和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

只の虫か益虫か、はたまた害虫か

2009年04月01日 | 蟲のこと
 ハウスの中は外界とは少し違った自然環境が形成されている。人の生業のために囲われた自然は、年に数度耕起され人の求める商品植物がモノカルチャで栽培される。農業が自然かどうかは見方により随分ちがってくるが、ハウスを建てようがビルを建てようが自然はゆっくりとしたたかに寄り添い侵食して来るものです。
 ハウスは基本的に乾燥気味だが野菜の生育初期には集中して過湿になっている。雨の降らない乾燥状態は虫にとってはどうにも居心地が良いらしく、害虫のコナガやダニは降雨でかなり密度を減らせるという。
 ハウス内で最も頻繁に見かけるのはクモで、特にハシリグモ(走り蜘蛛)やコモリグモ(子守蜘蛛)は平米10匹は見かける。あくまでも目に止まる虫であって、人が歩くのにつられて動くクモは目に付きやすいだけなので、実際の密度は羽虫やダニ、トビムシなどのほうが圧倒的だろう。それでも多いほうかもしれないクモたちは害虫では有り得ないが益虫だろうか?それとも只の虫か。 

 園芸書等ではクモは間違いなく益虫としての地位を確立しているが、実際は只の虫とのあいだ辺りといった所でしょうか、これまでコナガを捕食しているのを一度見た位で、捕食の現場に出くわす事が殆ど無いに等しい。では一体何を食べているのかと考えるに、ハエ等が一番多いのかもしれないが、有り得る事は昆虫の世界では特別な事でもない共食いです。しかしお互いに出くわす事の多いコモリグモですがどちらかが捕まるような事態は殆ど見られません。片方がちょっかいを出してつばぜり合いをするが、パッと離れるのが常です。それでも感覚的なことですがクモの密度は常に一定を保っている気がする。

   
                           卵のう付き

 コモリグモはその名が示すように子育てのような事をします。丁度この時期に雌が産卵して「卵のう」をお尻に付けている姿を良く見かけます。今見かけるもので卵のうの無い、色の濃いのは大体オスだと考えれば良いのでしょう。冬の間日なたでしきりに体を震わせる仕草をしていたのはどうやらオスの求愛行動だったようです。それから交尾をして産卵、卵のうをくっ付けて徘徊する現在に至る。
 コモリグモのなかでも恐らくこれらはウヅキコモリグモでしょう。これは卯月子守蜘蛛の意味ですが、これから丁度卯月の4月にかけて孵化した子供をわさわさと背中に乗せて子育てをします。もうしばらくすれば子守り中の写真を貼れると思います。



 一方ダンゴムシは一見何でもない只の虫ですが、有機物を分解し腐葉土を作ってくれるという意味においてありがたい益虫です。ところが植物の遺骸を主食としているはずのダンゴムシが生きている植物の根を食害するするのは余り知られていません。大根などに丸く穴をあけて食害しますが、どうも大根の属するアブラナ科の根を特に好むように思えます。いずれにしろ益虫か只の虫かは人の価値観による事には違いなく、只の虫はたまた益虫でも時には人に害を為すこともあるのです。

  
                          王蟲ではない

 話がずれますがアブラナ科の根は普通の根以上の何らかの物質を分泌しているのでしょうか?ダンゴムシの事もそうですが、ヒメミミズを特にアブラナ科の植物の根付近で頻繁に見かけるのです。

 

  

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