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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

チェンバークレッソン

2008年06月07日 | pocknのコンサート感想録2008
6月7日(土)グリーンヒル八ヶ岳第72回クラシックコンサート
~チェンバークレッソン~

「グリーンヒル八ヶ岳」本館インドアガーデン
【曲目】
ピアソラ/リベルタンゴ
パッヘルベル/カノン、ドゥメルスマン&ベルテルミ /「ウィリアムテル」の主題による華麗な二重奏曲、マルチェロ/オーボエ協奏曲~第2楽章、リスト/ラ・カンパネラ
日本昔話~峠の茶屋、ロシア民謡/黒い瞳
いつか王子様、星に願いを
ジェラシー、葉加瀬太郎/情熱大陸、チック・コリア/スペイン、モンティ/チャールダッシュ
【アンコール】
世界に一つだけの花

週末を利用して八ヶ岳山麓にある区の保養施設に泊まったら(ハイキングレポートは後日更新します!)、たまたまそこで無料コンサートが行われた。いつもは眠くならないように演奏会の前や休憩時に酒は絶対飲まないが、ゆっくりと夕食をすませ、ほろ酔い気分で聴くコンサートっていうのもなかなかいいもんだ。

出演は「チェンバークレッソン」というアンサンブルで、登場した楽器はビアノ、アコーディオン、バイオリン、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、テナーサックスにファゴット、それにパーカッションと多彩だが、演奏者は5人だけ。なんとこのアンサンブルの主宰者でオーボエ奏者の下羽南さんがリード楽器全てを演奏するという離れ技によるもの。しかもどの楽器を持っても「器用に」というレベルを越えて、曲ごとに音色や歌いまわしまでそれぞれの楽器の持ち味を聞かせ、楽しませてくれる。それだけでなく、かっちりした中に潤いの漂うクラシックも豊かなフィーリングのジャズも(サックスとピアノのデュオで聴かせてくれたとろけるような「星に願いを」なんか絶品!)、ノリノリのタンゴもどれもが自然で生き生きとした音楽を届けてくれる。

伊藤恵子さんの奏でるアコーディオンも(ピアノも担当)、普段なかなか聴くチャンスの少ない楽器を聴くという以上に惹きつけられた。ソロで聴かせてくれた「黒い瞳」の情感溢れる演奏や、タンゴやジャズでの伊藤さんのアコーディオンやピアノには熱い血が感じられる。

もう一人のピアニスト、伊藤香織さんが弾いた「ラ・カンパネラ」はアップライトピアノのアクションの限界ギリギリに挑んだような技巧を聞かせてくれてスリリングだったし、下羽さんとのデュオなどで艶やかな音色の「華麗な」演奏を聴かせてくれた中島祐さんのフルート、それにお名前がわからないけれどヴァイオリンの真摯な調べもよかった。

このアンサンブルは、どんなジャンルの曲にしてもその編曲も含めて、ただソツなくこなすというのではなく、アンサンブルとしての色を持ち、自らの心と言葉で音楽を奏でていてとても聴き応えがある。何しろ、こんなほろ酔い状態で聴いていて、いい気持ちなのに全然眠くならなかったのは、曲目紹介や手拍子のお願いや、パーカッションの協力依頼などいろいろと聴衆への働きかけがあったからというだけでなく、演奏自体が脳を覚醒させる細胞をほどよく刺激してくれるようなメッセージを送ってくれていたに違いない。

こんな素敵なコンサートを聴けて、区の保養施設といってもなかなかいい内容の「グリーンヒル八ヶ岳」だが更にグレードアップしてリゾートホテルにでも滞在しているような気分になった。

