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言っていると思ったら

2013-09-26 14:27:38 | 日記

 ごちゃごちゃ訳のわからないことを言っていると思ったら、いつのまにか変な人はいなくなっていた。
 いつからか、太郎くんはとても苦しむようになった。
「お前ならわかってくれるだろ。今の俺の気持ちを」
 背中で何か喋っていた。そのときの太郎くんは手綱を押し込む力がやたら乱暴だった。
 太郎くんはとにかく暴れたいらしかった。
 クロは期待にこたえて、一緒にとても暴れた。
 とても楽しかった。
 太郎くんが槍を振るい、クロが脚を振り回し、向かうところ敵なし、どんな奴らが相手でも太郎くんとクロは突っ込んでいった。赤黒縞の鞭の音が聞こえれば、クロは太郎くんを乗せてどこまでも駆け抜けていくつもりだった。
 でも、大聖寺川で、太郎くんは撃たれてしまった。太郎くんからはまったく暴れる気持ちが感じられなかったのに、太郎くんが暴れると怖いから、敵は卑怯な真似をした。
 太郎くんは悲しい声で、
「あ、あ、」
 と、言っていた。
 クロは悲しくて鳴いた。太郎くんのそんな声は今まで一度も聞いたことがなかった。
 そうして、太郎くんは落っこちてしまった。クロの背中から太郎くんが消えてしまった。
 太郎くんが消えてしまった。
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 太郎くんは暴れん坊だけれど、とても優しかった。太郎くんはその辺の奴らよりもしぶといので、いくらクロが暴れても、その首筋をぽんぽんと叩いて、クロをなだめてくるのだった。
「クロ、そんなに暴れたがるな」
 クロは目を血走らせた。黒連雀は血走らせた目を対岸の一向一揆衆に睨み据えた。
 彼は主人を愛していた。
 誰の指示も受けていない。黒連雀は静かなる大聖寺川を、しぶきを上げて駆け抜けると、対岸に揃っていた一向一揆衆に猛然と襲いかかり、阿鼻叫喚に割れる連中の頭をその脚で踏み潰し、その口に挟んで振り回し、飛んできた矢が馬体に刺さっても、槍が黒鹿毛の体を裂いていっても、息絶えるまで暴れ回った。
修羅道に堕つ

 牛太郎がやって来ていることなど、誰も知らなかった。
 そのため、大聖寺城の門前に、栗毛馬に跨った藍染め陣羽織がゆらりと現れると、沓掛、九之坪の兵卒たちがたちどころに声を上げた。そして、泣いた。
「大殿っ! 申し訳ございませんっ!」
 皆が雪上に突っ伏した。皆が詫びの言葉を叫んだ。
 牛太郎は表情もなくゆっくりと下馬する。冷めているのか、澄んでいるのか、ちらつく雪を受け止めるような眼差しで兵卒たちを見やっていき、
「苦労かけたな」
 細い声は兵卒たちを慰撫した。兵卒たちはかつての主人を仰ぎ見た。顔色が、この世界のように白い。ただただ、白い。
「栗綱を休ませてやってくれ。あと、誰か、右近大夫のところまで案内してくれ」
 他のところから兵卒たちが駆け寄ってきて、湯気を立ち昇らせている栗綱の体に蓑をかぶせる。頬かむりの栗之介が、吐息の荒い栗綱の鼻面を撫でる。
「おれはいい」
 牛太郎は兵卒が蓑をかけようとしてきた手を制し、陣羽織の裾をはためかせながら案内役の兵卒のあとについて、登山道を行った。
 雪の重みに耐え切れなくなった木枝がしなり、積雪を滝のように落とした。粉末が舞い上がる。牛太郎は踏み固められた雪の上を進む。岐阜から脇目もふれずに飛んできた牛太郎は足袋に草鞋であり、冷たさが両足を焼くようにして襲っている。
 一睡もせずに延々と鞍壷に揺られていた。体はがたがたであった。
 ただ、精神は、磨かれた玉のように輝いていて、研がれた刃のように照っていた。ともすれば、その灼熱した怒りは、鈍い肉体を食い破って飛び出さんばかりであった。
 多分、飛び出たものは生霊となるのだ。あるいは、呪いとなるのだ。制約された体

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