詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

病室

2016-12-03 06:30:38 | 

 

病室のドアを

無造作にノックしてはならない

 

病院には

入院者が嫌う番号がある

四や九の数字の病室の番号だ

 

昔は四や九があった

今は縁起が悪いと

病室ではこの数字は見かけない

 

昔の人は入院しても

忙しすぎて

そんな数字は気にも止めない

 

その病室に入ると

治りが早いとうわさが広がった

 

その病室を希望する人が多くいた

数字の隣の五や十だって

そう大きな違いはない と

 

確かに 入院しても

退院は早かった

 

しかし

看護婦さんに退院の挨拶はするが

家に帰った様子がない

 

病室をでた形跡もなく

行方不明者として大騒ぎになった

 

後で気づいたのだが

天の道を道案内に手を引かれて

帰っていったらしい

 

その道の先にあるものは

行ったことがないから分からないが

いろいろな説がある

 

それからだ

病室の四や九の数字が消えたのは

 

しかし未だに

この四や九の数字が隠されている

病室があると言う

 

ナースステーションは

その為にもあるのですから

お見舞いするときは

必ず聞いて下さいと言われた

 

強い口調だった

それから必ずナースステーションで

入院者の病室を

聴くことにしている


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