次を思考することから逃避し自閉するドン詰まりの男(板尾創路)と、人の心の衰弱を本能的に察知し包み込もうとする女(芦那すみれ、岡村いずみ)たち。そんな男と女の「理性や倫理」とは正反対の「本能としての性行為」から滲む「人としての本性」の露呈がロマンポルノの醍醐味なのだ。
この男は(芝居のカタチとしては)退廃的で気だるい色香を漂わせるのだが、対峙する女たちとの交わりからは、妖しさや狂気、悲しみや可笑しみといった「どうしようもなさ」がスクリーンからいっこうに立ち上がってこない。
描かれている「男と女たち」と「性行為」の関係が、互いに交わり触発されることなく、別々の素材として生臭いまま羅列されてしまっているからだと思う。だから、ただの紋切型の「濡れ場の多い映画」にしか見えないのだ。
タイトルにまで冠されたエリック・サティも、さして効果的に機能しているとは思えなかった。
(12月2日/新宿武蔵野館)
★★
この男は(芝居のカタチとしては)退廃的で気だるい色香を漂わせるのだが、対峙する女たちとの交わりからは、妖しさや狂気、悲しみや可笑しみといった「どうしようもなさ」がスクリーンからいっこうに立ち上がってこない。
描かれている「男と女たち」と「性行為」の関係が、互いに交わり触発されることなく、別々の素材として生臭いまま羅列されてしまっているからだと思う。だから、ただの紋切型の「濡れ場の多い映画」にしか見えないのだ。
タイトルにまで冠されたエリック・サティも、さして効果的に機能しているとは思えなかった。
(12月2日/新宿武蔵野館)
★★