詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

詩集への感謝と感想

2017-08-11 05:21:35 | 

詩集への感謝と感想

 

1.詩集 野に咲く花  有吉篤夫 詩集  洛西書院  定価1300円+税

 拝読して行くと、自分が昔に帰っていくような気がしてくる。そんな風景が作品の中から読み取ることができる。言葉の一つ一つが優しい。そして心に静かに入ってくる。詩集の最初に作品「浦島」が書かれている。詩集の作品全体が玉手箱の中に入っているような錯覚を覚えてくる。作品を一つ一つ拝読して行くと、そのような世界がもう一度私を若かった時代へと引き戻してくれるような、そんな錯覚に陥る。読後は爽やかなものを心の中に深く残してくれた詩集である。

 

2.詩集 草萌え  青柳晶子 詩集  コールサック社  定価2000円+税

 四分けにした詩集。どこにでもあるような世界なのだが、読み終わると、この詩集にしかない世界が、思考の中にいつまでも残る詩集である。Ⅰ 歳時記~一年から時代へ~ Ⅱ 息吹 ~風が来る~ Ⅲ 感触 ~まわる~ Ⅳ 場所 ~歩く~ から構成された詩集である。このタイトルをみているだけで、詩の持つ深さが伝わってくる。一つ一つ異なるものが、この四つの大きな区切りの中に集約されて、それがこの詩集の特徴でもある。一つ一つの作品は読み手を惹きつける魅力を持つものばかりである。拝読していて流石だな~~と感心しながら読み終えた。

 

3.詩集 昆虫の家  根本昌幸 詩集  コールサック社  定価1500円+税

彼は昔からの詩の友人であり、昆虫詩人とも呼ばれている。幅広い活躍をしている。作詞もするマルチ詩人でもある。昆虫詩集を拝読するたびに思うのだが、これだけの昆虫の詩を良く書けるな、それも昆虫の気持ちになって。原発震災後避難場所を何回も変わって今は落ち着いたと聞いている。そのような困難な中から生まれてきた作品の数々に私は読み終えて脱帽した。

 

4.詩集 地球の扉を叩く音  たひらこうそう詩集 竹林館  定価2000円+税

この詩集を手にして、最初の頁を開いたとき、私は現実にいるのか、少し前の現実にいるのか、それとももっと前の現実にいるのか、戸惑った。いずれも生きてきた時代=歴史がこの詩には集約されている。そんな気がしてならない。タイトルが良い、作品の一つ一つがまた良い。ノスタルジーから始まると表紙に書かれているが、まさにその時からこの詩集は歩きだしているのだろう。良い詩集を拝読することが出来た。感謝。

 

5.宮沢賢治の宇宙音感―音楽と星と法華経  中村節也著  コールサック社  定価1800円+税

 私は一度詩の世界から離れようとしていた時があった。その時、宮沢賢治記念館に小旅行で東北の北へ行ったとき出会った。花巻の記念館だったと思う。夕方記念館が閉鎖する時間になると鐘が鳴った。夕暮れが山の向こうに沈む時だった。そのような自分自身の事を重ね合わせながら拝読した。貴重な資料となる一冊である。「宇宙の音感」まさしく宮沢賢治の世界はその通りだと思う。彼の作品そのものにも音感がある。読み手によってその音感が変わるから、宮沢賢治の世界は限りなく広がるのだろう。貴重な一冊である。

 

6.詩集 或る一年~詩の旅~Ⅱ 美濃吉昭詩集  コールサック社 定価2000円+税

或る一年は或る一日から始まる。日本のみでなく他国へまで詩の世界は一本の線で結びついている、そんな詩集である。作品も多様性があり、一つ一つ思考の切り替えをしながら拝読していった。重い歴史観がこの詩集にはある。この表現が的を得て得るかどうかは分からないが、わたしはそう思った。労作である。作品の一つ一つに寄り添うことから、この詩集の良さが思考へと転写されてくる。なるほど、このような書き方もあるのだなと思わせる詩集である。

 

 詩集を拝受しながら、読む時間が取れなかった。はがき一枚の「詩集を拝受致しました。御礼申し上げます。後で必ず拝読致します。まずは御礼まで」とは書いて著者にお出しできない。後から読むことはないと私の経験から思うことなのだが、時間がかかっても一度は拝読して、礼状を書くということを心がけてきた。ところが、いろいろな事が重なって、やっと六つの作品に目を通すことができた。直接はがきなどで御礼を申し上げるべきではあるが、ブログに記載させていただくことでご寛容賜りたく思います。出版心からお祝い申し上げます。また読み終えてない詩集などがあります。読む時間を作りだしながら早めに感想を書けるよう努力してまいります。