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アンサンブル・オレイユ 第18回定期演奏会

2012年07月28日 | pocknのコンサート感想録2012
7月28日(土)北爪道夫指揮 アンサンブル・オレイユ
  ~第18回定期演奏会~
東京オペラシティリサイタルホール
【曲目】
1.ピアソラ/シンフォニエッタ
2.カーゲル/固定楽想 - 室内オーケストラのためのロンド
3. ヒナステラ/パブロ・カザルスの主題による変奏曲より「鳥の歌」
4. ヒナステラ/協奏的変奏曲

ハセジュンさんが所属する室内オーケストラ、アンサンブル・オレイユの定期演奏会を4年ぶりに聴いた。相変わらず意欲的な選曲で、珍しくも楽しい作品が並び、精鋭達による見事な演奏でそれらの曲の持ち味が伝わってきた。

ラテン系で揃えてきた今回のプログラムの1曲目はピアソラ。胸の奥に秘めた熱い思いを吐露するように歌うヴィオラの物憂げな調べや、熱を帯びた弦楽合奏の悶えなど、切々とした訴えかけが印象的だった。第3楽章でのダンゴのリズムに乗った情熱的な調べも良かった。

続くカーゲルは前衛音楽の触れ込みの割には開始はリズミカルで親しみ易い音楽。同じメロディーを色々な楽器が受け持ち、それを他の楽器が様々に装飾して行くが、気が付くと親しみ易い音楽が、複雑さを増してオリジナリティ溢れる音楽になっていった。こうした複雑な音楽を、アンサンブル・オレイユの面々はいとも楽しげに演奏してしまうところがスゴイ。実際、演奏自体も楽しげに聴こえた。

前半の難易度的にもかなりグレードの高い2曲を、音楽の特徴を捉えてここまで高いレベルの演奏で聴かせることができるのはさすが。欲を言えば、音楽が盛り上がりテンションが高まる場面では、お行儀よさをかなぐり捨て、パッションを迸らせてラテンの血が燃えたぎるような「攻め」の演奏をやってくれると更に高みに昇れるはず。

後半はヒナステラの作品が2曲。最初の「鳥の歌」は、チェロセクションの朗々と奏でる主旋律の歌の表情が素晴らしく、また、森をイメージしたというオーケストラのバックは、熱帯雨林の懐深くに入り込んだようなトロピカルムード溢れる音の世界に浸った。この変奏曲は全曲聴きたくなった。

最後に置かれた協奏的変奏曲は、名手が揃ったアンサンブル・オレイユの妙技が十分に発揮された。どのパートのソロも素晴らしかったが、旋律楽器としては厳しいものがあるコントラバスをあそこまで操り、繊細なメロディーを聴かせたのはスゴイ。ソロだけでなく、弦のアンサンブルのニュアンスに富んだ深い表現と美しい響きなど、アンサンブルとしての卓越した力にも改めて感心した。乗りの良さで心を揺さぶってくる積極的なアプローチは、前半でちょっと感じた消極性も十分に振り払っていた。

優れた作曲家でもある北爪道夫さんを指導者として迎え、恐らく元々腕に自信のある強者達が切磋琢磨して築き上げてこそ実現できる素晴らしい演奏会だった。

アンサンブル・オレイユ 第14回定期演奏会~2008.7.26~

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