どれだけの
たからものが
埋もれているのだろう
さがして
みつけて
あらって
みがいて
さいごに
てわたす
そこではじめて
たからものになる
どれだけの
たからものが
埋もれているのだろう
さがして
みつけて
あらって
みがいて
さいごに
てわたす
そこではじめて
たからものになる
なかよしは
けんかしないってことじゃない
ぜんぶさんせいってことじゃない
なかよしは
じぶんとちがうけど
なんでだようとおもうけど
だけどやっぱりいてほしい
なかよしは
ずっといっしょってことじゃない
ちかくにいるってことじゃない
どこかでずっとつながって
おもいだすとあったかい
ときどきはなしてたしかめたい
なかよしは
いきてるかぎりたいせつな
たぶんさいごにおもいだす
たからもののことなんだ
星と星の距離より
遠いと思っていた
でも
手をのばせば
指先がふれる
こんなところに
探していたものはあった
なつかしいもの
あこがれたもの
いとおしいもの
あきらめてはいけない
あとほんのすこし
あともうすこしだけ
あきらめては いけない
大雨が降るみたいに
声をあげて
泣いてごらん
ごうごう風が吹くように
ばかばかばかって
怒ってごらん
洗いあがりの青空と
おおきな虹
そのまえには
空をみることもできない
長い嵐があったのだ
風はめぐり時はめぐり
星はめぐり夢はめぐる
だれのことも責めない
空をみてごらん
ひとつの種を植えました
花のかたちも色も知らず
どの季節に咲くかも知らず
ただ咲くことを知っている
夢ではないと知っている
土のなかに眠る種が
時がくれば顔を出して
ゆっくりしずかにのびること
ただそれだけを知っている
さくらの花が咲くころに
なにを思っているだろう
だれと話しているだろう
どこで暮らしているだろう
さくらの花が咲いたなら
ただみつめるほかないだろう
ため息つくしかないだろう
さくらの花を見ていた人の
後ろすがたは夢のなか
駆け抜けるこどもの声は
花を揺らすことだろう
すべてがつながる網目のように
雫はきらきら光るだろう
さくらはほほえむことだろう
あしたはかならず来るだろう
もしも
だれからも
わすれられたとおもったら
山からおりてみませんか
時間がかかっても
足がつかれても
ときどきは里を歩いて
こんにちはとか
言ってみませんか
返事をしないで通りすぎるひとも
いるでしょうけど
あなたのからだをつかって
この世界に語りかけることで
なにかが変わるのは
まちがいないことだから
あなたの山をたいせつに
ときどきおりてきてみませんか
空のてっぺん
満月と星ひとつ
ああ
あなたたちのこと
だいすき
それは
道に咲いた花いちりん
すれちがう子猫いっぴき
そのいとおしさと
まったくおなじに
あなたたちのこと
だいすき
見てごらん
おおきな月が出ているよ
まっすぐなひかりの束を
冷たい夜空に放って
凛とした月の鏡が
地上を照らすよ
鏡に映る地上のすべてに
力をあたえる月が出ているよ
この夜に下を向かず
背筋をのばしてあしたへすすめ
あかるい月が出ているよ
雪が降ります
雪が降ります
おおきな粒の雪が
手のひらに舞い降ります
降りはじめた雪はただ
地面へ向かうしかないように
戻っていくことはできない
あたたかく思いだすことだけ
手のひらで雪がとけます
雪が降ります
雪が降ります
一羽の小鳥がうたう
ひとりの人が語る
ひとつの種の花が咲く
ひとつの山が朝日を浴びる
ひとつの海が揺れる
ひとつの星がまわる
ひとつぶの砂がひかる
ひとつの命がうまれる
これから描く絵に
大好きな花を植えましょう
花に水をあげている
懐かしいひとを描きましょう
扉をこれから叩くのは
あした出会う親しいひと
空を青く塗ったなら
空には鳥が必要です
鳥には樹が必要です
緑の葉を描きましょう
あなたにこれから語る言葉が
書かれるぺージはまだ白い
ともだちと飲むお茶の湯気
お菓子の甘いかおり
わたしたちのいる絵が
きらきらとひかりながら
描かれていく冬の午後
あかあかと夕日が燃えて
紫の雲を連れて沈む
時がつくる一枚に
星がうまれて
スケッチブックは
めくられていく
朝日も夕日も
雲のかたちも
すべての景色は
いちどきり
今日も明日も
いちどきり
いまのわたしも
いちどきり
いまのきもちも
いちどきり
淋しさも懐かしさも
再び会えたよろこびも
いのちあるひとときは
いちどきり