PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

2012年04月16日 23時29分42秒 | イベント告知

恥ずかしながら、この度、教科書を出しました。
弘文堂の「精神保健福祉士シリーズ」のテキストです。
今年度のカリキュラム改訂に合わせて、発行したものです。

今回編集をさせて頂いたのは、第5巻『精神保健福祉の理論と相談援助の展開1』です。
旧科目の「精神科リハビリテーション学」をベースに、再編された科目です。
旧「精神保健福祉援助技術各論」の一部をミックスした形になっています。

かつては、精神科リハビリテーション学に精通した医師たちが執筆していた科目です。
あえて今回は、現場経験豊かなPSW14人を中心とする執筆陣を組みました。
既に、精神科デイケアをはじめとして、現場の主戦力になっているのはPSWですし。
PSW自身による、PSWのための教科書づくりを目指しました。

医師は1人だけ、アンチスティグマ活動を展開している高橋清久さんにお願いしました。
作業療法士では、苅山和生さん、比留間ちづ子さんに協力して頂きました。
心理の立場からは、佐藤さやかさんにSSTをリアルに記して頂きました。

また、この種の教科書としては異例かも知れませんが、
精神保健福祉ユーザーの当事者の方々にも、執筆をお願いしました。
澤田優美子さん、火弟酉さん、増川信浩さんが受けて下さいました。
それぞれ短いコラムの形ですが、学生の心に届く言葉を綴ってくれました。

あくまでも教科書ですから、厚生労働省の示したシラバスに対応した項目内容ですが。
同じ事柄でも、どのような視点から言葉を綴るのかによって、伝わる内容は異なります。
何よりも、現場と遊離しない、血の通った、生きた言葉の教科書を目指しました。
他出版社の教科書と比べても、メッセージ性の強い、特色あるものになったと自負します。

ただ、この教科書、ひとつ問題があります。
どこの学校も、当然4月から新学期の授業が始まり、新しい教科書が使われるのですが…。
この本ができあがって、全国に配本が始まったのが先週。
発行日を記した奥付は、なんと4月30日…。
教科書の作成が、4月の新学期に間に合いませんでした!(>_<)

そんなこんなで、せっかく頑張って作った教科書ですが、ほとんど採用校がありません。
初年度は、ほとんど売れないと覚悟しなきゃいけません。
次年度以降、採用を検討してくれる学校が増えることを期待しつつ…。

新しいカリキュラムの教科書に目を通してみたいという方、どうかご購入下さい。
目次校正および執筆者は、下記の通りです。


★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

福祉臨床シリーズ編集委員会編
精神保健福祉士シリーズ第5巻
『精神保健福祉の理論と相談援助の展開1
~精神保健福祉援助技術各論・精神科リハビリテーション』

責任編集=古屋龍太(日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科)

はじめに:古屋龍太(日本社会事業大学)

第1部 精神保健医療福祉と精神保健福祉士
精神保健福祉士のミッション:古屋龍太(日本社会事業大学)

第1章 精神保健医療福祉の歴史と動向:古屋龍太(日本社会事業大学)
 1.精神医療と社会
 2.日本の精神保健医療福祉の変遷 
 3.諸外国の精神保健医療福祉の変遷
 4.日本の精神保健医療福祉の課題 
 コラム 相馬事件と宇都宮病院事件:古屋龍太(日本社会事業大学)

第2章 精神障害者支援の基本:大塚淳子(日本精神保健福祉士協会)
 1.精神障害者支援の理念
 2.精神障害者の人権擁護の思想
 コラム 精神科病院の不祥事件~バス遠足は行政監査の日:大塚淳子(日本精神保健福祉士協会)

第3章 精神保健福祉士の精神障害者支援 
 1.日本における精神保健福祉士の活動の歴史:吉川公章(福井県立大学)
 2.精神保健医療福祉領域における支援対象者:井上牧子(目白大学)
 3.援助者と支援対象者との相互関係のあり方:井上牧子(目白大学)
 コラム 対等な関係とは何か:澤田優美子(日本社会事業大学大学院)

第2部 精神科リハビリテーションと精神保健福祉士
リカバリー志向のリハビリテーション:古屋龍太(日本社会事業大学)

第4章 精神科リハビリテーションとは何か:長沼葉月(首都大学東京)
 1.精神科リハビリテーションの概念
 2.精神科リハビリテーションの理念
 3.精神科リハビリテーションの基本原則
 4.精神科リハビリテーションの意義
 コラム 「精神科リハビリテーション」の前夜とこれから:比留間ちづ子(若年認知症社会参加支援センター・ジョイント)

第5章 精神科リハビリテーションの構成と展開
 1.精神科リハビリテーションの構成:大山勉(東海学院大学)
 2.地域社会に根ざしたリハビリテーション:城田晴夫(帝京平成大学)
 コラム 一杯のジュースから:添田雅宏(日本社会事業大学)

第6章 精神科リハビリテーションのプロセス:斎藤敏靖(東京国際大学)
 1.受理(インテーク)と動機づけ
 2.リハビリテーション診断
 3.リハビリテーション計画
 4.アプローチ(リハビリテーション介入)の方法と効果の評価
 コラム アルコール依存症の専門医療機関におけるリハビリテーション:北本明日香(日本社会事業大学)

第7章 医療機関における専門療法としてのリハビリテーション
 1.作業療法及びレクリエーション療法:苅山和生(佛教大学)
 2.集団精神療法:小田敏雄(田園調布学園大学)
 3.SST(生活技能訓練):佐藤さやか(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
 4.精神科デイケア・ナイトケア:古屋龍太(日本社会事業大学)
 5.アウトリーチサービス:贄川信幸(日本社会事業大学)
 6.家族教育プログラム:贄川信幸(日本社会事業大学)
 コラム ねこのおばさん:添田雅宏(日本社会事業大学)

第8章 多職種協働による精神科リハビリテーション:古屋龍太(日本社会事業大学)
 1.精神科チーム医療の概要
 2.多職種との協働・連携の技術
 3.リハビリテーションチームにおける精神保健福祉士の役割
 コラム デイケアに通って:火弟酉(精神科デイケア利用者)

第9章 人間性回復のためのリハビリテーション
 1.リカバリーの展開:城田晴夫(帝京平成大学)
 2.ピアカウンセリング:中村 幸(福岡県人権施策推進懇話会)
 3.多文化ソーシャルワーク:中村 幸(福岡県人権施策推進懇話会)
 4.アンチスティグマ:高橋清久(財団法人精神・神経科学振興財団)
 コラム WRAPを通してのリカバリー~自分の専門家は自分自身:増川信浩(WRAPファシリテーター)

巻末 キーワード集:長坂和則(静岡福祉大学)
           
発行:弘文堂
定価:本体2700円+税
ISBN978-4-335-61105-6


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ねてる)
2012-04-17 09:58:36
ついに、出ましたねー

想いを届けたいっすね!!
Unknown (まつだ)
2012-04-19 20:50:52
おおー!読んでみまーす。
三月は結局飲み会開催できませんでしたー( ;´Д`)先生は新年度で忙しいかと思いますが、また声かけさせてもらいますね!

あっ 通信、今のところ面白いです。
Unknown (chiichan)
2012-04-28 03:30:27
お疲れ様です。
はじめまして (しばてつ)
2012-05-27 19:03:20
はじめまして。
とある専門学校教員でPSWです。
弘文堂の「精神保健福祉士シリーズ」のテキスト、
本屋で読んでみて、とても好感を持ちましたので、
個人的に購入して読んでます。
良いテキストを、ありがとうございました!

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