小鼓のお稽古は、先生の謡、大鼓(張り扇)に合わせて小鼓を打つことは、小鼓の楽しみ①に書きました。
お稽古に少し慣れてくると、先生の謡も作品によって違うことがわかってきます。
例えば、羽衣のクセはゆったりと謡が進み、小鼓を打つ時、早く勢いづくことはありません。ヤ声、ハ声(ヨ、ホなどの かけ声)もしっかりと声は出すけれど鋭くはありません。むしろゆったりした雰囲気で進みます。
それに比べ、田村や八島(どちらも勝修羅物で戦のシーンがある)などは、ヤ声を鋭く、より強く出すよう指導されます。その上、謡は早く強い調子で進みます。自然と小鼓を打つのも、特に強くするわけではありませんが自然と少し前のめり(わずかに早く打つ、巻いた打ち方)な感じの打ち方になります。謡と小鼓の間(ま)が競い合うように勢いづきます。
能は元々武士の芸能(音楽)なので、基本的に男性的な楽器の使い方をします。その男性的な中にも柔らかさや強さの違いがあることに気がつくと、お稽古がさらに楽しくなっていきます。
田村、八島など、小鼓を始めてそれほどお稽古を重ねない時期に出来ますので、是非ご興味ある方はお稽古を受けてみてください。
ヤ声もお腹からガッツリと出すので、田村、八島を打った後の爽快感はかなりのものです。
(T尾)