QAZのつれづれ日記

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A(ラ) 音のチューニングは何ヘルツ?

2013年07月12日 | 音楽

合奏する場合、それぞれの楽器について事前に五線譜第二間のA(ラ)音の高さ(ピッチ)を合わせる作業、チューニング(調律、弦楽器の場合は調弦)が必要です。
日本では戦前までは1859年パリ会議、1885年ウイーン会議で決定された435Hzに合わせていましたが、1948年からは文部省によって1939年ロンドン会議で決められた440Hzが採用されています。
最終的には1953年ISO(国際標準化機構)によって国際基準値A=440Hzが定められ今に至っています。

NHKの時報は毎正時の5秒前から440Hzの予報音を3回、正時にオクターブ高い880Hzの正報音を1回打つという構成になっています。
かつてのラジオ放送の報時はこれより1オクターブ低かったようです。
一説にはA=440Hzと定められた根拠は、生まれたての赤ん坊の産声が440Hzだからで、これは民族・男女に関係無く440Hzで泣き声を上げると言われていますが、真偽の程はわかりません。

なんだ、はっきりしているではないかと思われがちですが、ピッチの高い方が音が映えるため競って法的拘束力のない国際標準ピッチ(ユニバーサルピッチ)より高めに調律しようとする基準ピッチのインフレ現象が起こって混乱を招いています。
ベルリンフィルやウィーンフィルはA=444~445Hzが基準だとされているようです。

歴史的にはバロック時代のバロックピッチ(A=415Hz)、モーツァルトの時代のモーツァルトピッチ(A=421.6Hz)、ヴェートーヴェンの時代の古典派ピッチ(A=430Hz)などが知られています。
A(440Hz)の半音下Asが平均律で415.305・・・Hzですからバロック時代の演奏は今よりほぼ半音低かったことになります。

今ではN響はじめ442Hzを採用する楽団が主流を占めています。
日本のコンサートホールのピアノもほとんどが442Hzに調律されています。
ホールのピアノと合奏する場合はピアノのピッチに合わせざるを得ませんが、特別にホールの基準ピッチ以外のピッチを希望する場合はピアノの変更調律および戻し調律のための費用(6~7万)が発生する場合があります。

今ではチューナーで調律することが一般的になり、440Hzでも442Hzでも自在に合わせることができます。
ピッチの変更のできない音叉は440Hz用と442Hz用が売られています。

ところで耳で聞いた場合440Hzと442Hzの音にどれくらいの違いがあるでしょうか。
違ってるなと分かる最小差異を表すのにJND(Just Noticeable Difference、丁度可知差異)という指標があります。
人間が違いを聴き分けられる周波数差は人によって能力に差がありますが、音程のJNDは約5セントとされ、440Hzの周波数域では約1.27Hzとなります。
440Hzと442Hzの差は2Hz、7.851・・・セントですから、耳で聴き分けられる限界付近にあることになります。
楽器の音色は倍音を含みますが、例えばオクターブ上の880Hzと884Hzの差もやはり7.851・・・セントです。

単純に両者の音を交互に聴いて音程差のわかる人は少ないかも知れません。
YouTubeでピアノの音で聴き比べてみることができます。


左のKAWAIのピアノのラ音が440Hz、右のYAMAHAのピアノのラ音が442Hzです。
いかがでしょうか。
複弦のマンドリンで第2弦A線の一方を440Hzに、もう一方を442Hzに調弦して交互に鳴らせば違いをよりはっきりと認識することができます。

(ご参考)基準ピッチに関する記事の載っているサイト:
ヴェルディの聴いたラ音 
基準周波数A=440Hz って何? 



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