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500回目の「ありがとう」と「愛しているよ」。君は花畑の中にいた。

2017-05-20 21:47:40 | 日記

友人がくれた 魔法の本に従い

毎晩 500回 「ありがとう」 を云っている

400回目からは 「愛しているよ」 と言葉を添える

これまで 私の礎として 

苦しんでくれた そして 踏ん張ってくれた自分に

とても 小さな 幼い あの頃から

あんな昔から 頑張ってくれたから 今の私がいる

だから 話しが したかった

眠る前に その儀式を繰り返し 一度 幼い私が

夢のなかで 私を振り返って 私の眼を見たことがあった

でも 語ってくれない

黙って 首を振っただけ 私は凍りついて 何も云えなかった

そして 昨夜 再び 私は 私を見た

貴女が頑張ってくれたから 今の私がいる

だから 私はずっと貴女を愛しているって 今は想える そう伝えた

「嘘つき」と 私は云った 「何も認めてない」

そらを得たのに お母さんらしいことしてなくて 仕事に逃げる

そらに お母さんって 呼んでもらえなくて 自信がない

お前は素直だ 大切な人に云われたこと 引きずってる

お前は素直だ ただそれだけだ お前のいいところなんて 他にない

お前は その人に不満を感じたが 見返すこともできずにいるうちに

あの人は 死んでしまい お前の不安は 永遠の傷になった

だから 愛している というのは 嘘だ 嘘つき

だから 嘘つきに 未だに 傷つけられる



私は また 言葉を 失った



目が覚めたら 足首に 細い針を刺しこまれるような痛みが走った

腰も えぐられるように痛み

折れていると云われた鎖骨も痛い

放射痛で肩の先まで 痛い

昨日の疲れが 抜けていなかった


予定通り じいの病院に行く

今日は少し時間をかけてじいの身の回りのことをして

マッサージして 新しい枕を用意する約束をして 山を下ってきた

中継地点の 職場でもある病院に着くと

テノールが マイ・ウェイを謡っていた

恰幅のいい声楽家が どうやらリハの最中らしく

今日 これから 病院のホールで 小さなコンサートがある事を思い出した

ゆっくりしている気力もないくらい疲れていたんだけど

聴いたのが「マイ・ウェイ」だったことが 私を止まらせた

コンサートは1時間 

地元のカメラも来ていたので 人目につきにくい場所に座って待つことにした

コンサートが始まって 美しい女性のソプラナと 

先程の テノールと ピアノが 謡い

あまりの迫力に 唖然として 聴き入った

そして あのマイ・ウェイが始まった

ヤバイ と 想った瞬間に 鼻の奥がツンとなった

小学校の頃 私はこの曲に凄く入れ込んでいたのだ

その頃に よく聴いたこの歌を 「謡っていた」

声が小さく 大人しい子供だった私が 大きな声で謡えたのは

父の高山植物の本のなかにあった 花畑の写真の中でだった

両親が自営業で 土曜も日曜も独りで過ごしていた私は

写真のなかで遊ぶ 空想ごっこが大好きで

本を開いて その花畑の中に 遊びに行くのだ

そこは 花と 鳥と 虫と 私だけの世界

人は 一人もいない 

代わりに 変な生物が(今で例えるなら ポケモンのキャラみたいな?)のがいて

人語は解さないのだけど 友人で 一緒に 冒険したり 

お弁当を食べたり 歌を聴いてくれたり …

そう そこで 私は よく謡った マイ・ウェイを

突然 思い出して 胸と顔が 熱くなった

すると テノールが 眼の前を歩きながら 謡っている

黒く磨き上げられた 靴を見て 緊張と 衝撃と 懐かしさで

ボロボロ 涙が溢れてしまった



これは 偶然か?

昨夜 夢で逢った私が 重なってしまい …

あの頃から 私はよくぞ 崩れなかったと 今も想うほど 辛い症状を抱えていた

祖母が 胃癌で亡くなり 死の恐怖を初めて知った頃

自分も 胃が痛くて 毎日痛くて 屹度 死ぬのだと

脈絡もなく 想いこみ 強迫観念は 繰り返し訪れ 

戦争や 世紀末の予言 世界の恐怖が一斉に 襲ってきた時代で

その花畑は 駆け込み寺のような 場所だった

私は 謡い 信じられないくらい大きな声で 謡い続け

また 現実に戻って 眼を覚ました

私は あの頃の私に 云いたいのだった

「愛してるよ」って

「頑張ったね」って



今度こそ ちゃんと 伝えなきゃ

素直な事は 悪い事じゃないじゃん

人の云うことに 耳を貸す

真っ新な 精神が 素直じゃなかったら 何も吸収できないんだよ?

学べないんだよ?

何故 教えてあげられなかったの?


私は 充分 倖せじゃないかなって

そらに会えたよ?

一緒に 生きているよ?

難しい子だけど 多才な子供だよ

貴女に そっくりだよ

いつか 母が云ったよね

「もう ママはやめようね もう お姉ちゃんになるんだから

ママは止めて お母さんって 云うんだよ」

随分と長い時間 私は恥ずかしくて 云えなかった

恥ずかしかったんだよ ずっと ママでいて欲しかったんだよ

ただ それだけ

そらはね 私の知らないところで まだ 私を ママって呼ぶんだよ

知らなかったんだよね …



長い 長い時間が 私たちには 必要なようだ

今夜も また 500回の

「ありがとう」と「愛してる」を 繰り返すようだ。


















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