facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

芸祭2010 1日目 9月3日(金)

2010年09月03日 | pocknのコンサート感想録2010
9月3日(金)

C年木管五重奏団ZERO+デビュー公演
~第1ホール~

フランセ/恋人達のたそがれ 第3楽章「せかせかした若者」
ドビュッシー/木管五重奏「小組曲」
プーランク/木管六重奏曲


2010年芸祭の幕開けとなった演奏は、1年生のメンバーで結成された木管五重奏団ZERO(+ピアノ)の公演。お祭りの幕開けらしくメンバーは仮面を身につけるなど、ちょっとした仮装を施して登場し、フランセを演奏。スピード感があり快活で清々しい。みんな自分のパートを確実に決めて吹き進んで行き、それがうまい!

素顔になって演奏した次のドビュッシーも、早めのテンポが気持ちいい。この曲を木管アンサンブルで聴くのは初めてだが、シンプルだけれどお洒落な響きが心地良い。メンバーの素敵な「歌」も聴こえてきた。

「とても難しい曲」と紹介のあった最後のプーランク(通常は「ビアノ6重奏曲」と呼ばれる)だが、これもうまい。欲を言えば、思いっきりの洒脱さや、スピード感にさらにスリリングさが加われば、更にプーランクの魅力が伝わると思った。

亀井博子マリンバリサイタル ~Eric Sammutメドレー~
~第2ホール~

ビゼー/サミュー編曲/カルメンファンタジー
プッチーニ/サミュー編曲/ムゼッタのワルツ
サミュー/ストロボスコープ
サミュー/カメレオン
サミュー/ロタシオンⅠ~Ⅳ
(アンコール)ピアソラ/サミュー編曲/リベルタンゴ


芸祭の演奏でたったひとりのソロリサイタルをやるのは珍しい。それだけに亀井さんのにこやな表情からも、リサイタルに賭ける気合いが熱く伝わってくる。

これまでマリンバのソロ演奏を聴いた記憶は一柳慧の「パガニーニ・パーソナル」ぐらい(ピアノも付いていたが)。いずれにしても片手に持った2本のマレットの間隔が自由に動く、ということにびっくりしてしまう程度にしかマリンバのことは知らないが、亀井さんが両手、というよりむしろ指先で操る4本のマレット捌きは、サーカスの曲芸のように鮮やか。4本のマレットはお互い繊細な神経でつながっているようで、1つの生き物みたいに滑らかに動きまわる。そうして奏でられる音楽はそれぞれの声部の音色が色分けされ、それぞれの役割を演じていた。淀みなく柔かくハーモニーを奏で、或いは光の点があちこちで鮮やかに輝いていた。

プログラムは全てエリック・サミューのアレンジものかオリジナル。マリンバの特性を活かしたユニークなアレンジものも良かったが、オリジナル曲ではマリンバが益々水を得て、この楽器の魅力が引き出されているのを感じた。

楽理2年有志による器楽曲合唱ミニコンサート
~第1ホール~

ブルグミュラー/バラード
バッハ/シンフォニア第9番
メンデルスゾーン/無言歌集より第10番「浮雲」
ブルグミュラー/貴婦人の乗馬


楽理科2年生有志による演奏会は、日本ではピアノレッスンの教材として親しまれているブルグミュラーの「25の練習曲」やバッハの「インベンションとシンフォニア」といった曲を合唱で披露するというユニークなもの。配られたプログラムの充実した曲目解説や作曲家紹介に加え、メンバーが口頭でメンデルスゾーンの「マタイ受難曲」甦演の功績を紹介するなど、音楽を学問として学んでいる学生としての気概を感じる。

演奏の方は、曲によって、またパッセージや声部によってふさわしい母音や発音を選び、原曲のもつ性格が効果的に出ていたが、もう少しボイストレーニングを積んで、アンサンブルの精度も高め、インパクトの強い合唱に仕上げてもらいたい。楽理科と言えども歌うことは音楽の基本。研究するにも将来指導するにもいい歌、いいアンサンブルを目指して、こうした発表を重ねていくと良いと思う。

邦楽科大演奏会
~奏楽堂~

日本舞踊「とっぴんしゃん」
尺八「竹彩々」
山田流箏曲「萩三番叟」
生田流箏曲「琉球民謡による組曲」
長唄「俄獅子」


日舞も含め、様々なかたちの邦楽を楽しめるのも芸祭ならでは。優雅でたおやかな舞いを見ているうちに気持ちよくなって、その後は夢うつつの中で尺八や箏曲の音の世界と遊び、戯れた… いやはや、でも本当に気持ちよくなってしまうんです。

ちゃんと目覚めたのは生田流箏曲から。琉球の調べが箏と尺八で奏でられるのは何だか新鮮でいいものだ。そして長唄はいつもながら和の粋がビーンと伝わってきてしびれた。何人もが交替で歌う独唱が、歌い手によってそれぞれの味を聴かせてくれるのも楽しい。ちゃんと歌舞伎の世界を学べば、長唄の楽しみは益々格段に増えることだろう…

芸祭2010トップへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5日目:林家花園~徳也茶喫 | トップ | 小山実稚恵 25周年記念 協... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2010」カテゴリの最新記事