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卓球選手の国籍変更制限 中国出身者、国際大会独占

2008年03月24日 | スクラップ
◇「同じ顔触れ」イヤ

 国籍を変更して出生国・地域以外の代表選手として国際大会に出場するスポーツ選手が増えている。国際卓球連盟(ITTF)は2月29日、国籍変更をした選手の世界選手権などへの出場に制限を設けることを理事会で決めた。卓球界では今、世界選手権などの国際大会で中国選手と、中国出身で他国・地域に移った選手が上位を占めている。今回の決断の背景と、現場の受け止め方を探った。【広州(中国)小坂大】

 


◇「移籍先若手を阻害」「人気凋落、五輪除外も」

 「サッカーの試合で中国がカタールに敗れたとしよう。その時カタールが全員ブラジルから国籍変更した選手だったらどう思うか」。カナダ人のアダム・シャララITTF会長はサッカー・ワールドカップ、アジア3次予選で実現しうる対戦カードに例え、国籍変更選手の国際大会出場制限の理由を説明した。

 昨年12月に北京であったプロツアー・グランドファイナル大会に出場した男女シングルスの世界ランク上位各16人のうち、中国選手と中国から国籍変更した選手は男女各13人。近年の国際大会では中国選手に、中国から国籍変更した選手が挑む展開がほとんどで、わずかにドイツ、日本勢などが数人、上位に顔を出す程度だ。

 競技発祥地・欧州の自尊心も今回の決定に拍車をかけた一因だが、対戦構図のマンネリ化は競技への関心の低下を招き、スポンサー料やテレビ放映権料、入場料などの減少に直結する。

 競技普及の芽を摘む懸念もある。ITTFに加盟する国・地域は現在205。シャララ会長は今後多くの国・地域で中国出身選手が国籍を取得し、代表選手として出場した場合に「その国の若手の機会を奪ってしまうだろう」と説明する。

 五輪実施競技として存続できるかという観点でも問題がある。国際オリンピック委員会(IOC)が実施競技の見直しを進める中で、卓球は「中核競技」と位置づけられている。しかし人気が凋落(ちょうらく)した場合は将来的に外れる恐れもある。現状への潜在的な危機感がITTF幹部を動かし、新ルール設置を決断させた。規制は北京五輪には適用されないが、12年のロンドン五輪以降の参加資格変更の可能性はあるという。

 


◇移籍先に貢献--選手自負

 ITTF理事会で、中国は制限案に賛成した。広州で現在開かれている世界選手権団体戦を取材する中国青年報の慈〓記者によると、中国では「国籍変更した選手は、その国の普及や強化に貢献している」との意識があるという。その一方で、大量流出で海外から批判を受けることを懸念する声もあり、制限案に賛成する動きにもつながったようだ。

 競技会場では、中国系でオランダ女子代表のリー・ジャオ選手が「制限は必要だと思うが、私たちが移籍したことでその国のレベル向上に貢献している」と訴えた。香港男子代表の高礼沢選手は「(規制に)反対。中国の若手の機会を奪うことになる」と話した。

 韓国では、今大会の女子チーム5人のうち郭芳芳、唐〓序の2人が中国からの国籍変更選手。唐選手は中国で「代表候補」どまりだったが、昨年10月の国籍変更後は韓国の世界選手権代表に選ばれた。朝鮮日報の金東〓記者は「彼女らの加勢で韓国チームは一段と実力が上がった」と評価。大韓卓球協会の〓敬子技術委員長も「結果を出せば、五輪の韓国代表に選ばれることに問題はない」と話しているという。

 日本も今大会で8年ぶりのメダル獲得を果たした男子チームに韓陽と吉田海偉という2人の中国出身選手がいる。かつて団体戦で5連覇した「卓球ニッポン」の感覚では批判もあるが、日本卓球協会ではジュニア選手の強化システムを01年から始め、今大会代表の水谷隼(青森山田高)ら若手が育ってきた。将来的には「自前」選手で復活することを目指す。

 