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8 コメント

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黒い瞳 (マーリン)
2008-06-10 23:57:09
うわっ、こんな素敵なコンサートがあるんですね。私の好きな曲がいっぱい並んでいたのでキーボード打っちゃいます。すごく有名になってしまったリベルタンゴ。ヨーヨーマが弾いたCDを聞いています。昔ボストンでOZAWAがブラームスの1番を振ったときシンフォニーホールに聴きに行きました。偶然ひとつ隣の席にヨーヨマさんが座っていました。あ~握手でもしておけばよかった。ラ・カンパネラで思い出すのでアンドレワッツの胸のすくような演奏(CDですが)それから黒い瞳。私がたまに行く歌声喫茶のようなスナックのマスターがアコーディオンで弾いてくれます。昔、同題名の映画がありました。ラストシーンが忘れられません。思い出話になってごめんなさい。要は、このような小さいコンサートでも「自らの心と言葉で~」と語っているPocknさんの聴き方に感動しましたと言いたいだけなのですが。一静庵さんやnori-noriさんなどこのブログに参加している方々からもいつも学んでいます。
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Re: 黒い瞳 (pockn)
2008-06-11 17:48:13
リラックスできるようなプログラムのコンサートが素敵な演奏だと本当に嬉しいですよね。マーリンさんはボストンで小澤を聴かれたんですね!ボストンは僕にとってはとりわけ思い入れのある町なので羨ましいです。またいろいろ思い出話をお聞かせください。
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小澤のブラームス1番 (マーリン)
2008-06-13 01:55:42
思い出話でよしとおっしゃって下さるので調子に乗って以下。。。小澤のブラームス1番体験は、まずドレスデンシュターツカペレを振ったのをNHKラジオ放送でで聞いたのが最初です。まさにいぶし銀のような音色ででした。それからボストンシンフォニー。これはあまり正常な感覚で聞けなかったのでただモニュメントとでしか覚えていません。みなさん正装して米国の社交界のムンムンとした雰囲気がやりきれなかったけど。私はアジアからきたジーパン姿の1留学生。それから新宿の厚生年金会館で新日フィルを振ったもの。例の如く情熱がほとばしり譜面台を吹っ飛ばしての熱演でした。休憩時にロビーに座っていたら、対面にどこかでみたことがある顔の方がおられました。タケミツでした。神様を拝むようような気持になりました。ボストンには約1年いました。何をお話ししてよいやら??
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ボストン (pockn)
2008-06-14 00:46:39
僕にとってのブラ1の初体験&初衝撃はNHKの招聘で来日したベーム/ウィーン・フィルのFMとテレビ放送ですね。クラシックに開眼した時期でした…(懐かしい)。懐かしいと言えば、もっと懐かしいのはマーリンさんが留学されていたボストンですねー、小さい頃にビーコンヒルに1年弱住んでいました。チャールズリバーの野外音楽堂でのコンサートは幼心に記憶に残っています。
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懐かしきボストン (マーリン)
2008-06-16 00:27:07
そうですか、お住まいになっておられたんだ。私は半年ほどチャールズ川に面したバックベイのアパートメントで暮らしていました。野外音楽堂は私のジョギングコースでした。あ~懐かしい。家族を残して単身赴任だったので、寂しかったです。それでいつもクラシック音楽を聴いていました。いまその音楽が聞こえてくるとどうしても寂しかったボストン生活を思い出してしまいます。朝のバッハパルティータ1番、秋のブラームス間奏曲、雨の日のベートーヴェンピアノソナタ30番、夜のモーツァルトクラリネット協奏曲。。。それと胸が熱くなる体験をしたのは、通っていたMITの廊下を歩いていたとき、ドアの向こうから聞こえてきたショパンノクターンのピアノの音とバックベイの古い住宅街の窓から流れてきたオペラの歌声。うまいとかへたとかじゃなくて、音楽と暮らしの結びつきがいいな~と思いました。
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Re: 懐かしきボストン (pockn)
2008-06-16 00:46:27
MITへ留学されていたのですか!きっと忙しさはハンパではなかったのでしょうね。マーリンさんが上げた曲はどれも寂しさと温かさがこみ上げてきそうな音楽ばかりですね。異国で孤軍奮闘の忙しさのあいだにできるちょっとした隙間を埋めてくれたのではないでしょうか。
僕にとってのボストンは幼い頃の原風景のようなものです。20年以上たって一度訪れたときは、何もかもが懐かしかったです。
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ありがとうございましt! (MINAMI)
2008-06-24 17:15:59
聴いていただいてありがとうございました!
その時に行けるメンバーで行くので、出演者は毎回替わるんです。普段は弦楽器が多いんですよ。
今回は結構特殊な編成でした。
またぜひいらしてくださいね!
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Re: ありがとうございました! (pockn)
2008-06-25 00:42:45
MINAMIさま、facciamo la musicaへのご訪問&コメントをありがとうございます。特殊な編成の演奏会だったとのこと、うちらはラッキーでしたね!素敵な演奏をありがとうございました。娘のサイン攻めにもお付合いいただいて… 都内でチェンバークレッソンのコンサートやご自身のリサイタルなどがあるときもお知らせください。
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