というわけで,昨日のお疲れが一人残ってかもねむpsy-pubでございます。
いや~見事なまでにコメントがない(3/23,14時現在)……さみし。そら,コメントしようがない話であるなぁ,と一人反省もしてみたり。
ま,要するにぶっちゃげてしまえば,「エビデンス」と騒ぐのは,本当にクライエントのためか,つうことが言いたかったりするわけです。
確かに,ちゃんとした能力をもつセラピストが行う認知行動療法は,かなり治るんじゃないかと思います。ただし,ちゃんとした能力をもつセラピストが行う精神分析も,かなり治す。それは何と言うのでしょう,経験的にそうだろうな,と思うわけですね。同じような能力があれば,同じようなクライエントを治すだろうと。
ま,だけど,エビデンス,エビデンスと言っている場合,何とも裏があるような気がして仕方がないんですョ。
エビデンスを出すためにエビデンスを出す研究をしているわけで,当然,そこにはさまざまな経済効果だとか,研究費だとかがあったりするわけじゃないですか。そういう「ヒモつき」の金で,本当に効果研究なんて可能なのかな,とまず思うわけです。ちょっとイジワルですかね。
効果研究は第三者機関がやってほしい。
たとえば,臨床心理の効果研究ならば,それこそ基礎心理の研究者グループがやってほしい。
ほんと,そう思いますッ。でもね,そら,難しいでしょうけどね。
ま,ユーザーの立場としては,ですがね。
なんか疲れちったな。
ほんと,肩が凝る。
と,思っていたら,そうか,かばんのなかに本が2冊も入っていたからだった(ワザとらしい話の展開)
ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実 マーシャ・エンジェル, 栗原 千絵子, 斉尾 武郎 篠原出版新社 このアイテムの詳細を見る |
ま,面白い本ですよ。
実は昨日アップ~してから本屋さんで見つけたんですけど,共時性っつうんですかね,こういうの。
熱い!っていうノンフィクションって感じではないんですが,世界企業であり,いろいろと世界に良くも悪くも影響を与える製薬会社についてレポートしたものです。
いや,ほんと,これはとんでもない問題ですよ。
EBMを書く前に見つけてればよかったな,と反省。
あとね,だれか,素人さん向けの「エビデンス」の本を書いたらどうですか?
「名医」なんてそうそう出会えないんだから!
うーん,なんか他人任せすぎるな…
編集者なのに舞い上がってしまってまふ。
科学的な検証というのは大事なので,それまでをも否定する気はないのですが,行き過ぎた企業戦略はやっぱちっとまずい,と常識的に思っています。でも,意外に製薬会社へのジャーナリズムからの批判って少ないんですよね。saio先生の訳した本以外に類書もないようですし。
今後ともよろしく御願いいたします。
確かに和書には類書はないですよね。しかし、英文では1980年代半ばから20冊近く、ドイツ語でも最近数冊、似たような主張の本があります。「ビッグ・ファーマ」は原著者が有名医学雑誌のもと編集長だという点が異例ですけど、他の類書はどれもジャーナリストの手によるものです。そちらのほうが詳しいこともたくさんあります。
ちなみに http://homepage3.nifty.com/saio/EBM-ScienceStudies.pdf
に僕が数年前にEBMについてまとめたものがありますので、ご覧いただけたら幸いです。
>Saioさま
興味深い文献の御紹介ありがとうございました。医学のみならず,広く読むに値する論考と思い,新しいエントリにて紹介させていただきました次第です。
→http://blog.goo.ne.jp/psy-pub/e/e7703b2e48070567b3ab8db3a3716ce0
確かに,薬の世界だったらそれは莫大なものですよね。でも,その考えはpsychotherapyの領域にそのまま当てはまるものではないと思います。CBTがいくら効きますぜってわかっても,ガッポガッポ儲かるわけではないですから。むしろ病院経営とかには不利だったりする気がしますし。
>素人さん向けの「エビデンス」の本
やっぱ,萌え系がいいなあ…
>izugaeruさま
>その考えはpsychotherapyの領域にそのまま当てはまるものではないと思います
まあお分かりと思いますが,薬だと露骨ですが,多かれ少なかれそういう要素は何にせよからんでこざるをえないということで。ビッグビジネスじゃなくとも,ポ●トとか科▲費とか資■問題とかだっていろいろ……(たとえばの話,デスヨ)。
>やっぱ,萌え系がいいなあ
モエ-ビデンス(失敬!)
こうした問題をきちんと考慮していく姿勢はもちろん大切です。ただ,エビデンスが積み重なることによるいい結果もふまえた上で考えていかないと,「ちょっとイジワル」だと思います。多分,このエントリへは,そのちょっとイジワルっぽい論理を感じたのでコメントしたのだと思います。
>モエ-ビデンス
やわらかさがなくてもえられません,残念。
>izugaeruさま
>エビデンスが積み重なることによるいい結果もふまえた上で考えていかないと
うーん。これについては前のエントリで「究極のクライエントセンタード」と表現していることをはじめ,関連エントリを全部読めば分かることだと思いますが,それでは足らないということでしょうか。ここでは本文で「ちょっとイジワル」と書いているように,そこに論点を絞っているに過ぎないですから,確かにこれだけ読むと,「ちょっとイジワル」な論理だけしか汲み取れないかもしれませんが,これはむしろメディア・リテラシーの問題かもしれません。ただ全体を読んでそういう印象「しか」受けなかったのであれば,それはこちらの筆力不足ということになりますが……。
まあpsy-pub的には,私見を喧伝するのが目的ではなく,やはり専門家の論の方に興味があるわけです。ですので,こうなってくるとやはりizugaeruさんに,是非ぶ厚いエントリをひとつぶちかまして欲しいなあと思います。すぐでなくともいいですから,医学における名郷先生やDr.Saioに匹敵するような論陣を期待しております。嫌味ではなく,そういうものが読んでみたいというのが編集者としてのホントの本音なんですよね。まあただの希望ですから流していただいても結構ですよ。
小生のような若輩のたわごとにおつきあいいただきありがとうございます。確かに関連エントリを全部読めばバランスはとれておりますが,貴blogのような影響力の強い所に訪れるのはメディア・リテラシー↑の人たちばかりとは限りませんので,せめてコメントの所で補足説明がつけらればな,という裏目的もあり,それは達成されたみたいです(笑
真似事の思想から脱却できるのは一体いつの日になるのかわからないですけど,今できる最大限の努力でそのうち書いてみたいと思います。
小生の目的は,臨床心理の専門家及び,一般市民に対しての,EBM思想普及の一端を担うことにありますし,これだけしつこくコメントしているのなら説明責任がついてきますしね。深みにはまってしまったようです…