一で大事故が起こらないと、あるいは再稼働した大飯で大惨事が起こらないと目が覚めないのでしょうか。
そうなってもまたもや電力会社は「想定外だった」とうそぶくのでしょうか。
容易に日本脱出ができない私たち庶民にはどんな夏の納涼話より背筋が凍る話になってしまいました。
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