◇規制強化相次ぐ--サッカー、陸上など

 国籍変更への規制は他競技でも課題だ。サッカーでは、過去に国代表で公式戦出場経験があれば別の国の代表になれない。ただしその国のトップ選手で構成されるA代表での出場経験がない選手に限り、21歳の誕生日までなら1度だけ国籍変更が可能。04年には(1)選手本人または父母、祖父母が変更後の国の出身(2)変更対象の国に2年以上継続して居住--のいずれかを満たすことも条件になった。

 国際サッカー連盟が国籍変更の防止策を強化したのは、中東のカタールが06年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会予選に向け、高額年俸でブラジル人選手を獲得する動きを見せたのが一因。これらの規定でカタールはブラジル出身者を代表入りさせられず、本大会出場も逃した。国籍変更したブラジル出身選手は日本にも多く、吉村大志郎(旧名・ネルソン吉村)、ラモス瑠偉、三都主アレサンドロ(浦和)、田中マルクス闘莉王(浦和)らがいる。

 陸上でも、ケニアなどアフリカ諸国から中東諸国へ国籍を変える選手が相次ぐ。国際陸上競技連盟は変更前の国で最後に代表になってから3年間は、変更後の国の代表になれないと規定していたが、05年から代表になれない期間を「国籍変更から3年間」と厳格化。

 卓球と同様に中国出身者がオランダ、フランスなどに多いバドミントンでは、五輪以外の大会は国籍と関係なく、選手が登録した国の代表として出場できる。【江連能弘、石井朗生】

==============

 ■国籍変更制限規則の概要
 (9月1日発効、変更済み選手は対象外)

 (1)21歳以上の選手が国籍変更した場合、ITTF主催の国別対抗試合(世界選手権やワールドカップなど)に出場できない。
 (2)15歳未満で変更の場合は3年間、15歳以上18歳未満は5年間、18歳以上21歳未満は7年間、該当国際大会に出場できない「待機期間」を設ける。
 (3)選手の生活権を保障するため、賞金大会のITTFプロツアーは参加を認める。また、五輪も国際オリンピック委員会(IOC)管轄大会のため適用外。




毎日新聞 2008年3月2日 東京朝刊

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4 コメント

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タイトルなどなし (小澤 仁)
2009-05-01 23:45:53
 私も昔は卓球選手として地方の軟式卓球の選手で出場したことのある無名の選手だった。しかし、昔は純国産選手、中国選手が日本に帰化して日本選手として出場することなど考えてもみなかった。世の中変わったなあ。まさかチヤンコロが日本ずらして出場するなんて。スエーデン選手のワルドナー、とうとう立派な選手がいたけれどその消息は知りません。中国選手の
陳龍燦選手の消息も知りたいですね。もし貴選手会が知っていたなら私のメールあてに下さいな。お願いします。もっと書きたいけれど日本選手の昔の立派な早稲田の長谷川選手と同じようなものですかね。
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何のタイトルですか? (小澤 仁)
2009-05-01 23:53:11
おなじことを書くのでか・どうして同じことを二度三度書かねばならないのですかね?何のために?一度で沢山でしょう、あなたなら私の立場でものを言ってくださいな。このキンタマさん さようなら、バイバイ 真面目に書いているつりです。
返信する
上記と同じ (小澤)
2009-05-01 23:58:33
私は新潟市生まれの新潟育ち新潟明訓高校の二回目の卒業生です。卓球はそのころつまり昭和24年ころ一生懸命だったときおくしております。早稲田の23年ころのなんてたっけ二人の有名選手が新潟へきて模範試合で感銘したのが私の卓球に対する芽生えでした。
返信する
上記におなじ (上記におなじ)
2009-05-02 00:08:02
ただいま午前0時でたまたま今日の卓球試合をテレビで見て懐かしいなと本当に涙が出ました。選手も監督も昔の卓球技術とは比較にならないほど進歩しています。ただ、中国選手と比較して天と地ほどの差がありますね。現役の中国選手は大変だ国内試合でも死に物狂い負ければ地方へ帰されてただの無名選手になるのでしょうね?本大会へ出るだけでも大変なのにそれだけで大金持ちになるのでしょう。
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